失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「黄昏のビギン」 ちあきなおみ 1991年

2014-02-16 | 
ちあきなおみ、2000年のシングル「かもめの街」のカップリング。

①かもめの街 1988年
作詞:ちあき哲也、作曲:杉本真人、編曲:倉田信雄
アイドルから演歌系まで、幅広く曲を提供しているSSW杉本真人作品。ちあきなおみの天才的歌唱力が堪能できる、ドラマチックなアダルト歌謡。飲み屋のママと思われる主人公が仕事を終えて帰宅途中、夜明けの波止場でひとり一服しつつ、カモメに自らの人生を重ねてみる。ぶっきら棒に吐き捨てるように歌うAメロにつづき、朗々と歌い上げるサビは「あ~あ~ ドンブラコ」。初出はテイチク移籍後の初アルバム『伝わりますか』(1988)。ちなみに作詞のちあき哲也とちあきなおみは特に血縁関係はないようだ。

②①のカラオケ

③黄昏のビギン 1991年 
作詞:永六輔、作曲:中村八大、編曲:服部隆之
永六輔・中村八大コンビによる名曲の、名カヴァー。オリジナルは水原弘、1959年のシングル「黒い落葉」のB面曲としてリリースされた。長く忘れられていた曲だったが、ちあきなおみのカヴァーにより“再発見”され、その後さだまさし、中森明菜などなど多くのシンガーによって歌われている。昭和モダンを感じさせるシンプルで洗練されたメロディは、淡々としながらも味わい深い。
このカヴァーは1991年にもシングルカットされていて、2000年に缶コーヒーのCMに使用されたため再シングル化。服部隆之による華麗なストリングスのイントロに導かれ、ワンコーラスはほぼアコギのみのシンプルすぎるバッキングで、ちあきなおみの歌声をじっくり聴かせる。2番はストリングスが加わって盛り上げるが、歌はあくまでクール。ちあきさんは3割くらいの力で歌ってる感じ。実力者の余裕を楽しむか、ちあきさんにしては物足りないと感じるか。さらっと聴けて耳に優しいけど、よく聴くと秘めた情念が渦巻いているような。
水原弘のオリジナルを聴いて何かに似てるなと思ったら、ナット・キング・コール「キサス・キサス・キサス」(1958)か。歌い出しなんてかなりインスパイアされてる感じ。で、「ビギン」てなんだ?と調べてみると、「Beguine」だった。そう、コール・ポーター「Begin the Beguine」のビギン。Beguineはカリブ海に浮かぶ仏領マルティニーク島で1920年代に生まれたダンスミュージック。え、じゃあちあきなおみのはBeguineじゃないじゃん。YouTubeでいろいろカヴァーを聴いてみて、よかったのは小野リサ。あと堀内孝雄と谷村新司は、ちゃんとBeguineしてた。昨年、Sumireという美人シンガーがセルジオ・メンデスをプロデュースに迎えてカヴァーしていて、意外とよかった。どこかで見たような…おっと、石田純一の娘さん(モデルのすみれ)じゃないか。

④③のカラオケ

定価1100円、中古で105円。
ちあきなおみは、1992年から芸能活動停止中。もう22年歌ってないのか…


最新の画像もっと見る

コメントを投稿