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いざ鎌倉

2009年07月14日 | まち歩き

 私は仕事が終わってから地域を散歩する事があります。直に地域の風を感じるためです。

 昨夜は、商店街を通り大手のスーパーに行って見ましたら風雨の天候もあったのか店頭に並んで居ました食料品はほとんどスカスカ状態でした。途中の飲食店にかかっています暖簾の隙間から見えるお客さんの数も、この不景気を反映してか少なめです。

 夜の商店街を散歩しながら帰途に着きましたら、丁度、たこ焼きさんが閉店の後片付けをしていました。銅の焼き台の上には売れ残りのたこ焼きが数十個あります。このたこ焼きをどうするのかな?と思った瞬間に、「このたこ焼きを下さい!」と私は言って居ました。もちろんたこ焼き屋のおじさんは、びっくりです。すべてのたこ焼きを箱に詰める間、話を聴いているとその日は最悪の売り上げだったそうで、それで売れ残っていたようです。安くしてくれると言われたのですが、財布の中の小銭を出して置いてきましたら、「こんなに多すぎます・・・・」と恐縮していました。

 そのたこ焼き屋さんは、チェーン店の店主ですが個人営業主です。利益が出なければ家族の生活もままなりません。家賃さえも払えません。

 家に帰ると子供達は沢山のたこ焼きに大喜びです。

 そしていきさつを話をしますと、「どうせ、捨てるたこ焼きかもしれないんだから、もっと安く買ってくれば良いのでは?」との子供に

 売れ残りを安く買い叩くことも出来るでしょうが、それは弱い者いじめにしかなりません。

 「昔の話に“いざ鎌倉”、と言う話がある。普通は、急な時にでも準備が出来ているか日々の心がけを大切にしなさいと言う事になっているが、お父さんは、違う点を教訓にしたのです。」  

 http://kids.gakken.co.jp/box/syakai/06/pdf/B026107090.pdf

 私は、この話の中で、特に注目したのは、自分が貧乏でその日の食事にも困っているのに、難儀をしている人を見ると、自分の食事よりもその困っている人の食事を優先し、寒さで辛そうに感じると自分の大切にしている盆栽まで火にくべる精神性の高さです。

 今の子供達に話をすると、きっと「ばかだ!そんな事をしても・・・」と言われます。ですが、これは、そこまでしてくれた人の志を感じれるかどうか受け手の人間性の器にかかっています。残念ながら、そんな人は現在、皆無でしょう。ですが、そのたこ焼き屋のおじさんは、この地域にも、真面目に商売をしていると、誰か一人でもその事を判ってくれる人がいると、それだけで私は良いのではと思います。

 単に、目の前の損得だけで動く事を決める人よりも

 人間らしい生き方に感じます。

 そんな話をしながら、少しさめて、硬くなったたこ焼きを食べていました。そのたこ焼きは、とても美味しく感じました。


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