札幌市 漢方相談薬局(有)中村薬局~地域医療・医薬品・漢方・サプリ・調剤・AGE測定~

札幌市白石区南郷通7丁目北5-1 ℡011-861-2808
    地下鉄(東西線) 南郷7丁目駅3番出口すぐ横

健康食品との相互作用

2004年10月27日 | まち歩き
京都薬科大学病院薬学教室・助教授  大西憲明先生
日経メディカル、ファーマシーVol.35から要約

現在臨床使用されている薬剤の半分以上が、CYP3A4で代謝されるとの報告がなされてる。
したがって、CYP3A4を阻害したり、または誘導する作用のある健康食品がもっとも薬剤との相互作用を引き起こしやすい。CYPA4が阻害された場合、CYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度が上昇し、有害作用が起こる可能性が高くなる。逆にCYP3A4が誘導された場合、薬剤(プロドラッグを除く)の主作用は減弱してしまう。
 CYP3A4は肝臓のみならず小腸にも存在し、CYPの代表格でもある。
 CYPだけではなく、最近では薬物動態に大きな影響を及ぼす事が示されてる、P-糖蛋白質(MDR1:脳血液関門、肝臓、腎臓、小腸などに多く発現)などを初めとする多種多様な薬物輸送担体(トランスポータ)に対する阻害・誘導による薬物相互作用も問題視されるようになってきてる。

イチョウ葉
イチョウ葉エキス(以下GBE)は、小腸のCYP3A4を阻害する。
*健常者8名にカルシュウム拮抗剤ニフェジピン(CYP3A4の基質)とGBE(240mg)と単回同時投与したところ、2例のみにニフェジピンの最高血中濃度が2倍に上昇して、一過性の頭痛と平均脈拍数が増加傾向を示した。(相互作用発現の有無に顕著な個体差がある)
*健常者12名に経口投与後のアルプラゾラム(CYP3A4の基質)の体内動態の及ぼすGBE(240mg/日、分2)の2週間連続経口投与の影響を検討した報告では、臨床上問題となる薬物動態的相互作用は認められなかった。
*GBE(240mg/日)の4週間摂取はミダゾラム代謝(CYP3A4活性)にも影響しなかったとの報告がある。
*併用に伴いミダゾラムの血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増大するとの別の研究発表がある。
~GBEの薬力学的相互作用~
*イブプロフェン併用により脳内出血が起きた例
*アスピリン併用に伴う前房出血
*ワーファリン併用で出血傾向となった例
   ・・・・・・GBE中に含まれるギンコライドなどに由来する血小板活性化因子(PAF)の阻害作用に起因する。
~メカニズムは不明だが~
クロルプロパミド併用による低血糖
*低用量のトラゾドン併用による昏睡の報告もある。




イチョウ葉の効能効果

2004年10月16日 | まち歩き
 イチョウ葉エキスの効能効果
 ヨ-ロッパでは医薬品として、次のような適応で使われています。
 代表的な薬は、ドイツのテボニンとフランスのタナカンですが、両製品ともドイツシュワ-ベ製薬が確立した医薬品規格にのっとったフラボン24%以上、テルペン6%以上、ギンコ-ル酸5PPM以下のエキス製品ですので、添付文書の効能効果は同様です。

  《効能効果》

めまい、頭痛、耳鳴り、記憶力低下、集中力低下、思考力低下、運動能力低下、感情・性格混乱、脳血管型痴呆症、アルツハイマ-型痴呆症、

脳血行不良、脳卒中、頭部外傷の後遺症

肩凝り、冷え症、冷房病、手・足・腰のしびれや痛みなどの抹消血管障害

  目の衰え、老人性難聴

  糖尿病、血管症

  特性として

a.血行を改善、特に脳の毛細血管の血行を改善する。
b.腕や足の血行を良くし、酸素の供給を高め、酸素不足によるダメ-ジを受ける細胞組織を保護する。
c.脳の能力低下による知的行動能力や集中力の低下を改善する。
   




コエンザイムQ10~資料・インタビューフォーム~

2004年10月15日 | まち歩き
インタービューフォームを手に入れました。
その中で面白い情報が満載です。
以下はその抜粋

*ユビデカレノンは、経口投与でリンパ管を経て吸収され、細胞内ミトコンドリアに移行し、細胞内電子伝達系でのATP産生を賦活する事が確認されている。
 ↑tmaxが6時間である理由が、このにありますね。
カイロミクロンで腸管から吸収されると言うことですね。つまり、効率良く、左鎖骨下静脈に合流し、ターゲット臓器(心臓)に到達すると言うことですか?つまり、tmaxと、作用のmaxが一致しない可能性が高いと私は思います。これで、血行動態から考えて分3が理屈に合わないのに、臨床で分3になってる理由かもしれません・・・・。


薬理的には、ユビデカレノンがイソプレテノールによる心筋の酸素不足を軽度に留めることが認められてる。また、高血圧及びその他の原因による心不全を改善する事が認められている。
 臨床的には、虚血性心疾患・弁膜症・心筋症等の心疾患を基礎疾患に持つうっ血性心不全に対して、従来の治療薬(ジギタリス・利尿剤等)に本剤を追加投与する事によって、うっ血性心不全症状を改善する事が二重盲検比較試験で確認されてる。
↑と、言うことは、高血圧治療をしてる患者さんの中には、浮腫み等をおこしてる人がいるかもしれない、と言うことでしょうか?その場合には、サプリメントで使用は可の可能性がある?



本剤を界面活性剤を用いて可溶化し、ph2,4,6,8,10,12の各種phのユビデカレノン水溶液を調製し、アンプルに充填後、加温虐待(40℃で2カ月間)したところ、ph8,10,12と液性がアルカリ性に傾くにつれて、分解物(Ubichromenol)の生成が増加した(TLCにて確認)。なお、ph6より酸性側ではTLCにおいて分解物スポットを認めない。
↑ 添加物等によりアルカリ性に傾くと分解してる可能性が高い。吸収の所から、腸管(アルカリ)の部分では、時間的な問題でそれほど影響を考えなくともよさそうです。


安定性
光:直射日光 包装形態:褐色ビン入り 期間:2か月  性状含量:含量若干低下
↑ ドリンクタイプのCoQ10もありますが、管理状態が悪いと、内容物が変化をおこしてる可能性もある。




定量法
本品及びユビデカレノン標準品(別途水分を測定しておく)約0.05gずつを精密に量り、それぞれにエタノール(99.5)40mlを加え、約50℃で2分間加温して溶かし、冷後、エタノール(99.5)を加えて正確に50mlとし、試料溶液及び標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液5μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行う。それぞれの液のユビデカレノンのピーク面積At及びAsを測定する。

ユビデカレノン(C59H90O4)の量(mg)=脱水物に換算したユビデカレノンの標準品の量(mg)xAt/As

操作条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長 275nm)
カラム:内径約5mm、長さ約15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:35℃付近の一定温度
移動相:メタノール/エタノール(99.5)混液(13:7)
カラムの選定:本品及びユビキノン-9 0.01mlずつをエタノール(99.5)20mlを加え、約50℃で2分間加温して溶かし、冷後、この液5μlにつき、上記の条件で操作するとき、ユビキノン-9、ユビデカレノンの順に溶出し、その分離度が4以上のものを用いる。
試験の再現性:上記の条件で標準溶液につき、試験を5回繰り返す時、ユビデカレノンのピーク面積の相対標準偏差は、0.8%以下である。


各種条件下における安定性
本剤は、光により褪色し、含量の低下傾向が認められる。また、原薬の融点が約48℃と低いので、48℃以上になるとまだらに変色を起こすことがある。
↑サプリメントの保管状況等にも注意がいりそうです。また、製品によっては、カプセル内などで結晶化してる可能性もあるかと・・・・。


添付文書に記載がない薬物動態の数字です。
消失速度定数 0.021士1.04/hr
クリアランス 2.46士1.04 L/hr
吸収:ヒトでは主に胆汁酸塩で乳化され、小腸壁から主に低比重リポたんぱく質のカイロミクロンに溶け、胸管リンパより吸収されると推定される。
↑もしかして、t1/2が長いのは、腸管循環してるのかな?と、すると、ジギトキシンとの相互作用はどうなるのかな?


胎児への移行性
<参考>
妊娠14日目のラットに1,2-3H-ユビデカレノン0.6mg/kgを単回経口投与した。母体中の血中濃度は投与2時間後に最高(0.133μg/ml)に達し、以後急速に低下したが、胎児組織中では投与後8時間で最高値0.035μg/g wet tissue (投与量に対して10%)に達し、以後比較的緩徐に低下した。

あと、排泄率を動物を使ってのデータがありますが、胆汁排泄型と予想されます。
↑胆汁分泌能力の低下した人には注意がいるかもしれません・・・・
 




コエンザイムQ10~資料~

2004年10月15日 | まち歩き
*生化学実験講座 13 日本生化学会編
 ビタミンと補酵素(下)
  東京化学同人
*ビタミン学実験法  日本ビタミン学会編
  [Ⅰ] 脂溶性ビタミン

以上2冊から転記。

この中に書かれてる内容は

ユビキノンは、trans-2,3-ジメトキシ-5-マルチプレニル-1,4-ベンゾキノン構造の化合物群(トランスとシス体がある事がポイントです。天然物はトランス体で合成によるものはシス体の混入が考えられる)

ユビキノンは水に不溶、メタノール、エタノール、アセトンなどの極性有機溶媒に可溶、イソオクタン、n-ヘプタン、n-ヘキサンなどの炭化水素系非極性有機溶媒に易溶である。

分離するには、原料をけん化したのち、上記の炭化水素系溶媒で抽出、あるいは原料を低級アルコール、アセトン、エーテルなどの親水性有機溶媒で抽出する。けん化抽出法ではユビクロメノールが副生するので、これを防ぐために反応液にピロガロールや硫酸第一鉄を加えておく。このようにして得た抽出物を少量の炭化水素系溶媒に溶かし、ケイ酸あるいはその塩類(Florisil, Decalso)を吸着剤とするクロマト塔に流し、ベンゼン、クロロホルム、クロロホルム-イソオクタン混液などを溶出液とするクロマトグラフィーによって精製する。このさい、アルミナやSilica Gelなどの塩基性や強い吸着力を示す吸着剤の使用は、ユビキノンがユビクロメノールに変化するた
め不適当である。低級アルコール、アセトンなどから再結晶すると、Q-6~Q-10は橙黄色結晶として、またQ-5以下の低級同族体は橙赤色油状で得られる。

ユビキノンは、光、塩基、熱などに不安定でユビクロメノールやデメトキシユビキノンなどに変化するので取り扱いに注意を要するので取り扱いに注意をようする。紫外吸収スペクトルは、275nm付近に特徴的な吸収極大、405nmに弱い吸収があり、極大吸収波長はマルチプレニル側鎖の長さに関係なく一定で、ユビキノール体に還元すると消失することから、この吸収はユビキノンの同定、定量に用いられる。

医薬品中のユビキノン定量法[HPLCの条件]
カラム:Zorbax SIL (250x2.1mmi.d.)
移動相:n-ヘキサン、イソプロピルエーテル(92:8)
流速:0.5ml/min
検出:紫外吸収(254nm)
医薬品中のユビキノンの定量法の一例を示すと次のとおりである。
[操作例]
錠剤、カプセル剤、顆粒剤中のQ-10の定量法
[試薬・試液]
1)エタノール、n-ヘキサン:試薬特級
2)ユビキノン-10標準品
[HPLCの条件]
カラム:Zorbax ODS(250x4.6min i.d.)
移動相:エタノール-水(99.5:0.5)
流速:0.8ml/min
検出:紫外吸収(275nm)
[定量操作]
錠剤、顆粒剤は粉砕し、カプセル剤は内容物を取り出し粉砕して、それぞれの一定量を精密にはかり、共栓付き褐色遠心沈殿管に入れる。n-ヘキサンの一定量を加えて5分間激しく振り混ぜたのち、遠心分離(3000rpm,5min)する。n-ヘキサン抽出液の一定量をカラムに注入してHPLCを行い、Q-10のピーク高さを測る。
別にQ-10標準品をn-ヘキサンに溶解し、検量線を作成しておき、試料中のQ-10の量を算出する。


他に血清中のユビキノンの蛍光定量法もあります。



グルコサミン

2004年10月13日 | まち歩き
gurukosaminn 下記の記事に、ご注意のコメントを頂きまして、ありがとうございます。
早々に調べましたら、ご指摘の通りでした。

ちなみに下記の記事は、日本薬剤師会誌2004年vol.56、10月号77Pに出ていた物で、熊本県薬剤師会医薬情報センターの記事を元にしてます。
 また、独立行政法人国立健康・栄養研究所
の「健康食品」の素材情報データベースに掲載されてます、グルコサミンの説明も、“グルコサミンは糖の一種で、グルコースにアミノ酸が付いた代表的なアミノ糖であり・・・・”となってます。

 こうして、色々と確認してますと、間違いが結構あるのですね。
間違いを指摘していただきましてありがとうございます。今後とも宜しくお願いいたします。
ここに下記の記事の訂正をさせていただきます。

「グルコサミンは、グルコースとアミノ酸がついた物ではなく、“アミノ基”がついたアミノ糖であります。」