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お茶の水女子大学で「浄夜」をめぐるゼミ2日目。
お茶の水女子大学シェーンベルクゼミの一環です。
浄夜、牧神の午後への前奏曲、亡き王女のためのパヴァーヌ。
本日も13:20〜18:20と5時間話しました!
本日は昨日からのシェーンベルク「浄夜」の後半をまず弦楽六重奏での演奏を聴く。その間私のiPadに入れている楽譜をモニターに投影、弦楽器の演奏法など実況中継します。ハーモニクスも人口ハーモニクスが四度によるものだけではなく、六度のハーモニクスもあるのでなかなかマニアックな説明もできます。「指板の上で」などもドイツ語で書いてあるので、ドイツ語による用語の説明もできました。
その後学生による二台ピアノによる演奏。かなり複雑なテクスチュアなのですがよく学生は弾いておりました。そして、モニターにうつる楽譜を見ながらアナリーゼと共に演奏の指導。特にメインメロディーがどんどんパート間で飛ぶので、その説明は重要でした。この複雑な楽譜をどのように形にするか私が指揮をしながらリハーサルのようなレッスン。その合間にデーメルの詩のどこがどの音に対応するのか?なども話しながら、シェーンベルク自身が解説した言葉も交えながら進めました。なんとK先生もいらっしゃっていただきとても学生もテンションが上がっておりました。
この時のシェーンベルクの境遇、ツェムリンスキーとの関係、ツェムリンスキーの妹マティルデとの関係、またマティルデと関係したゲルストルとの話し、まるで浄夜が予言していたような展開・・・などなど話しました。
その後は同時代のフランスでは?ということで、1899年の浄夜に対して1894年のドビュッシー作曲「牧神の午後への前奏曲」
まずドビュッシーの牧神の午後への前奏曲にいたるドビュッシーの辿った音楽を知るべく歌曲「星の夜」ローマ大賞をとったカンタータ「放蕩息子」歌曲「艶なる宴」、あとワーグナーの影響も見逃せないので「ボードレールの詩による5つの歌曲」弦楽四重奏、他足繁く家に出入りしており、パルジファルの解説などの講座も仕事として与えていたショーソンの「コンセール」などを聴いて、とうとうこの「牧神の午後への前奏曲」まできたということを聴覚的な感覚として体験してもらいました。
そのあとは、私のiPadと接続したモニターにオーケストラのスコアを投影、それを見ながらオーケストラ原曲を聴いてもらいました。こちらもホルンなどはフランス語で弱音器をつけたり、ゲシュトプトの表記も出てくるので、それの説明もでき、スコアリーディングの指導もできました。
なんと言ってもこの曲は結構複リズムが多いのでソルフェージュの勉強にとてもなります。和声に関しても同じメロディーを何回も繰り返し別の和声をつけるジャズのようなリハーモナイズの話もでき、色々話が飛躍しますね。中間部の変ニ長調のところなどはトニックに対して増四度のバスの進行、そしてトニックに行くなど、それまでにはなかなかない、しかしながら凄く魅力的な和声のカデンツの話もできるので、教材としても凄く魅力的です。
そのような話を一旦して作曲家自身による二台ピアノ編曲を学生が演奏。それを私がアナリーゼ、また指揮しながら演奏指導。
やはりこれくらいテンポが遅く、また拍子も8分の9、時々それが4分の3と同時になったりという曲は、最初はかなり混乱した演奏になります。それを何を基軸として聴いてリズムを取れば良いかなどを説明、形を整えていきました。
それにしても楽譜の間違いが凄く多いので、それを直す作業もするので、ある意味学生も楽譜を鵜呑みにするのではなく、常に間違いがあるかもしれないと、ある意味疑って、楽譜をチェックする癖がついてくれたらいいな・・とおもい指導しました。またそれと同時にこのようなそれまでの和声の常識と違って書かれた和声なので、臨時記号も間違って読みがちなので、むしろ私が聴音の試験を受けているかのように、即座に間違った音をどんどん指摘していかなくてはなりません。(明日発表会なので)自分に対しても凄い緊張感があります。
そしてこの曲を終えて最後に「浄夜」が作曲された1899年に、フランスで作曲されたラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」のピアノソロ版を学生が演奏。それに対しても細かい指導をしました。
これも中間部がソルフェージュ的にトリッキーなので、テンポを安定させながらオシャレに弾くのが意外と難しい事が、指導しながらもよくわかりました。
ドビュッシーの音色の作り方と、ラヴェルの音色の作り方の違いも話す事ができ、ピアノ演奏法のレッスンにもなったかな?とおもいました・・・
とここまで書いても、とにかく自分にとってとても勉強になる時間です。
ところで昨日も今日も膨大なスコアはパブリックドメインのものを共有して学生も全員膨大な量、ページの楽譜をラップトップコンピューターやタブレットにダウンロードし、オーケストラスコアから二台ピアノスコアまで私が見るものと同じものを共有してリアルタイムに生演奏と楽譜を各々が追う事ができ、モニターとステレオがあるので私もほとんどの音源と楽譜を一台のiPhone、一台のiPadのみで膨大な情報による授業ができるようになったのは時代が変わったとおもいました。
今回は紙資料は一枚も学生に渡しておりません。
さて、本日も感じましたが、なんと言ってもですが、やはり作曲家は凄いですね。
こんなにいい曲を残していただいた作曲家にただただ感心、感謝、感嘆です。
またこんな素晴らしい曲にもう二日間もこの曲ばかりを考えて音楽三昧できる事が幸せでたまりません。
19世紀、それも世紀末の屈指の名曲ですね。
「浄夜」「牧神の午後への前奏曲」「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ということで、とうとう明日は最終日。
ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」です。
そして発表会。
名曲揃い。濃厚な曲、「浄夜」めぐる作品が一気に演奏されます。
学生がどのように変化するか楽しみでしょうがありません。
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