デンカの宝刀(一男二女の父、元政府系金融機関職員の資格八冠王)

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中央大学 VS 東京大学(その82:ユニークな法学者)

2019年08月17日 | 中央大学 VS 東京大学

久々の「中央大学 VS 東京大学

だが、もう82弾か。

 

今回はユニークな法学者対決

 

長尾一紘 VS 石黒一憲

 

左:「日本国憲法」

   長尾一紘

右:「国際司法・国際金融法

   教材」石黒一憲

 

この二人には変な共通点?が

ある。

 

長尾一紘先生は、

司法試験に大学在学中合格し、

昭和41年に中大を卒業後、

東大の大学院に行かれたが、

大学入試において

京都大学の合格を蹴り、

中央大学に入学したという強者。

(当時の中大は、昭和26年に

 東大から司法試験合格者数1位

 をもぎとって、

 昭和46年に再度、東大に1位を

 奪われるまでの

 20年連続司法試験合格者数1位

 の真っ最中だった。

 中大東大の1位争いは、

 イスラエルとアラブ国家の

 中東戦争にかこつけて

 中大東大「中東戦争」

 マスコミで言われていた。)

 

石黒一憲先生は、

昭和44年の東大入試中止のため

一旦は、京都大学に入学したが、

次の年に東大を受け直し、

東大に転学したという強者。

 

つまり、

二人とも京大を蹴ったお方。

 

関係無いが、

石黒先生の著作の

表紙カバーに書かれている絵は、

石黒先生の自作らしい。

 

長尾一紘先生は、

憲法学者であり、当初、

外国人の参政権について

部分的許容説を紹介し、

なんと最高裁も傍論で、

この長尾説を表明するに到った。

「外国人の参政権」

 長尾一紘

 

ところが、その後、

禁止説を強く唱えるようになり、

他の論点でも、

通常の憲法学者が採用しない説、

私の学生時代には唱えて

いなかった説を

唱えるようになった。

たとえば、

「女系天皇は違憲である」

「日本国憲法の作成には

 国際法上の瑕疵がある」

など。

 

上の「日本国憲法」全訂第4版

では、

「日本の安全保障」という

章名で、憲法9条が語られて

いる。

他の憲法学者が9条の解釈に

関して

昔ながらの訓詁学に終始して

いるのとは対照的だ。

 

石黒一憲先生は、

国際私法・国際経済法学者。

市場至上主義を振りかざし

自国の利益のために

WTOやOECDなどの場を

最大限に活用する

覇権国・アメリカの横暴に

一人立ち向かう研究者だそうだ。

つまり、法律学者なのに

経済学者にケンカを売っている

のだ。

 

「法と経済」石黒一憲

 

この「法と経済」でも

序章で近代経済学の

アカウンタビリティの問題を

指摘し、

新古典派経済学と徹底的に戦う

姿勢を示している。

 

長尾先生の論述も、

石黒先生の論述も、

それぞれの同業者からは

論が粗いとか、

法論理的でないとか言われるが、

逆に、

憲法学者・法律学者と言われる

人たちの主張に

イマイチ腑に落ちないものを

感じている

一般庶民からすると

そうかそうかと

納得させられることが

多いのではないかと思われる。

この辺もお二人の共通点か。

 

お二人のより一般向けの著作として

 

 

左:「世界一非常識な

   日本国憲法」

   長尾一紘

右:「契約の神聖さ

   住友信託vs.UFJ銀行」

   石黒一憲

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