家計調査の魚介類は、大きく分けると「生鮮魚介」「塩干魚介」「魚肉練製品」および「他の魚介加工品」に分類されています。
さらに、例えば「生鮮魚介」は、「鮮魚」と「貝類」に分けられ、「鮮魚」は「まぐろ」「あじ」「いわし」「かつお」等と個別品目に分けられています。
これらのうち、購入数量および支出金額の両方のデータの揃っている品目について、都道府県庁所在市別の消費を見て行きたいと思います。
◇都道府県庁所在市別「鮮魚」の消費(購入数量、支出金額)について
順位 都市名 数量(g) 金額(円) 購入単価(円/100g )
1位 青森市 40,840 43,083 105.49
2位 鳥取市 36,559 42,299 115.70
3位 秋田市 36,365 43,578 119.84
4位 富山市 35,333 51,643 146.16
5位 新潟市 34,599 44,082 127.41
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43位 甲府市 22,301 37,118 166.44
44位 徳島市 21,991 35,873 163.13
45位 前橋市 21,798 36,077 165.51
46位 岐阜市 20,619 33,419 162.08
47位 那覇市 17,295 25,525 147.59
平均 26,858 41,352 155.84
(グラフをクリックすると拡大したグラフを見ることができます。)
鮮魚には「まぐろ」「かつお」「さけ」「さば」「さんま」「たい」「ぶり」「いか」および「たこ」など、スーパーなどで一般的にみられる魚の他、地方、地域特有の魚などが含まれていますが、後者は「他の鮮魚」として一括してまとめられています。
したがって、都道府県庁所在市別の「鮮魚」の消費は、魚に対する地域差、特徴(食文化の違い)を明確に見ることができます。
例外はありますが、漁場に近い所は「安価」で消費量(購入数量)が多く、いわゆる大都市(東京、大阪、名古屋、神戸、京都)は「高価」で消費量が少ない傾向にあります。
例えば、青森市は購入数量が40,840g、支出金額が43,083円ですが、名古屋市は購入数量が23,856g、支出金額が42,661円と、支出金額はほぼ同じですが購入数量は青森市の方が16,984g多くなっています。
魚の種類が異なることや一匹買いや切り身・刺身での購入など、様々な要因含まれているものと思われますが、購入単価の差も100gあたり73.34円もあります。
◇都道府県庁所在市別「まぐろ」の消費(購入数量、支出金額)について
順位 都市名 数量(g) 金額(円) 購入単価(円/100g )
1位 静岡市 5,856 14,639 249.98
2位 甲府市 4,280 9,837 229.84
3位 宇都宮市 3,659 8,151 222.77
4位 前橋市 3,579 8,257 230.71
5位 那覇市 3,259 5,761 176.77
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43位 鳥取市 747 1,596 213.65
44位 大分市 641 1,766 275.51
45位 福岡市 610 1,710 280.33
46位 松江市 539 1,195 221.71
47位 長崎市 538 1,151 213.94
平均 2,008 4,742 238.24
「まぐろ」は「さけ」に次いで一世帯当たりの購入数量の多い魚です。
「まぐろ」の購入数量、支出金額とも1位は静岡市で、購入数量は5,856gと平均(2,008g)の約3倍、2位の甲府市(4,280g)より1,576g多くなっています。
また、面白いことに2位の甲府市、3位の宇都宮市、4位の前橋市は海に面していない県の県庁所在市です。
なお、まぐろ類漁獲量は1位が静岡県、2位が高知県、3位が宮崎県、4位が鹿児島県で全体の約47%を占めています。
(漁獲量は農林水産省の大海区都道府県振興局別統計(2012年))
◇都道府県庁所在市別「あじ」の消費(購入数量、支出金額)について
順位 都市名 数量(g) 金額(円) 購入単価(円/100g )
1位 長崎市 3,008 3,204 106.52
2位 松江市 2,971 2,682 90.27
3位 佐賀市 2,461 2,731 110.97
4位 山口市 2,442 2,760 113.02
5位 大分市 2,113 2,474 117.08
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43位 長野市 557 655 117.59
44位 山形市 425 474 111.53
45位 福島市 372 482 129.57
46位 那覇市 170 223 131.18
47位 札幌市 123 183 148.78
平均 1,174 1,326 115.49
「あじ」の購入数量、支出金額とも長崎市が1位で、購入数量は3,008gと平均(1,174g)の約2.6倍となっています。
あじ類の漁獲量は、1位が長崎県、2位が島根県で全体の約49%を占めています。
最南端の那覇市が最下位(47位)で、最北端の札幌市が46位と南北両端が少ないのは、気候(海水温など)的に近海に「あじ」の生息が少ないためと思われます。
◇都道府県庁所在市別「いわし」の消費(購入数量、支出金額)について
順位 都市名 数量(g) 金額(円) 購入単価(円/100g )
1位 鳥取市 2,441 1,692 69.32
2位 長崎市 1,331 1,233 92.64
3位 青森市 1,282 777 60.61
4位 松江市 1,254 1,028 81.98
5位 新潟市 1,193 865 72.51
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43位 徳島市 424 327 77.12
44位 甲府市 387 394 101.81
45位 長野市 387 452 116.80
46位 札幌市 384 314 81.77
47位 那覇市 97 144 148.45
平均 804 659 84.70
「いわし」の購入数量、支出金額とも1位は鳥取市で、購入数量は2,441gと平均(804g)の約3倍、第2位の長崎市(1,331g)の約1.8倍となっています。
いわし類の漁獲量は1位が千葉県、2位が三重県、3位が茨城県で全体の約35%を占め、長崎県、島根県と続いています。
「まぐろ」や「あじ」のように漁獲量の多い県の県庁所在市の購入数量が多いとは限らないという、興味深い結果です。
なお、「あじ」と同様に南北両端が購入数量が少なくなっています。
沖縄県は漁獲量が有りませんが、北海道の漁獲量は12位となっています。
◇都道府県庁所在市別「かつお」の消費(購入数量、支出金額)について
順位 都市名 数量(g) 金額(円) 購入単価(円/100g )
1位 高知市 4,565 8,944 195.93
2位 福島市 2,348 3,962 168.74
3位 水戸市 2,166 3,271 151.02
4位 仙台市 2,157 3,514 162.91
5位 盛岡市 1,791 2,966 165.61
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43位 熊本市 539 932 172.91
44位 札幌市 519 719 138.54
45位 福岡市 512 808 157.81
46位 金沢市 495 683 137.98
47位 大分市 401 614 153.12
平均 1,067 1,747 159.94
「かつお」の購入数量、支出金額とも1位は高知市で、購入数量は4,565gと平均(1,067g)の約4.3倍、2位の福島市(2,348g)の約2倍弱となっています。
かつお類の漁獲量は、1位が静岡県で全体の約29%を占め、東京都、三重県、高知県と続いています。
高知県の漁獲量は25,794tで静岡県(91,425t)の約4分の1です。
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