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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【7/22】

2023年07月23日 11時08分45秒 | マリーンズ2023
≪7/22≫


「最悪な前半戦だったと思います」。

 ロッテの山口航輝は、このように前半戦を総括した。山口は2月の練習試合で5本の本塁打を放ち、オープン戦でも2本のアーチを描いたが、開幕してからも2月の練習試合で見せていた打撃を披露できず、今季初本塁打は4月25日の西武戦、80打席目。さらに4月30日には『左大腿二頭筋損傷』で一軍登録抹消となった。

 「開幕前に自分の思い描いた通りにならない中で、焦りというのはありました。高いところを目指してきたぶん、自分にがっかりすることもたくさんありました。まだまだ足りないなと思う部分は開幕前から思っていましたけど、開幕して改めて自分の力のなさを感じました」。

 5月28日に一軍再昇格を果たすと、30日の巨人戦で今季第2号ソロを放てば、6月5日の阪神戦では一時逆転となる第3号3ランを含む5打点の大暴れ。7日のヤクルト戦では第4号3ランを含む3安打の活躍を見せ、11日の広島戦で第5号満塁本塁打。交流戦は打率こそ.227だったが、12球団2位の15打点。交流戦明けも6月27日のオリックス戦で0-1の9回に平野佳寿からライト前に一時同点となる適時打、7月1日の楽天戦では6-2の5回一死走者なしの第3打席、弓削隼人が2ボール1ストライクから投じた外角高めの138キロストレートをバックスクリーン右に本塁打。山口らしい“逆方向”への一発だった。 

 「もっともっと右方向に強い打球、ホームランとかを打ちたいと思いますし、1回ファームに落ちて色々考えることが多かったです。そこでひとつ成長できたと思うので、怪我して良かったわけではないですが、怪我して気づくこともたくさんあったので、そこは自分のモチベーションというか、それまで試合に出ていても苦しかった。毎日何をしてもうまくいかない、その中で試合に出してもらっているので、なんとかしないといけないという気持ちと頭がついてこないというか、そういった部分もあってファームに落ちた時に一軍の試合を見て、どんな状況であっても上で試合に出られることは、幸せなことだなと感じたので、家で何してるんやろうなと感じで見ていました。そこで落ちた1ヶ月間というはいい時間になったのかなと思います」。

 いよいよ22日からオールスター明けの戦いが始まる。ロッテは現在首位・オリックスと3.5ゲーム差の2位。リーグ優勝を狙える位置につけている。勝負所での山口の一打、一発がチームの勝ち負けに大きく関係してくるだろう。

 「前半みたいな成績では絶対に終われないと思っているので、シーズンが終わった時に1位に入れるように、そこに貢献できるようにやるだけだと思います」。

 昨年は8月に月間打率.306をマークすれば、9月は1試合3本塁打を放つなど6本塁打、18打点の活躍を見せた。

 山口本人は「体は動きやすいので、暖かい方が好き」と話すが、「暑さに弱いので、どうですかね、すぐへばっちゃうので、ベンチとかで、クールダウンしながら、なんとか凌げればいいかなと思います」と話した。

 「もっともっと練習をして、出してもらっている立場なので、なんとか期待に応えられるようにやっていきたいなと思います。これだけ試合に出させてもらって、打席にも立たせてもらって、こんな成績では絶対に終われないと思っているので、後半戦しっかりチームの力になれるように、そこだけはちゃんと意識してやっていきたいなと思います」。

 山口が勝利に導く一打が増えた時、リーグ優勝が見えている時だ。

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪7/22≫


 魂のスイングがマリーンズファンの心を鷲掴みにしている。その強打から人は「ダイナマイト慎吾」と呼ぶ。ジャイアンツからマリーンズにトレードで加入した石川慎吾外野手は、移籍後7試合に出場し18打数10安打(二塁打3本)、打率.556(前半戦終了時点)と大活躍を見せ、チームの勝利に貢献している。

デビューは東京ドーム主催試合

 マリーンズデビューはトレードが発表された3日後の7月6日、場所は奇しくも古巣ジャイアンツが本拠地を置く東京ドーム。マリーンズ4年ぶりの東京ドーム主催試合だった。出番は代打で訪れる。勝手知る一塁側スイングルームで集中力を上げながら迎えた8回の攻撃。同点に追いついた直後の2アウトの状況で名前をコールされると地鳴りのような声援が沸き起こった。今まで感じたことのない衝撃が心に響いた。

「あれは一生、忘れることがない。あの独特の歓声をボク自身は受けたことがなかった。やっぱり、移籍してくると不安なんです。ファンの皆様が果たして受け入れてくれるのか、って。3球団目なのですが、こればっかりはやってみないとわからない。そういう意味でも本当に驚きました。まだ、マリーンズでなにも結果を出していない自分にあの歓声ですから」 

 カウント1ボールからライオンズのリリーフ右腕・森脇亮介のナックルカーブを躊躇なく振り抜くと、打球は中前で弾けた。鳴りやまぬ「シンゴ」コール。ドーム特有の反響も重なり、重厚な音は一塁ベース上の石川の耳から、心の奥底まで響いていった。代走が送られベンチに戻ってくると「ヤバい。有名選手になった気分。鳥肌が立った」と興奮気味に口にした。そして「マリーンズファンに打たせてもらった」と戻ってきた移籍後初ヒットのボールを手にしみじみと語り、感謝の言葉を並べた。

「思い出だらけ」原点の北海道で…

 不思議なものだ。古巣ジャイアンツの本拠地で初ヒットを記録した翌日に向かった先は、北海道。石川をプロへと導いたファイターズとの2連戦が組まれていた。思えば初本塁打と初盗塁は北海道だ。7月8日のデーゲームでの出番は同点で迎えた7回2死一、三塁。マウンドには元同僚でお世話になった先輩の宮西尚生が立っていた。「走者を帰すことだけを考えていた」と、カウント2ボール、1ストライクからセンターへの勝ち越しタイムリーヒットを放った。しぶとく中前に弾き返した。絶対に勝ち越しを許すまいと左腕から放たれたキレのあるボールを魂で押し返したようなこの男らしい打球だった。これが試合を決める移籍後初打点。マリーンズは連勝を伸ばしていった。

「あれも嬉しかった。エスコンフィールドでプレーをしたいと思っていた。北海道は思い出だらけ。北海道のファンの皆様も温かかった」と振り返った。 

 スタンドのいたるところに石川慎吾のボードを手に持つファンがいた。着ているユニホームを見てみるとほとんどがファイターズだった。どれほど、彼がこの北の大地で愛され続けていたのかが、よくわかる光景が広がっていた。 

夢を語り合った仲間との再会

 対戦こそしなかったがこの日のファイターズ先発は上沢直之。レフトを守っていたのは松本剛だった。同じ年のドラフトで指名された友だ。高卒で同じ年に入団した仲間にはもう一人、今シーズンからFAでホークスに移籍した近藤健介もいる。いつも4人で未来を語り合った。そして一軍で活躍する日を夢見て、二軍で汗を流した。笑い、泣いた。時は流れ、今。ユニホームは違っても、4人ともに一軍でプレーしている。その中で石川は3球団目のユニホームに袖を通し、上沢、松本の対戦チームの一員として同じ舞台にいた。

「高卒は4人。早いもので30歳になりました。よく一緒に遊びましたし練習をしました。もちろんプレーボールがかかったら敵になりますが、同志のような感覚があるし、みんなを尊敬している。(松本)剛も昨年、首位打者になりましたけど、剛ならやれるとずっと思っていました。本当に凄いと思っていた。そういう意味でもあの日、同じエスコンフィールドのグラウンドに立って、満員のファンの中で野球がやれているのは嬉しかった」

「北海道、大好きです」

 石川は感慨深い表情で振り返る。初めて北の大地に誕生した新球場でプレーした一日は色々な想いが駆け巡る一日でもあった。そしてその日の最後を締めくくるかのようにヒーローインタビューに導かれた。マイクを渡されると、スタンドに語り掛けるようにこう口にした。

「この世界に導いてくれたのはファイターズ。北海道のファンの皆様には本当に離れた間も凄く応援していただきました。その声は凄くボクに届いていました。感謝の気持ちはすごく持っています。北海道、大好きです」

 背番号「50」に、敵味方関係なく喝さいが降り注いだ。それは努力を続け、歯を食いしばり戦い続けている戦士への賛辞だった。

「持っている物以上のものは出ない」

 石川がよく口にするフレーズだ。ガムシャラにプレーしていた20代前半。しかし、いつしか、ただ全力を尽くしても結果が出るものではない、と気がついた。結果を出そうと力みも生まれる。成績が伴わないと自分を責めてしまう。そんな中、たどり着いた境地。やれることをやる。自分の能力としっかりと向き合って、今、何が出来るかを自分でしっかりと見極め、実行に移す。それがマリーンズで好結果を生んでいる。

「10年やったぐらいから考え方も変わってきました。どこか一歩引いて冷静に。打席には、ただ打ちたいとかではなくて明確な目的、意識、狙いをもって立つようにしています」

 ファイターズからジャイアンツ。そして今年7月、マリーンズへ。どうしても苦労人の印象が付きまとうが本人は「苦労人ぶっているだけですよ」と笑う。

「ボクに力がなかっただけ。苦しいことは沢山ありますけど、振り返ったらすごく恵まれていたと思います。それに野球をやれていることが幸せ。野球を辞めた時に後悔はしたくない。そういう風に考えています。そもそも苦しくない仕事なんてないんじゃないですかね」

自分と向き合い、たどり着いた境地

 これは決して書物を読んで導かれた人生哲学でもなければ、誰かからの言葉でもない。

「いいことも悪い事も自分の肥しにしたい。野球だけではなく人間的にも成長することが大事だと思っている」

 この世界でどうやったら生き残れるかと必死に自分と向き合い戦ってきた石川が長年かけてたどり着いた境地。だからこそ価値があり、深い。そして今、その考えがマリーンズの力となっている。

 人生において人を支えるのは出会いという縁だ。石川も様々な人と出会った。プロに入ってからはファイターズ、ジャイアンツで出会いと別れを繰り返し支えられてきた。「本当に色々な人に支えられ、声を掛けてもらい今があります。感謝しかない」と石川。ファイターズに一緒に入団した仲間もいた。色々と教えてくれたり励ましてくれたりした先輩や指導者がいた。

「マリーンズはいいぞ」澤村の言葉に…

 そして今年、3球団目となるマリーンズに移籍した。ここにはジャイアンツ時代に共に戦った村田修一コーチや澤村拓一、(C.C.)メルセデス、(グレゴリー・)ポランコ。そしてファイターズ時代にお世話になった吉井理人監督、岡大海もいる。沢山の縁、数奇な縁に導かれて再び同じユニホームに袖を通し、同じ目標に向かって突き進む。

「澤村さんとはトレードが決まって電話で話をしました。『ウェルカム。マリーンズはいいぞ、一緒に頑張ろう』と話をしてくれた。澤村さんが言うように本当にいいチーム。若い選手も多いですし、皆さんやりやすいようにしてくれている。ボクより年下の選手も多いですけど話しかけてくれる。このチームの力になりたいと思っています」

 まだ入団して1カ月も経っていないが、思い出が詰まる東京ドームでデビューし、北海道で躍動し、マリーンズファンにも「ダイナマイト慎吾」という異名が定着した。奇跡を呼ぶ男、「ミラクル慎吾」でもある。

 後半戦が始まった。ペナントレースはさらに熾烈な戦いへと向かう。そんな中で石川の加入は大きい。熱く冷静に勝利に導く一打を放つ。その魂がマリーンズを悲願のVへと推し進める。

梶原紀章 (千葉ロッテ広報)

(Number)

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