東京地形散歩意外に起伏の多い東京の地形を撫で回します。
 
東京23区の最も東に位置する江戸川区。その区名の由来となった江戸川には
妙見島、という島があります。埋め立てではない天然の島ということでは
佃島もそうなのですが、佃島が北部のごく一部を除いてほとんどが埋め立てで
できていることを考えると妙見島こそ「都区内唯一の島」と言っても差し支えないでしょう。

妙見島(Googleマップ)

もっとも、島内には佃島のような古い家並みどころか大工場しか存在しないので、
”趣き”といった面からすると甚ださびしいものがあります。

工場ばかりの案内図。

とはいえ、この島周辺地域は中世には川の関所「河関」が設けられ、
江戸川(当時は太日川)を行きかう数多くの船から通行料を徴収していました。
河関は流域に幾箇所も設けられていましたが、この辺りは川の入り口という
こともあって一際重要な存在であったと考えられます。

島の名前の「妙見」は「妙見菩薩」に由来しますが、これは北極星を
神格化したものであり、「北辰(=北極星)妙見信仰」等と呼ばれます。

中世、下総の国で栄えていた千葉氏はこの妙見菩薩を信仰していたことで
有名です。河関そのものは香取神社によるものでしたが、千葉氏は
香取神社の式年遷宮を執り行うなど両者の関係は深いものでした。
島周辺が千葉氏の西方進出の拠点となっていた時期があり、その名残が
島の名前に残ったと考えることができそうです。

※坂本竜馬が会得したという「北辰一刀流」の創始者・千葉周作もまた
 千葉氏の系譜に連なる者であると考えられ、流派の名前に千葉一族に
 伝わる北辰妙見信仰を見ることができます。

さて、島の中は大型トラックが頻繁に行き交うので事故に遭わないように
一層の注意が必要です。そんな埃舞う島の片隅に小さな祠が。
造花と石仏。天保年間の作?


ちょっとだけ艦橋っぽい。
島には大量の電力消費をまかなうべく張り巡らされた電線。


島の西岸。より狭い方のこちらには屋形船を始め各種の船が係留されている。


猫にとっても住みやすい島とは思えないのだけど・・・
それとも”猫の社会科見学”?


島の東岸には船着場。


島の北端。外と内。川の流れがぶつかってさざ波を立てる。

肝心の妙見神社は島の北側、月島食品の入り口の脇に控えめに立っています。

うっかりしていると通り過ぎてしまいそうなたたずまい。



なりは小さくても立派に島の鎮守の神様です。

とはいえ、かつて妙見島に置かれていたという妙見堂は、北に3キロほど離れた
一之江の妙覚寺に移されているそうです。


妙見島の黄昏。
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