東京地形散歩意外に起伏の多い東京の地形を撫で回します。
 
地べたで再発見! 「東京」の凸凹地図

技術評論社

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東京の地形というマイナージャンルに日の目を見せてくれたものの、
実用性という面では難ありだった「アースダイバー」から半年。
ついに東京地形本の決定版とも言うべき本が登場しました!

「ふだん見過ごしている『東京』の地形のフシギやギモンをあばく!」
「ビルをなくせば見えてくる東京の大自然」

というコピーがこの本の中身を端的に表現してくれていますね。
それは東京の地形好きが求めているものと同一のものなわけですが。

東京23区を中心に、新宿や渋谷のような馴染み深い場所で、
なおかつ地形的にも見るべきものがあるスポットを多数
取り上げ、その見所をわかりやすくまとめてありますので、
これ一冊あれば東京地形散歩にすぐ出かけることができます。

最初に地形用語集や地形ができる仕組みを配置して単に凸凹してるね、
で終わらせない、初心者にもやさしい作りになっているのもすばらしいです。
さりげなく入っているコラムもツボを押さえていて素敵。
水系と切り離せない氷川神社の分布のことについても触れられています。

おお!と思ったのが「地図が立体に見える3Dメガネ」(実際には地図じゃ
なくて航空写真ですが・・・)。東京の地形の凸凹が「手にとるように」
わかります。これは感動。六本木ヒルズの「都市の模型展」で見た
東京の模型で地形を忠実に再現しているのを見たとき以来の感動です。
何度も見入ってしまいました。まさに東京を撫でて愛でる感覚。

お値段もこれだけの中身が詰まっていて1,680円とお買い得プライス。

とにかくバランスよく過不足ない内容になっているので、東京の地形を
探索してみたいなぁと思う方はまずこの本からスタートするのがベストです。
手放しでお勧めできる本ですね。

これを超えるようなモノを求めるとすれば、前に取り上げた
「ウォーキングナビ東京 山手・下町散歩」
の23区版とこの地形図を
組み合わせた本になるでしょうか。地形情報のレイヤーと歴史情報の
レイヤーと今の案内図を組み合わせれば最強、なんでしょうが
そういうのは売れないだろうな。
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最近は地図遊びに凝っていますがここ「東京地形散歩」は本来、
東京の襞々のような山あり谷ありの地形をうろうろしながら
普段は表に出てこない生の東京を体感して悦にいるという、
あんまり人に言えないような淫靡な嗜好のサイトであるとの自覚はあります。

なのでまさかこういう本が出てくるとは思わなかった。

アースダイバー

講談社

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宗教学者の中沢新一が、東京の襞々地形に遺跡や神社仏閣を書き込んでもらった地図
(氏はこれを縄文地図と呼ぶ)を片手に、自転車でうろうろしながら書き綴ったエッセイ集みたいなもの。

やってることまんま同じというか、どこかですれ違ってたりして・・・

「東京は決して均質な空間としてできあがってなどはいない」という氏の主張には
大いに首肯するところでして、ぜひともこの本が売れてこの妖しい嗜好に
市民権が与えられることを切に望む次第です。
#「アースダイバー式」っていう氏の呼び方には正直萎えますが。

いやほんと、谷根千あたりならカメラもってうろうろしててもOKですが、
何の変哲もない住宅地(少なくとも、一般の人にとっては)で地形を
撮ってるんですといっても怪しまれること請け合いなので・・・。
住民に不動産屋と間違われたり、お巡りさんに声かけられたりしましたし(涙)

この東京の襞々の一つ一つに分け入り、あるいは尾根筋をたどっていく度に、
自分の中の「東京」へのイメージが壊されて新しいわけのわからないものが
積み重なっていく快感はそうそう他で得られるものじゃぁありません。

ぜひとも一度この本を手にとって、巻末のアースダイビングマップを片手に
東京を体感してみてください。

で、そうはいってもこの本にはいいたいことがいっぱいあるので
それはまた次の機会に。


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廉価版、というのはかなり失礼な言い方ですが、「図説 江戸・東京の川と水辺の事典」の方が
どうしてもお高めなのに対して、こちらの方は気軽に手を出せる価格です。

内容は、「図説」が集大成とも言える大著であるのに対して、
そこに至る過程の優れた本、といった位置づけになるでしょうか。
コンパクトでとてもよくまとまっています。
「渡来民」へのまなざしはこちらの方がより熱いものになっています。

江戸の川・東京の川

井上書院

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この本ほど徹底的に東京の河川とその歴史について書き上げた本はないでしょう。
かなりお高めの本ではありますが、逆にこれ一冊あればこの分野の情報の多くが
この本(あるいは鈴木氏の著作群)から引用されているといっても過言ではないので
それだけの価値はあります。

かくいうこのBlogもこの本に拠っている所が大きいです。
これだけ「川」にはまったのも氏の著作のせいです(^^)。

鈴木氏の視点がユニークだと思うのは、江戸という町を「何度も何度も大きな
移民(氏は渡来民という)の波を浴びてきた場所」として描いているところです。
古代には大陸からの文字通り渡来民が、中世には伊勢・熊野といった地域から
水運に乗って宗教や商人が、江戸時代には大阪からの移民により「佃島」が
設定された経緯、といった具合に江戸・東京がいかに多種多様なものから
出来上がった、重層的な都市であったかを強調されています。

もちろん、その最下層には水系に代表される地形が横たわっているわけで、
中世東京の歴史を学ぶ上でもこの芯が一本通っているかどうかでだいぶ
理解の仕方も変わるのではないかと思います。

巻末についている、「江戸・東京全河川解説」は圧巻です。
これだけでも十分価値があるというものです。
※が、渋谷川の支流である河骨川のあたり、ちょっと間違ってます。
 明治神宮北池からは西の参宮橋に流れるのではなく、東に流れて行きますが・・・

図説 江戸・東京の川と水辺の事典

柏書房

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都内を散策するにあたっていろいろな本を読み漁りましたが、
この本が一番のお気に入りです。カメラバッグに忍ばせていたり、
通勤時に眺めながら次のコースをああでもない、こうでもないと
妄想にふけったり、一番持ち歩いている時間の多い本です。

東京23区の中でも江戸の範囲+αの部分しか載ってないのですが、
その書き込みの情報量たるや半端じゃない。
古今の名所旧跡をこれでもかと言うくらい詰め込んでます。

自分はこれにさらに地形のアウトラインを書き込んで使っています。
このブログに登録しているマップと同じような感じです。

これほどいい本はないというのに、どうも絶版のようで
紹介しても仕方ないのかもしれませんが、
どこかで店頭在庫を見かけたら手にとって見てください。

2000年の内容なので今となっては古い部分があるのが難点ですが
そこは20世紀最後の時点での東京を切り取って保存してあるということで。

是非昭文社さんには改訂版を出版していただきたいものです。
望むらくは、23区全域をカバーしたものを。

ウォーキングナビ東京 山手・下町散歩

昭文社

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