

室内楽の中で何が一番好きかと聞かれると、えらい悩んでしまう。ブラームス弦楽5重奏曲第2番ト長調か。シューベルト弦楽五重奏曲ハ長調か。はたまたシューマンピアノ五重奏曲変ホ長調か。この三曲が私のトップスリーだ。しかし今年の一番は何と言っても、シューマンピアノ四重奏曲 変ホ長調作品47である。今年の五月NYで、長女ミコがこの曲を仲間と弾いたのだ。三楽章に、チェロのソロから始まる美しいメロディがある。ミコは、人を深く愛する事を知った大人の音色で、ゆっくりとした大人ビブラートで、これを弾いた。泣かされた。
私はいつもコンサートの前に曲を聞いてから行くといいですよ、と勧めることにしている。全楽章聞いてる暇が無いという方には、この三楽章をお勧めする。ジュリアードカルテットとグレングールドの演奏の、このYouTubeでは、-15:00〜-7:00くらいまでが三楽章。これを何度か聞いてコンサートに行くと、一楽章から二楽章と続けて聞いて、このメロディが出てきた時、あなたは、あああこれは私の歌、と感動するだろう。カップルで来ていたら、彼女の肩をさりげなく抱く場面ですよ。アンダンテ・カンタービレ。お忘れなく。