
ニックはチェロレッスン、私は姉の家業を手伝いに松山へ毎月通う。姉んちランチに焼そばを食べたのがニックは気に入り、成田空港で同じような目玉焼の乗った焼そばを見つけて注文した。が、気に入らなかった。焼きそばは家で食べるもの、という教訓がニックにインプットされた瞬間。
姉んちは昔からなぜかいつも大所帯。甥姪孫達とご飯を食べてたニックがつぶやいた。
「みんなで食べる。」「美味しい。」
おっ、と思った。あとここに助詞「と」を入れたら、「みんなで食べると美味しい。」という普通の会話が成立する。最近こういう単語ユニットが増えてきた。後はつなげてくだけ。
山中湖に足りないものは映画館。マイルスデイヴィスの伝記風映画を松山で見てニックが、「マイルスは天才だけど、ハイドンのトランペット協奏曲が吹けるかと言えばNOだ。」と言った。んなこたあないマイルスなら吹けるやろ、と私が言ったらムキになり、サビの所を自分でパパパパパパパパ歌って聞かす。義兄の兼光さんに「CDドコデスカ?」と聞く。CDコレクション沢山あり過ぎて無理と思ったが、兼光さんは麻婆豆腐作って下さりながら、何と探し出したよ。かけてもらうとニックは喜び、モーリスアンドレと一緒にパパパパパパパパ歌い出す。したところ、うちの姉もニックと一緒にパパパパパパパパ歌い出したよ。おおっ。これってそんな有名な曲なの? ナサニエルローゼンと夏井いつきの口トランペット共演って非常にレア物を聞けた。