弦子、十二回目の誕生日。十二年前、すったもんだの末、出てきたと思ったら一秒で泣き止んで、にやっと笑ってウインクした。泣いたことがない赤ん坊。ミルクを飲んで寝てばかり。弓子にごろごろころがされる遊びが好きだった。三歳のとき、自分でおむつを外して、「もういや。きょうからトイレでする」と宣言し、実際にただの一度もおねしょしなかった。