朝井リョウの『死にがいを求めて生きているの』を読んだ。
先日読んだ『シーソーモンスター』に続いて〈螺旋プロジェクト〉の作品。
8人の作家による競作企画〈螺旋プロジェクト〉には、もともと人には山族と海族とがいて、すべての争いはその二族の対立に起因するという共通ルールがある。
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山族と海族の対立の伝説をベースに置きながら、いつも何かに傾倒して生きる意味を見出そうとしている堀北雄介を描くお話し。語り手は小学生の同級生、中学生の同級生、大学での活動で知り合った男、TV番組制作会社のディレクター、看護婦、幼馴染で、自分の人生とともに一時期に重なった堀北雄介を語っていく。
堀北雄介という特異な人間像を描くことで「生きがい」というものを問いかける作品。なかなかに読み応えあり。山族と海族の対立の伝説を巧くお話しの中に取り入れていて、著者の力量を再認識させられる作品だった。
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