ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『アンナ・カレーニナ』2日目

2010年04月11日 | Weblog

Nさんからの寄稿の続きです。

新国立劇場バレエ団『アンナ・カレーニナ』2日目

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アンナ:厚木三杏

カレーニン:山本隆之

ヴロンスキー:貝川鐵夫

キティ:堀口純

初めて鑑賞したエイフマン作品に感激し

日本人キャストが益々楽しみになっていたのだが、

予想を遥かに上回る素晴らしさだった。

 

アンナ役の厚木さんは、

踊り、表現が力強く、渾身の舞台だった。

団員の中でも際立って華奢な身体から、

アンナの情念がほとばしっていた。

 

山本さんのカレーニンは、

アンナを心から愛している思わせる、優しい夫であった。

若き青年将校へ走ってしまう妻を取り戻そうと

怒りを抑えながら苦悩する表現は流石というほかない。

アンナとヴロンスキーが2人きりで過ごしているところを

見つめる表情が、あまりに切なく、胸に迫るものがあった。

(官僚にしては実に色気のある夫に見え、

また妻への一途な愛情が伝わってきた為か、

アンナが他の男性に心移りする理由が謎に思えてしまったほど)

 

男性の群舞と一緒に激しく踊る場面では、

コンテンポラリーの経験が豊富なダンサーなだけあって

踊りの精度が抜群であった。

切れ味、スピード感ともにずば抜けていた。

 

貝川さんのヴロンスキーは、育ちの良さそうな

朗らかな青年であった。

アンナとの出会いは危険というよりは幸福感で一杯な様子で、

どちらかといえば終盤まで幸せそうな表現に目立ったように見えてしまった。

何しろ生活が完全保障されている美しき女性を

高級官僚の夫から奪うのである。

もう少し、荒っぽさや危険な香りを漂わせてくると

物語に説得力が出てくるであろう。

 エイフマンの独特の複雑な振付やリフトはしっかりこなしていて、

非常に良かった。

群舞については初日と同様秀逸であった。

日追記したいのは2幕冒頭に男性群舞の場面である。

ここで2トップを務める福岡雄大さん、福田圭吾さんが

びしっと決めていて大変気持ち良かった。

残り4回も全て鑑賞する予定だが、

どんな舞台に出会えるか益々楽しみである。

まずはダンサー達に怪我や故障がないことを祈りたい。

 



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