ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団によるバレエ・オープニング・ガラ 2011年10月1日(土)-2-

2011年10月04日 | Weblog

Nさんの寄稿の続きです。

〔第2部〕
パ・ド・ドゥ3選 

『眠れる森の美女』第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大

小野さんの清らかな輝き、清潔感のある踊りが印象深く、
また福岡さんはノーブルで美しく、確かな技術に魅せられた。
第2部の幕開けに相応しい華やかさがあった。

『ロミオとジュリエット』第1幕より バルコニー・シーン
ジュリエット:本島美和
ロミオ:山本隆之

本島さんは恋に目覚めた初々しさに溢れるジュリエットで、
きらきらとしていた。
山本さんはジュリエットを愛おしく、優しく包み込むロメオで、
今年7月に引き続き当たり役であるロメオを
鑑賞できたことは嬉しい限りである。

上演の都合上バルコニーがこじんまりとしていたが、
絵本に登場するような可愛らしいセットで
恋人達の微笑ましさ引き立てており、
これはこれでなかなか良かった。

難度の高いリフトが多く見応えのある振付で
ガラでもしばしば上演される人気演目だが、
このパ・ド・ドゥはやはり全幕で観たいと思わせた。
近いうちの全幕上演を強く望みたい。

『ドン・キホーテ』第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
キトリ:米沢唯
バジル:菅野英男

米沢さん、菅野さんともに手堅くまとめ、
力任せに踊ることのない、正統派のクラシックを披露していて好感を持った。
特に、米沢さんの扇を上下させて開閉しながらも
安定感を保ったグランフェッテは素晴らしかった。
お2人のパゴダの王子が楽しみである。

『シンフォニー・イン・C』より 最終楽章
第1楽章プリンシパル:長田佳世 福岡雄大
第1楽章コリフェ:西山裕子 大和雅美 小口邦明 小柴富久修
第1楽章コール・ド・バレエ:楠元郁子 北原亜希 井倉真未 加藤朋子
                 柴田知世 成田遥 益田裕子 若生愛

第2楽章プリンシパル:川村真樹 貝川鐵夫
第2楽章コリフェ:細田千晶 川口藍 清水裕三郎 田中俊太朗
第2楽章コール・ド・バレエ:千歳美香子 堀岡美香 今井奈穂
                大湊由美 小村美沙 中田実里

第3楽章プリンシパル:寺田亜沙子 輪島拓也
第3楽章コリフェ:寺島まゆみ 堀口純 野崎哲也 宝満直也
第3楽章コール・ド・バレエ:今村美由起 原田有希 奥田花純
                 盆子原美奈 原田舞子 菊地飛和

第4楽章プリンシパル:丸尾孝子 古川和則
第4楽章コリフェ:さいとう美帆 高橋有里 アンダーシュ・ハンマル 原健太
第4楽章コール・ド・バレエ:石山沙央理 五月女遙 酒井麻子
                 朝枝尚子 広瀬碧 山田歌子

一糸乱れぬコール・ドの精度の高さは
新国立の誇りであると改めて感じさせた。
プリンシパル陣の中では、
第1楽章の長田さん、福岡さんの踊りが特に正確で切れ味が良く、
伸びやかで晴れ晴れとしていて出色であった。

パ・ド・ドゥが3つだけにとどまり、
海賊やシルヴィア、サタネラ、タリスマン、ディアナとアクティオンといった
ガラならではの作品も取り入れて欲しかったというのが正直なところではある。
しかしながら今シーズンもバレエ団の公演が楽しみになる充実した内容で、
同時にお手頃価格なガラ公演は大変ありがたい。
来シーズン以降の開催も願うばかりである。

次回は新制作『パゴダの王子』、
当初のヒロインの名前がローズ姫からさくら姫に変更があるなど、
日本の香りがより強い作品になりそうである。
ビントレー監督が観客をどのように
ファンタジーの世界に招き入れるか、期待したい。



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3 コメント

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続きも楽しみました (ARUYARANAIYARA)
2011-10-05 08:25:27
Nさんの清楚で簡潔な文章が心に届き、
二部、三部への想いがよみがえりました。

私的には、やはり「ロミジュリ」ですね。

最初に幕が上がって、唖然としました。
バルコニーが低く、しかも、下手側に階段があって、
「これじゃ、すぐに手が届き、
しかも簡単にロミオが駆け上がれる、
二人を隔てるものがない分、せつなさが出てこない」
なんて、ちょっと憤慨と残念な思いでしたが。

その思いも、お二人の「パ」によって、すぐに打ち砕かれました。
素晴らしい表現力によって、
見事にロミジュリ・ワールドを構築されてました。

技術的にはお二人とも、体調その他の様々なことで、
かなり、マクミランは抑えられていましたが。
そういった批判は、少なくとも山本さんには、
見当違いかなと思います。

元々、彼の真骨頂は、その「佇まい」「表現力」です。
体調不良の中でも、せつないまでの素敵な「ロミオ」でしたね。

米沢さんの「キトリ」、なかなか良い感じ。
フェッテのダブルは、ABTのどなたかを髣髴させる見事さでした。

バランシンは苦手です。
バレエを観ている感じがしなく、マスゲームを見ているみたいで。

だったのですが、初めて好きになりました。
高い技術に裏打ちされたフォーメーションとパにより、
それはそれは素晴らしい「バレエ」でした。
こんなに面白い演目とは思いませんでした。

私に、新たなバレエ鑑賞眼を授けてくれて、
ありがとう!新国立。

長々と失礼いたしました。
返信する
ありがとうございました (管理人)
2011-10-09 06:39:43
Aruyaranaiyaraさん
うーん。そちらも可なりバレエにお詳しいですね。

鋭いご指摘ありがとうございました。
返信する
このたびもありがとうございます ()
2011-10-15 14:28:55
Aruyaranaiyaraさん

このたびもたくさんのコメントありがとうございます。豊かな言葉の数々に益々感激いたしました。

仰る通り、山本さんは佇まいだけでも魅せられる貴重なダンサーであると思います。バルコニーの場面のみではあったものの自然と引き込まれるものがありました。Aruyaranaiyaraさんの感想を嬉しく拝読いたしました。

ABTのどなたか、とはひょっとしてジリアン・マーフィーでしょうか。米沢さんは要注目ダンサーであると改めて思いました。

バランシンがお好きになってくださりバランシンファンとして喜ばしい限りです。シンフォニーインCは群舞の見せ所の多さが新国立に合っていますし、本当にバレエが上手な人達が揃って踊る舞台は圧巻で、中でも第4楽章は何度観てもビゼーの音楽とともに気持ちが高揚します。昨秋初めてこの作品を観たときから大好きな演目です。

このたびも嬉しいコメントをありがとうございました。また是非お立ち寄りください。
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