ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ザハロワのカルメン-2月8日ー

2007年04月10日 | Weblog

いつも色々なアドバイスを頂いているボリショイ通の方から下記観劇記を寄稿頂きました。2月8日の舞台を見ての観劇記です。流石です。

 

幕が開いて、ザハロワの姿が浮かび上がり、曲に合わせてポーズを決めていく。瞬間、「すごくきれい」と感じる。おそらく各ポーズが”きれい”に見えるよう、かなり計算しているのだろう。細かい動きを排除し、キメのポーズを長めにとることで強烈な印象を残すステパネンコのカルメンとは対照的。そして彼女のカルメンは一貫して、きれい&かわいい。一般的にいわれる、情熱的、自由奔放、はすっぱな、というものは感じられない。プティ版「カルメン」を踊った際にカルメンは”自分の役はない”と感じたことを、以前インタビューでザハロワは語っていたが、確かに彼女のカルメン像はプティの奔放な女と色男のドロドロ愛憎劇には向いていない。「牛」の暗示におびえ、ホセから逃げようと闘牛士にはしるカルメンに、この物語はホセが「運命の女」に出会った悲劇なのではなく、カルメンが「自分に死をもたらす男」と出会った悲劇という印象を受ける。 一言で表すと、ザハロワらしいカルメン。 やっぱりザハロワは何を踊ってもキーロフのお姫様ですね。私は好きなのですが、ゴールデン・マスクにノミネートされなかったのはこの「カルメン姫」に対する違和感が理由かもしれません。一方、アレクサンドロワ=カルメンは正統派で、ファム・ファタールとしてのカルメンと思わせるものがありました。



最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レポートと画像ありがとうございました。 (茉莉亜)
2007-04-11 06:25:10
管理人様

この画像のウヴァーロフさんとても素敵ですね。  思わず保存してしまいました!(笑)

またレポートもザハロワさん、アレキサンドロワさんそれぞれのカルメン像の違いが手に取るように把握できます。

どうもありがとうございました。

ところで、仕事の休みが取れるかまだわからないのですが、できれば5月にモスクワにバレエを見に行きたいな、と夢見ています。

ブノワ賞関係のガラとライモンダを2回見たいのです。

5月22日、23日のブノワ賞のガラ・チケットはもうとうの昔にソルドアウトのようですね。このガラのチケットを入手するのは、もう夢のまた夢でしょうか・・・

またライモンダもまだ配役すらわからないというのに、残席わずかなのですね。

お時間のある時でかまいませんので、またご指南頂けますと幸いに存じます。どうぞ宜しくお願いいたします。
返信する
アロンソ版も (くみ)
2007-04-11 09:31:49
この「カルメン」はプティ版ですね。
世界バレエフェスの時は、ステパネンコ&メルクリーエフがアロンソ版を踊りました。

プティ版だと、ホセがカッコいいので、ウヴァーロフにはお似合いだと思います。
アロンソ版は、ホセが少し情けない感じです。

ステパネンコには、カルメンは合いますね。
バレエは踊る人によって、それぞれの味がでるので、ザハロワの解釈で良いのだと思います。
返信する
5月のモスクワ (Nana)
2007-04-11 12:39:41
このブログがあるおかげで、管理人様、ボリショイ通の方、くみ様、それぞれの舞台の感想を見ることが出来、感激しています。

力の入ったボリショイ通の方の観劇記に感激でした。管理人様の仲介ですので、お二方にはまたお気持ちが向かれましたらよろしくお願いします。一方、くみ様のコメントも、とてもオーソドックスな見方ですよね。(私はいつも独断偏見路線つっぱしりであまり参考にならないですが、舞台見てない人にはオーソドックスな見方が一番参考になると思います)

とリ急ぎコメントさせていただいたのは、
茉莉亜さんの「モスクワ行きの件」でです。

私リサーチ甘いので間違ってたらごめんなさい。5月のライモンダでボリショイHP、「アントーニチェワ、ウヴァーロフ、ベロガロフツェフ」の予定日があったと思うのですが。(下旬)最新の情報ではないし、いつでも「当日キャスト変更あり」の世界なので、あてにしずぎることはできないけど。

どうもザハロワ、ウヴァーロフ予定の日は比較的予定通りがこのごろ多いかとは思うので、アントニーチェワでどうかはわからないけど。(コンビ相性はいい方だと思うし、「アレクサンドロワ」よりは固いと思うけど)

4月のアレクサンドロワの「カルメン」の予定日最初公式HP予定キャスト、ホセがウヴァになってて、それが直近でクレフツォフに変わってたと思うので。
(ホセ役は振付改訂でリフト難度を上げていて、できれば夏にウヴァに来日してほしい私としては、この変更にほっとしました。故障に繋がりそうなことは自粛してほしい。クレ以外がマリアさんの相手をしてないとこを見ると、ウヴァ、クレ以外にホセ役でマリアさんのリフトできる人がいない可能性もあるのかと疑ってます。違うかしら?)

そんなわけで、茉莉亜さんがもしモスクワへ行かれたら、ウヴァーロフをご覧になれたらよいですね。こちらもお気持ちがむかれましたら、観劇記があればなお嬉しいですが。
返信する
茉莉亜さま (やわかつま)
2007-04-11 17:39:33
新国立バレエでも、6月28日・30日に「ドン・キホーテ」で、ザハロワ&ウヴァーロフを観ることが出来ます。
お近くでしたら、是非、お越し下さい。
返信する
配役変更の事など (茉莉亜)
2007-04-11 19:15:07
時差の関係で、お忙しい管理人様からはまだコメントを頂いておりませんが、日本の皆様からいくつか私宛にご意見頂きましたので、お返事させて頂きます。 管理人様、失礼いたします。

やわかつま様、

在東京や近郊の方は6月下旬の新国立の「ドン・キ」ご覧になられるのですね。私は地方在であることと仕事が忙しい関係で、なかなか東京には出られないんですよ・・・皆様は是非お楽しみになって下さいね。

管理人様、NaNa様

実際、ボリショイHPの配役は実際よく変りますね。
少し前まではウヴァーロフさんが(4月)27日の「眠り」を主演するように出ていましたのに、最近変わりましたし・・・

管理人様はいつもとても良いお席でご覧になっていらっしゃいますね。ということは、配役発表のかなり前(チケット発売当日など)にチケットをご購入されていらっしゃるのでしょうか?

その場合、現地のボリショイ通の方などから、誰が踊るかなど事前に情報収集をされるのですか?

またご出張などお仕事の都合で、ご覧になれなくなってしまった場合、ご自分がご覧になりたくない配役だった場合は、チケットを他の方におゆずりになったりされていらっしゃるのでしょうか?

モスクワには,バレエ・ファンが必要なくなったチケットを売買するようなバレエ・ファン・サイトがありますか?

ウヴァーロフさんもご自身のHPで公演スケジュールを発表してくださると良いのですが・・・

HPをリニューアルされた後、ファンの懇願に負け、スケジュールを発表し、その後、お怪我をされ公演できなくなってしまったので、縁起をかついでもう発表されないようですね。残念です。
返信する
皆様コメント深謝 (管理人)
2007-04-12 02:27:49
皆様
流石 観劇記のLevelが高いとあっという間に多くの反響が来ますね。中々このような観劇記を書けないので今後共ボリショイ仲間の皆さんから観劇記を取り寄せてUPしますのでご期待ください。
茉莉亜さん 5月の御来訪お待ちします。Benoisは昨年何とかチケット手に入れて行きましたが通常のボリショイの窓口やHPでは最初から売っていません。一般販売の枚数も限られています。当方も現在チケット入手TRY中ですので成功したら方法をお知らせしますね。尚初日は今年のNomineeの踊り及び表彰式 翌日は昨年までの受賞者のガラです。レイモンダは現在誰が踊るのかHP上には記載ありませんね。NANAさん情報と総合すると一旦記載されて消えたんでしょうかね。当方は取り敢えず5月24日は購入済みです。尚本ブログでもPRしておりますように5月26日は当方の入っているMoscow ORTRIOのコーラスがありますので25日のレイモンダを見てご帰国されるのでなく何とかもう一泊して当方ステージにもお越しいただければ幸いです。
尚当地のチケットの交換サイトまでは知りません。当方は発売日(2ヶ月前)に誰が踊るか判らないままに演目で買っていますので都合で行けなくなった時は会社のアシスタントにあげたり(今日も実はそうなんですが)会社の人に下取りして貰ったりこの前は連日駄目となったのでダフ屋に買い取って貰いました。

くみさん これで2回目のご投稿でしょうか。今後共宜しくコメントください。尚週末にステパネンコのカルメンも見ました。復活を感じさせる絶品の踊りでした。これも近々UPします。
返信する
2/8のはアロンソ版です (Nana)
2007-04-12 03:27:09
割り込みですいません。

くみ様のコメント、「プティ版」とあって、このザハロワのカルメンの衣装、確かにそうも見えますが、ザハロワが踊ってるのは、アロンソ版です。(ステパネンコのと同じ)プリセツカヤのための作品を、今回復刻上演第一キャストのザハロワのために、アルベルト・アロンソが改訂したようで、原版は黒衣装だけだったのが、ザハロワは前半を赤、後半を黒基調の衣装にしてますね。世界フェスのステパネンコは前半シーンを踊ってたのに衣装は黒だったから、ザハロワとは衣装が微妙に違うんでしょうかね。管理人様、モスクワでもステパネンコは赤い衣装はなかったですか?

フェスでのステパネンコは、「悪さをしてつかまったカルメンが色仕掛けでホセを篭絡し、逃がしてもらえたので、”ありがとう、誰々の店で待ってるわ”という意味合いで投げキッスをして去っていく」というシーンをやったのかなと想定してたのですが。次に踊られたメルクリエフのソロは、カルメンという悪魔に恋したホセの切ない心情を歌い上げたシーンでした。

上のボリショイ通の方の寄稿の「ザハロワがプティのカルメンを見て、自分の役ではないと思った」とのインタビューは、以前のもので、そう思っていたザハロワが、周囲の協力を得て、アロンソ版はやる気になったのだと当方解釈しています。日本での去年のインタビューでは、ザハロワはカルメンを大好きな役だといってました。ウヴァとの初演のことも思い出深いようで「アンドレイは見事なホセを踊ってくれ、私もとても踊りやすかった」とのことでした。

茉莉亜さん関係で。

私も以前ウヴァーロフをモスクワまで見に行く計画たてたので、(故障の時期)行くなら出演してほしいお気持ちはわかります。

それ以上に茉莉亜さんが書かれた理由でHPには掲載しないウヴァーロフのあり方は正しいと信じています。

最初に思ったのは、茉莉亜さんが、ウヴァーロフと直接やりとりができる関係性だったら一番いいのかもね、ということですが、(とんでもないこと書いてる私。真に受けないで下さいね(笑)でも、このブログ去年9月ボリショイ通の方からの情報が出ていて、シーズン最初の9月の「白鳥の湖」に、直前はウヴァーロフは出るつもりでいて、で、当日やっぱり出なかった、というお話でしたから、仮に親しくなって本人情報あったとしても、「結果は当日」の現実はかわらないかも。

管理人さんは2ヶ月前の売り出し日にキャスト不明でも買ってらっしゃると思いますが。
ここに出てくる人のうちでは、そのボリショイ通の方が一番情報がおありとは思いますが。私自身、昨年「ウヴァーロフは出演するのか?」と6人位の人に聞かれ、私の予測は結果として当たっていたのに、結局こないと待ってる人ってがっかりするんですね。


私自身、本人とコンタクトとろうと思えば、手段はゼロではないですが、やる気はありません。自分はどっちかというと、ここで出る可能性高いかと予測して考えます。今ならモスクワでザハロワが踊る日でウヴァのレパートリーあれば可能性高いのかなと思うけど。6/9「ジゼル」は出そうとか。ロンドン公演の8/2あたりも気になります。ドンキは、自分は日本で見るので切りですが。例年なら9月のシーズン始めの「白鳥」は出そうと思うけど、なんせ怪我もしたし、7月の日本ツアーの後は当たるも八卦当たらぬも、位に思ってた方が無難かと。

やわかつまさんがミクシイやってらっしゃるので、そっちでボリショイで見る方などいないかなとは思うけど。

私自身、昔おっかけをやってる色んな女の子たちから様々に教えてもらい、感謝はしてますが、一方、おっかけやる人達はやりすぎてダンサーに嫌われる人、親しくなり友達になる人、バレエ界の内情を知ってファンやめる人、様々でした。私は出来た人間ではないので、噂話に振り回されてしまう面もあり、今は芸術のファンとして何事も距離をおくようにしています。

ウヴァは茉莉亜さんの記述にあるとおりの人です。私のようなどこの馬の骨にも、もったいないくらい優しかったし。でもスターにしてはお人良しが過ぎて、心配になってしまう人でもあります。
ファンの一人ひとりにいちいち丁寧な応対なんかしていたら、ただでさえ少ないプライベートタイムがなくなってしまうのに。

茉莉亜さんは大人だけど、彼のファンには10代の純真な女の子もいるし、人生経験と判断力は様々で、不特定多数の見るHPに出したりというのは賛成できません。期待して裏切られた人がどんな顔をするか、昨年身を持って経験したし。彼がゲンをかついでるなら、その気持ちは尊重してあげてほしいのが本音です。あの怪我の一件で、一番辛い思いをしたのは彼だから。熱烈なファンたちの思いに応えられないことも、イタいとこだったと思います。

管理人様はお人柄も良くお立場も確かだけど、バレエファンと口コミで知り合いをつくることはリスクもありますが、どこかでコネ作って直接情報とったほうが現実的かなと半分思いました。マスコミその他関係者とかでも。ウヴァに直接というのは、スターを追い掛け回して嫌われた人を私も何人か見てるので、余計なこといったかもしれません。(スポンサーになってる人と知り合いになる手もあるけど。)
あと、日本でもボリショイ通の人はいるみたいですけどね。モスクワのウヴァのファンなら知ってることは多いと思うのに、話は聞きませんね。ボリショイの周りには噂話を運んでくる、噂好きな人たちもいると聞くので、あまり深いりしたくないのですが。

茉莉亜さんは大人なのでスルーしていただけると思っております。ネットでは書けないことも多いのです。

ウヴァーロフを敬愛するファンの一人として、彼の芸術を愛して下さるファンの方々が、それぞれ別の地平から、彼の芸術といい形で出会えるよう願っています。管理人様には割り込みで、茉莉亜さんにはさしでがましいお話で失礼しました。
返信する
アドバイスありがとうございました (茉莉亜)
2007-04-12 05:49:01
管理人様、

お仕事ご多忙のご様子。
バレエのためにお仕事を定時できりあげることができなかったご様子にもかかわらず、ご丁寧なアドバイスいろいろありがとうございました。

私はシフトの仕事をしている(看護士で今日は夜勤なんです)関係で、今日は日本時間の早朝に、拝見しています。

ブノワ賞関係イベントのチケットはボリショイのチケット売り場では販売しないのですね。存じ上げませんでした。

今回この「カルメン」観劇記への反響が大きいのは、通の方のレポートの素晴らしさもありますが、管理人様のお写真が素晴らしいからでもあります。
こちらのサイトに書き込みをしないウヴァーロフさん・ファンの友人も、「この写真は本当にステキ!」とコメントしていました。

また2月の舞台のことについて、今知れるというのも意外なタイミングで、皆さん嬉しかったのではないでしょうか。
返信する

コメントを投稿