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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.2.13 Newsモーニングサテライト

2017年02月13日 17時00分37秒 | MS
■マーケット

注目はFRBイエレン議長の議会証言
週末は3指数揃って連日の高値更新でした。しばらくボックス圏が続いていた株価が上抜けるのではとの期待も高まっています。先週トランプ大統領が税制改正について言及をした事をきっかけに市場に活気が戻り、本当のトランプラリーはここからとの楽観的な声も聞かれます。OPECの減産が合意内容に向かって順調に進み原油価格が回復してきている事も好材料でした。一方、14日からの議会証言でのイエレン議長の発言や、さらに入国に関する新たな大統領令の観測など攪乱要因が控えている事には注意が必要のようです。金曜日の株価です。揃って続伸でした。ダウは96ドル高の2万269ドル。ナスダックは4日続伸、18ポイント上昇の5,734。S&P500も4日続伸、8ポイントプラスの2,316でした。
 
【アメリカの専門家インタビュー】
《BNPパリバ・インベストメント・パートナーズ/ステーィブン・フリードマン氏》
(1) 議会証言“政治的議題”に注目
今週、FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が議会証言を行います。トランプ政権発足後、初めてとなる議会証言で新政権について議長はどのように証言するのか注目が集まります。
「今回の議会証言は、政治的課題が非常に重要だ。FRBはこれまでになく、大きな政治的リスクを負っている。FRBの独立性や政策決定の権限などが脅かされている。トランプ大統領のFRB理事指名によって、理事会メンバーの構図が根本的に変わってしまう。トランプ大統領は独立性を保ってきたFRBの政策決定に多大な影響を与えるだろう。また民主党・共和党は政策が自分たちに有利に傾くよう議長に圧力をかけるだろう。」
(2) 利上げは6月以降
一方、次の利上げの時期について、フリードマン氏は6月だと見ています。
「アメリカ経済は良好だが、インフレ率は非常に低いままだ。そのためFRBは利上げにはとても慎重だ。3月の会合では利上げは見送るだろう。景気拡大が続くとともに、景気に打撃を与える保護主義政策が実施されなければ、利上げは6月と年後半に1回か2回行われるだろう。」
 
【為替見通し】注目ポイントは「日米経済対話」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏

--まず先週末の為替市場はいかがでしたか。
アメリカにおいて法人税減税に関する驚異的な関するプランが近日中に発表されるとの思惑から、株価高、債券安、ドル高の展開。前週比では今年に入って初の上昇となりました。

--今日の予想レンジは、113.00-114.80円です。日米首脳会談を受けて、ドル高が進むと予想されていますね。
はい、先週から続くアメリカの減税期待と日米首脳会談を無事に終えたことで警戒感が薄れ、テクニカル的には抵抗感が強いと思われる115円のラインを再びトライするものと想定しています。

--注目ポイントは「日米経済対話」です。
はい、トランプ氏のインフラ投資拡大構想を自国の財政赤字拡大を招かずに早期実現化するカギが、日本をはじめとする域外諸国の官民マネーでファイナンスすることです。日米首脳会談では安倍総理大臣がこれ提案し、トランプ大統領も大筋で合意したのではないでしょうか。今回、新設されることになった日米経済対話は、その計画策定並びに進ちょく確認のためのツールであり、為替は当面政治的に取り扱わないことを確認したとみています。マクロ政策の方向性が明確になるに連れて、ドル高圧力が強まると見ており、グローバルの資産市場では比較的早期に株高、ドル高基調が鮮明になるものと想定しております。

【日本株見通し】注目ポイントは「相場のリード役」
解説は岩井コスモ証券の林卓郎氏

--今日の予想レンジは、19200~19500円です。
注目されていた日米首脳会談は無事通過と言えるかと思います。本日の日経平均は週末の大幅高に対する利益確定の動きが想定されますが、円相場の落ち着きやトランプ警戒の緩和を背景にしっかりした展開を予想します。足下の決算発表を通じて企業業績の持ち直しがしっかりと確認されていますし、また季節的に2月半ばごろに株価が反転上昇に向かう傾向があることも支援材料と言えます。

--注目ポイントは「相場のリード役」 です。
(フリップ:相場のリード役、依然堅調)
11月以降のトランプラリーを主導したリード役の動向に注目しています。業種別TOPIX17分類で、大統領選直後の1ヵ月間、上昇率の高かった銀行・金融・エネルギー・鉄鋼の4業種について、平均推移を見てみますと、急騰後の一服症状から1月半ば以降は直近まで再度上向きの傾向を保っています。全体相場が冴えない中でも、堅調な足取りを保ったということで、トランプラリーがさらに持続する可能性を感じさせます。

--しかし今後もマーケットに大きな影響を与えるトランプ大統領の動きというのが注目ですね。
はい、これらのリード役は金融など景気敏感株ということで、今後を見通す上ではやはり金利等を含む米国景気の見方がカギを握ると言えます。先週前半のようにトランプ氏の政策停滞感が強まれば、株価ももたつくということになりますけれども、この首脳会談を経て、経済政策への注目度も再度高まるのではないかと見ています。
 
■【エマトピ】フィリピン ドゥテルテ政権 積極外交続く

フィリピンではドゥテルテ大統領就任から半年を超えたが、いまだ人気の衰えはないといいます。また日本と中国に対する積極外交も続き着実に海外から投資資金を集めているといいます。解説はBDOノムラ・セキュリティーズの片川弘一氏

(フリップ1:フィリピン・中国を上回る成長)
--まずは経済状況を見てみましょう。先月末に発表された16年通期のGDP成長率は前年比6.8%と高い成長を達成しました。出稼ぎ労働者からの送金が増え、GDPの7割を占める消費が好調でした。数年間減速が続いている中国を初めて上回りました。そして最新の失業率も4.7%とここ10年で最低値を更新しています。

《BDOノムラ・セキュリティーズ/片川弘一氏》
--さてドゥテルテ大統領が就任して半年が過ぎましたが、人気の衰えというのはないのでしょうか。
「はい、支持率は83%と、まれに見る高い数字を維持しています。その背景には大統領が推し進める政策にあります。例えばフィリピンから貧困をなくすことを重要政策に掲げていますが、これに政策に沿ってドゥテルテのレストランという施設を去年10月に作りました。このレストランでは貧しい人々に食事を無料で提供していて、フィリピン国内のテレビ各局で頻繁に報道され、弱者の見方である大統領というイメージに大きく貢献しています。」

--国内の基盤というのをしっかり固めていますよね。一方で、外交もかなり積極的ですよね。
「はい、特に日本と中国にターゲットを絞って、積極外交を繰り返しています。先月、ドミンゲス財務相が中国を訪問、貧困対策を中心に総額37億ドルの投資について詳細を決めました。これは去年、中国から取り付けた150億ドルの投資の一部をさっそく具体化させた形です。また先月、安倍総理との間で決まった1兆円規模の支援について、今月中旬にも詳細を詰めるため財務相が訪日すると、こちらの一部報道が伝えていて、具体的には交通渋滞が慢性化しているマニラ首都圏の交通システムの投資などを日本が検討しているということです。」

--着実に投資資金を集めているようですね。
「そうですね。フィリピンが海外から投資を増やすためには、治安・安全問題、汚職問題、交通・道路など社会インフラの充実が重要と考えられます。ドゥテルテ政権は特に治安・安全問題、汚職においては、過激的とも思われる超法規的な方法までも使ってでも早く社会を変えようとしています。社会インフラの充実に関しても、日本・中国の支援を早々に実現させていければ、フィリピンのビジネス環境を大きく改善させ、海外からのビジネス投資がさらに伸びるのではないでしょうか。」

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:2月10日~12日、対象:番組出演者33人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19600円)、先週の終値(19378円)
《マネックス証券/広木隆氏》(19800円予想)
「日米首脳会談が無事に通過したことで、あらためて好決算を評価する動きになる。」
《DZHフィナンシャルリサーチ/東野幸利氏》(19200円予想)
「ドル円が伸び悩み、輸出株に戻り売りが出る。」
 
(2) 今週末のドル/円予想
予想中央値(114.00円)、先週終値(113.24円)
《三菱UFJモルガンスタンレー証券/植野大作氏》(114.50円予想)
「日米首脳会談で日本名指しの通貨安批判への警戒感が一旦ほぐれ、アメリカの減税策発表への期待で円安ドル高気味の展開になる。」
《東海東京証券/佐野一彦氏》(112.50円予想)
「アメリカの減税策の内容ははっきりせず、引き続き具体化待ちの状況。ドル円はレンジ内で動くと見る。」

3) 米利上げ次期予想
3月(6%)、5月(12%)、6月(76%)、9月(3%)、18年以降(3%)、最も多かったのは6月の76%、先週から17ポイント上昇。一方、来月の利上げ予想は12ポイント低下し、6%にとどまった。

(4) モーサテ景気先行指数
47(改善)

■【特集】日米経済対話 鍵を握る人物は
安倍総理大臣は10日、アメリカのトランプ大統領と会談し日米同盟と経済関係を一層強化することを確認しました。さらに、麻生副総理とペンス副大統領が主導する経済対話の枠組み新設することも決めました。今後の日米対話の行方と重要人物について、双日総研の吉崎達彦氏が解説します。
 
--まず会談が終了して、率直にどんな印象を受けましたか。
「すごく予見可能性が高まったと思います。先週の金曜日の夕方までは、これは来週どんなことのになるのか、全然想像がつかなかったんですけれども、終わってみれば非常に良かった。特に19秒間の握手は、どう見てもこの2人の関係は良いなということを世界中に印象付けたと思います。それから経済のことで言うと、麻生副総理とペンス副大統領、お互いナンバー2同士の枠組みというのができた。これができたことによって、このあと例えばトランプさんが不規則発言をしても、『いや、それはもうナンバー2同士でやっていますから』ということで、余計なことにならない、それが非常に良い仕組みができたと思います。」

--日本にとっては満額回答と言ってもよさそうですか。
「いいんじゃないでしょうかね。」

(フリップ1:日米経済対話、枠組み)
--そしてやはり注目なのは新たな経済対話の枠組みというところですけれども、「マクロ経済政策」、「インフラなどの経済協力」、「2国間の貿易」、この3つの分野を話し合うということですね。
「ペンス副大統領というのは、元インディアナ州知事なんですね。インディアナ州というのはご案内の通りラストベルトの真ん中にあるんですけれども、ここだけは製造業が悪くない。それは何故かというと日本企業がいっぱい工場を作っていて、いわばペンスさんは日本企業の貢献ということを一番よく知っている人なんですね。そういう人が向こう側のヘッドになってくれたということは、日本側としてはすごい安心感があると思います。」

--直前の2月3日に、豊田社長と安倍総理が会ったりしたのも、そういう部分があったのかなと・・・。
「そうなんですね。豊田さんは向こうデトロイトへ行った時にも、ペンス副大統領と会っている。ですから、いざとなったらこの手がありますよ、みたいなことをどうも耳打ちしたのかもしれないなと思いますね。」

--麻生副総理とペンス副大統領、ナンバー2による枠組みですけれども、大統領抜きというのが1つのポイントなんですよね。過去にもそういう例というのは他にもあるんですか。
「えーと、これはちょっと国は違うんですけど、米中戦略経済対話というのが、考えてみるとよく似ているんですね。つまり中国のというのはとにかくトップのメンツが何よりも重い国なので、そこで外交安保と経済担当の、お互い閣僚同士で対話をやって、トップを絡めないという仕組みを作ったことによって、米中が決定的な対立に陥ることを避けた、というのがあるわけです。今回の場合も、1番守らなければいけないのが、アメリカ大統領であって、それがなるべくなら、ちょっと傷がつかないようにしておくという仕組みを作ったというのは非常に良かったと思います。」

(フリップ2:日米首脳会談、アメリカ側出席者)
--今回トランプさん抜きというのがポイントとあるわけなんですけど、ただペンス副大統領さえ押さえておけば大丈夫というわけでもないということで、こちらは日米首脳会談の出席者なんですけれども、どうでしょうか。
「これが大統領、副大統領、それから(フリーバス)首席補佐官は秘書室長みたいなもんですからこれは当然ですね。それから(フリン)NSCの担当補佐官もマストです。そうするこの2人(バノン・クシュナー)は何なんだ。特にクシュナーさん(36歳)は若いですよね。この人は一体何をやっているんだろう。ただ今はこの人が事実上もう官房長官みたいになっていて、みんながトランプさんのところへ話をつけようとすると、みんなこのクシュナーさんを通すという役割になっているみたいですね。」

--なるほど、そしてクシュナーさんとバノンさん、この2人がこの出席者から見ると、トランプ政権の重要なカギを握っているのではないかと・・・。
「時々、歴代政権でもこういうことがあるんですが、この人は大事だからどんな会議でも参加していいという、お墨付きをもらっている、それがどうもこのスティーブ・バノンさんらしいということなんですね。」

(フリップ3:ホワイトハウス内、力関係は)
--この中での力関係というが、ホワイトハウス内の執務室の配置を見ると、また見えてくるというので、それがコチラです。これはどう見たらいいでしょうか。
「これはもう公開情報を総合したものなんですが、これがウエスト・ウィング、ホワイトハウス内の執務棟です。大統領執務室があって、重要人物というのはみんな角部屋とかにあって、誰にも見られずに直接大統領の部屋に行ける人が2人(バノン・クシュナー)いるんです。ほかの人はみんな通路を通らないと行けないんですけど、それは当然みんなカメラで見られているんですが、ここの2人だけは腹心なのでトランプさんに直に会える。これが歴代の腹心を置く部屋に入っているということなんです。」

--そしてこのクシュナーさんとバノンさんというのは、トランプ政権の大統領選挙の時から支えてきたポピュリストとも言われていますね。
「特にバノンさんが選挙公約で言ったことは全部やれという方向で誘導している。逆にこっち側(左側)の共和党の人たちから見ると、もうちょっと現実路線で行ってほしいと・・・。力関係でいうと、今はバノンさんを中心に、トランプさんを過激な路線に誘導しているというふうに見ることができると思います。」

--今回の日米経済対話の中で、ペンス副大統領から切り崩しにかかったということは、この先この2人(バノン・クシュナー)がそれを邪魔してくるという可能性というのはどうでしょうか。
「どうですかね。これはまだあくまで序盤戦なんですが、日本側としてはこっち側(共和党)の路線に流れができてくるといいなということなんだと思います。」

--今のところは「希望」ということですね。ではその貿易摩擦再燃の懸念について、どういう見立てがいいのでしょうか。モーサテサーベイで聞いてみました。
(フリップ4:日米貿易摩擦の再燃は)
ある(27%)、ない(30%)、どちらとも言えない(42%)

--意見が分かれているということは、まだ不透明感が少し残っているのかなという・・・。
「私もこれは『どちらとも言えない』に入れちゃいましたけれども、まだ難しいですね。ただかなり不透明性が消えたということは素直に評価していいと思います。」

■【NY便り】トランプ大型減税の効果を占う
公約を次々に実行しているトランプ大統領ですが、市場も待ち望んでいる政策の1つが減税です。具体的にどのくらいの効果があるのか大和総研NYのエコノミスト、橋本政彦氏による解説です。
 
(フリップ1:トランプ大統領の減税策は?)
--公約を次々実行しているトランプ大統領なんですが、市場が最も期待している内の1つが減税です。具体的にどのぐらいの影響があるんでしょうか。まずはおさらいも含めてですが、その減税には企業向けと個人向けがあります。どのぐらいの減税が想定されているかというと、所得税の最高税率が39.6%から33%に下がる、法人税の最高税率も35%から15~20%に下がると、検討されています。こういう数字が出ているということは、経済効果も計算しやすいんですか。
「法人税に関しては減税されたとしても、企業が給与に回すのか、設備投資に回すのか、株主還元に回すのか、というところで使い道が分かりづらいので、経済効果というのは考えづらくなります。一方の所得税に関しては個人は消費に回すか貯蓄に回すかということになりますので、効果はある程度、試算しやすくなります。」

--ということで今日は個人向けの税制改正について、的を絞って見ていきたいと思います。ちょっと説明していただけますか。
(フリップ2:減税の好影響、高所得者に大)
「所得水準ごとの減税のインパクトをわかりやすくするために、5つの区分に分けて表示しています。それぞれに関して、税引き後所得の増加分というのを、トランプ案と共和党案を示しています。一番右が全体に対する影響ということになります。」

--これを見てアッと思うのは、高所得者のほうが減税の影響が大きいんですね。
「トランプも共和党も全ての人に対して損にならないように税制変更をするというふうに言っていますけれども、現在の累進課税制度自体が、富裕層に厳しく低所得者層に優しい制度になってますので、それを是正するという意図があるようです。」

--もう1つなんですが、緑と青で、緑(トランプ案)のほうが軒並み効果があるんですね。これはどうしてですか。
「これは税控除の範囲など、税率以外の変更の違いになります。共和党案のほうが控除できない額が多くなりますので、トランプ案よりもメリットが小さくなるということになります。」

--ただ所得が増えたからと言って、すぐに消費に回すかどうかというのは問題がありますよね。
(フリップ3:低所得者は消費拡大)
「そこで増加した所得というのを、どれだけ消費に回すかというのを示した限界消費性向というものを見ていきたいと思います。コチラを見ていきますと、高所得者のほうが低くなっています。高所得者に関しては普段から余暇消費も含めて十分に消費していますので、追加的に所得が増えたとしても消費に回す割合は低くなるということになります。逆に言いますと、減税規模が大きい高所得者の所得の増加というのがGDP等に与える影響に関しては、若干割り引いてみる必要があるかと思います。」

--そうなんですね。じゃあ具体的に全体としてGDPにどれぐらいインパクトがあるんですか。
「トランプ案のほうを元にしますと、全体の変化幅、所得が4%増えるということになりますので、そのうち半分が消費に回るというふうに考えれば、2%程度消費が増えることになります。GDPに占める個人消費の割合は7割程度になりますので、GDPは1.4%程度押し上げられるという計算になります。」

--となると経済全体へのインパクトは、どう考えたらいいんですか。
「足下、去年の10-12月期のGDP成長率は前期比、年率で1.9%。2016年通年で1.6%でしたので、1.4%の押上となるとかなり大きな効果と言えるかと思います。」

--ほんとにかなりですよね。それで今トランプ案で計算しましたが、共和党案は半分ぐらいですから、そうすると数字的には・・・。
「(共和党案では)所得が2%程度増えますので、GDPに対しては0.7%程度と、コチラでもインパクトは決して小さくはないと言えるかと思います。」

--だから市場も案外待っているということがあるんだと思うんですよ。これは法案が通れば、すぐに効果が出てくるものと考えていいんですか。
「税制変更に関しては1月1日付で行われることが多いため、今回は2018年1月からではないかと思われます。」

--つまりほぼ1年後。そのタイムラグも市場は織り込んでいると考えていいんですか。
「経済効果に関しては2018年からと見る向きが多くなっていますので、おおよそ織り込まれているということになるかと思います。」

--そこはあまり失望ではないということですね。それで市場では、やるのはいいんですけど、財源をどうするんでしょうか、というのが大きな疑問点だと思うんですが、それをまとめて頂きました。ちょっと解説してください。
(フリップ4:トランプ大統領は楽観的?)
「共和党案・トランプ案、両方とも共通して減税による景気加速。景気が良くなることで税収が増える効果というのを見込んでまして、それで減税分を補うということを言っています。」

--よく言われる上げ潮派とか、そういう感じですね。
「プラスαでトランプ案に関しては、国防費以外の歳出を1%以上減らすというふうに言っていますが、この規模自体はさほど大きくはありませんし、減税による減収分が共和党案のほうが小さくなってますので、共和党案のほうがどちらかというと財政規律的で、トランプ案のほうが楽観的と言えるかと思います。」

--この両者を比べると、確かに共和党案のほうが規律的なんでしょうけど、このフリップを見ると、先ほど上げ潮派とか言いましたけど、どっちにしてもすごい緩いなというと失礼なんですけど、そう思ってしまうんですけど実際問題はどうなんでしょうか。
「仰る通り共和党案にせよ、トランプ案にせよ、経済成長に財源を依存するということになりますので、不確実性がかなり高いということになるかと思います。特にトランプ氏に関しては、インフラ投資など財政支出に関しても前向きですので、財政収支の悪化というのが大きな問題になる可能性があるかと思います。」

--実はこの税制に関しては、先週驚くべき税制改正の発表が2~3週間のうちに・・・。ということは今月中ぐらいに出てくるのかもしれません。エコノミストから見ると何がどうなると、驚くべきことになるんでしょうか。
「やはり一番は、減税の規模が大きくなればなるほど、サプライズということになるかと思います。」

--両方ともその可能性がありますか。
(再びフリップ1:トランプ大統領の減税策は?)
「そうですね。特に法人税に関しては、15~20%というふうに書いてますが、共和党とトランプのほうで意見が分かれているというところで、これがトランプの主張している15%というところに寄ってくると、やはりサプライズということになるかと思います。」

--もしかしたら、これが10%とかいうことにはならないんですね。
「そうなってきた場合にはより大きなサプライズになります。」

--でもこの5%って、小さくないと思うんです。この詰めというのはうまくいくんでしょうか。
「そうですね、最終的に予算ですとか、法案に関しては、議会が権限を持っているというのがアメリカの制度の特徴になりますので、今後トランプ氏がいろんな主張を出して来るわけですけれども、最終的にそれが議会でどのように調整されていくかというところがポイントになるかと思います。」

--落としどころになるということなんですね。
 
■日刊モーサテジャーナル

欧米新聞が注目、日米首脳の“親密さ”
日米首脳会談について、欧米の新聞各紙は大きく報道している。ウォールストリートジャーナルは、2人の握手するアップの写真を掲載、この2人は様々な利害関係が一致することから、親密な関係を築けるのではと伝えている。記事は、外国の首脳が移民政策を理由に、トランプ大統領との個人的関係構築に二の足を踏む中、ほとんど移民を受け入れていない日本にとって、アメリカの移民政策はそれほど大きな障害にならないと分析。また安倍総理とトランプ大統領は同じようにロシアのプーチン大統領と親交を深めようと模索している他、在日アメリカ軍の駐留経費について、トランプ大統領が日本側の負担増額を求めていることについても、安倍総理が目指す戦後の平和主義からの脱却と一致している面もある、と見ている。一方、NYタイムズは、2人がゴルフをする様子を取材できなかったことに反発、トランプ大統領が所有するリゾート施設「マー・ア・ラゴ」にとって宣伝効果は抜群だった、と利益相反を懸念している。

米FRBタルーロ理事は辞任、金融規制で大きな変化(ウォールストリートジャーナル)
FRBのタルーロ理事が4月に辞任する意向を明らかにしたことについて、金融規制を巡り大きな変化が訪れようとしている、と報じている。タルーロ理事は金融危機の後、オバマ大統領に指名され、ストレステストの強化など銀行に対する規制に進めてきた。ウォール街では不思議なほど強い推進力から、オズの魔法使いと恐れられていたという。FRBの理事のポストは、今回のタルーロ理事の辞任で3人が空席になり、トランプ大統領が指名できるFRBの理事が増えたため、規制緩和が加速するのではないか、と伝えている。

米ハイテク企業、目指すはカナダ/バンクーバー(ワシントンポスト)
多くの移民を従業員として抱えるシリコンバレーのIT企業。トランプ大統領の移民政策に嫌気が差して、お隣のカナダのバンクーバーに拠点を移す動きが出ている、と報じている。バンクーバーは移民に寛容な政策を掲げるほか、飛行機で約2時間とシリコンバレーから比較的近くに位置している。またハイテク企業の社員が好むと言われるスキーやバイキングなどのレジャーも充実。実際、カナダの法律事務所では、アメリカからの移転に関する問い合わせが増えているという。記事は、「トランプ大統領の移民政策の影響で、世界でもトップクラスの頭脳をアメリカにつなぎ留めておくことが難しくなっている」、という懸念の声を伝えている。
 
・ 「米FRBタルーロ理事は辞任、金融規制で大きな変化」について
--タルーロ理事辞任のニュース、FRBは規制緩和を加速していく流れになりそうですか。
「そうですね。理事の空席が3人ということですが、これはこの後、来年になると、たぶんイエレン議長も再任を求めず、フィッシャー副議長もひょっとすると同じ。ということは相当FRBのメンバーが変わるということですよね。」

--そうなると規制緩和が加速していく。あと利上げについては見通しとしてはどうなっていくのですか。
「そこのところはちょっと見えにくいのですが、この後、トランプ大統領がどういうメンバーを新たに加えていくか、それによって来年以降の金融政策が相当変わっていくんじゃないかと思います。」

--どんなメンバーが来そうですか。
「これは本当にただの推測ですけども、トランプさんというのはただの学者を指名することは無いんじゃないか。そうするとむしろ実務家が選ばれる。そうするとここまで約10年ぐらいやった流れと相当変わっていくんじゃないかという気がしますね。」

--そうなると経済が温まって温まり過ぎたときに、歯止めが利かなくなるんじゃないかという懸念も出てくる・・・。
「そっちのほうのリスクが出てくるかもしれないですね。」
 
■今週の予定
2月13日(月) 10-12月期GDP(速報値)
2月14日(火) 決算(東芝、郵政3社)、中国1月消費者物価指数
2月15日(水) 米1月消費者物価指数・小売売上高、米FRBイエレン議長議会証言(~16日)
2月16日(木) ECB理事会議事要旨、G20外相会合(ドイツ~17日)、米1月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数
2月17日(金) 英1月小売売上高

■今日の予定
10-12月期GDP(速報値)
決算(サッポロHD、キリンHD)
インド1月消費者物価指数
 
■ニュース

米FRBフィッシャー副議長 「トランプ政権の財政政策に不確実性」
FRBのフィッシャー副議長は11日、イギリス中部のコベントリーで講演し、トランプ政権の財政政策について「不確実性が大きい」と指摘しました。今後の推移を注視する構えです。フィッシャー副議長は財政政策のほか、トランプ政権が目指す金融規制の緩和に関し「金融機関に対する資本基準を大幅に引き下げれば金融システムの安全性を大きく低下させる。そうならないよう強く望む」と釘を刺しました。

独大統領にシュタインマイヤー前外相
ドイツ連邦大会議は12日、シュタインマイヤー前外相を新大統領に選びました。登壇したシュタインマイヤー氏は「統合したヨーロッパの自由と民主主義を守らなければならない」と訴えました。シュタインマイヤー氏はメルケル首相率いる「キリスト教民主・社会同盟」と中道左派、社会民主党の連立与党の統一候補で、他の候補に大差をつけ、新大統領に選ばれました。
シュタインマイヤー氏(931票)ブッターウェッゲ氏(128票)グラーザー氏(42票)

安倍総理が帰国の途 日米ゴルフ外交の成果は
安倍総理大臣は12日、アメリカのトランプ大統領との会談など一連の日程を終え、帰国の途につきました。およそ5時間にわたった「ゴルフ外交」の成果について現地から内田記者の報告です。安倍総理とトランプ大統領は11日、フロリダ州にあるトランプ氏所有のコースでゴルフ外交を展開しました。2人のプレー時間は27ホール、およそ5時間に及びました。
こうした中、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射し、約500キロ飛んだあと日本海に落下したとみられることが分りました。両首脳は急きょ、そろって会見に臨みました。日米の結束をいち早く内外に示したことは、安倍総理がトランプ大統領と築いた信頼関係の賜物と言えそうです。ただ一連の日程でトランプ大統領のマイペースぶりが目立ったのも事実で、そんなトランプ大統領に安倍総理が寄り添ってゆく構図が鮮明になりました。

北朝鮮発射のミサイル 「ムスダン」改良型の可能性
北朝鮮がきのう発射したミサイルについて、韓国軍の合同参謀本部は、飛行速度などから新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の改良型の可能性が高いとの分析を明らかにしました。ムスダンは射程3,000キロ以上で日本全域とグアムを射程に収めることから日米をけん制すると同時に、アメリカのトランプ政権の出方を探る狙いがあるとみられます。

落雪・雪崩に注意 西日本きょうも断続的に雪
西日本の日本海側ではきょうも断続的に雪が降り続く見込みです。鳥取市ではきのうも積雪が平年のおよそ10倍の88センチに達するなど各地で平年を大幅に上回る積雪量となりました。今週半ばには気温が高くなると予想されていて今後は雪どけによる落雪や雪崩などに注意が必要です。

韓国特別検 きょうサムスントップを追加聴取
韓国の朴槿恵大統領の疑惑を調べる特別検察官の捜査チームは、贈賄の疑いなどでの逮捕状請求が棄却されたサムスングループの経営トップ李在鎔・サムスン電子副会長の追加の事情聴取をきょう、行うと発表しました。捜査チームは、サムスンが朴大統領とその友人に40億円以上の賄賂を贈った疑惑について「新たに確認された事項を聞く」とし、近く逮捕状の再請求の可否を判断する可能性があると説明しています。

■【コメンテーター】双日総研/吉崎達彦氏

・ 米中電話会談、トランプ大統領の真意
--日米首脳会談が行われましたけれども、その直前に米中関係にちょっと変化の兆しがありましたね。
「ええ、電話会談を行わって『一つの中国』の原則も認めるという、結構、衝撃的なニュースが入って、その時に日本の一行はもう既に飛行機に乗っているわけなんですね。ではこれは事前に報告があったのかというと、たぶん無くって結構、日本側としてはドキっとという感じだったかと思います。」

--ただ習近平さんに対して『一つの中国』を尊重するというのは、ある意味、接近とも取れますけれども、この関係の変化というのはどう影響してきそうですか。
「おそらく日本の首相と会う前に、一度中国に仁義を切っておく。そうしないと中国が敏感にいろいろと慌てるだろうという配慮だと思います。それはどうもティラーソン国務長官が進言して、それをどうも受け入れたいうふうに言われてますので、最近のトランプさんは結構、部下の言うことを聞くようになっている。それが今回の日米首脳会談でも発揮されているのではないかなと思いますね。」
 
・ 今日の経済視点 「日米ゴルフ」
「おそらく安倍さんから見ると、長年の宿願がやっと実現したという感じじゃないかと思うんですね。(この写真は)1957年6月19日、今から60年前、当時の岸信介総理が訪米して、アイゼンハワー大統領と一緒にゴルフをしたときのもの。その右側にはブッシュお祖父さん、つまりプレスコット・ブッシュ上院議員もいた。安倍さんはこの写真を、自分が2006年秋に首相になった時に、ブッシュ大統領に手渡しているんです。できれば孫同士でやりたいと思っていたらしいんですが、それは自分がすぐに辞められたので出来なかった。オバマ大統領ともできなかった。とうとう実現した。しかもこの時アイゼンハワー大統領は、記者団に対してこんなことを言っているんです。『時には大統領は嫌な奴ともなんかにこやかにやらなきゃいけないけども、ゴルフは好きな奴とでないとね。』と言ってるんです。」

--そういう意味では今回ゴルフを27ホール回った。非常に関係は良いと見ていいですね。ただ今後はまだ不透明な部分も少し残っているということですね。
 


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