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モーニングサテライト・ウォッチ

2016.9.23 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月23日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

“大型上場”に期待と不安
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東京証券取引所などへの上場がきまったJR九州。かつて国有だった企業の中で「最後の上場」ともいわれています。上場を来月に控えるなか、都内で個人投資家向けの説明会がおこなわれました。JR九州は駅ビル・不動産事業が好調で16年3月期の売上高は6年連続で過去最高になりました。すでに上場した旧・国鉄各社の株価が値上がりしていることもあって個人投資家の関心は高まっています。その一方で、JR九州は今期は黒字化を見込んでいますが、本業の鉄道事業は民営化後、赤字が続いていて不採算路線も多いという懸念もあります。





今後の円相場は

m1-1.JPG--為替への影響も大きく注目されていました日本と米国の中央銀行の政策決定会合が終わりました。今後の円相場はどう動くとみていますか。

《中継担当:ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC堀古英司氏》

(フリップ1:ドル円と日米の実質金利差)
「今後の円相場の動きですが、ドル円は現在の100円前後は適正な水準に近くこう着状態が続くと見られます。ドル円はここ数年、日本と米国の実質金利差に忠実な動きをしています。」

(フリップ2:ドル円と日米の実質金利差:15年1月~)
m1-2.JPG「しかし、去年は実質金利差が縮小していたにもかかわらず、円安が続いていました。今年の円高はこれを修正する動きだったと言えます。現在円高傾向が続いているため、95円割れなどの可能性はあると思いますが、当面は実質金利の差に大きな変化は見込めないため、80円台などの急激な円高は考えにくいと思います。」

--今後この相場に大きな動きが出てくるきっかけは何か考えられますか。

「日本サイドでは物価が将来どれだけ上がるかというインフレ期待を高められかどうかにかかっています。現在、日銀の物価上昇目標は2%ですが、市場のインフレ期待は0.3%しかありません。インフレ期待を高められなければ円高圧力がくすぶり続けます。一方、米国サイドではもしトランプ氏が大統領になり公約通りに、減税やそれに伴い国債の発行を増やす政策を実行すれば、ドルの実質金利が上昇するとみられるため、円安が進行しやすくなります。すると2013年以降のように、円安メリットが日本にも及ぶ可能性も考えられます。以上ニューヨークからお伝えしました。」






■ニュース

電通 2.3億円を不適切請求
電通は、きょう、インターネット広告の代金を、一部の企業に不適切な形で請求していたと発表しました。その金額は2億3,000万円にのぼるということです。電通はインターネットの企業広告で、実際には掲載しなかったり、掲載期間がズレていたりしたにもかかわらず契約通りの金額を請求していました。7月に広告主であるトヨタからの指摘で発覚したもので、これまでに判明している不適切な案件は、633件、111社にのぼるということです。電通は、今後も調査を継続し、年内をめどに再発防止策などをまとめる予定です。




「銀ぶら」の新拠点誕生
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東京・銀座4丁目の交差点前に24日、サッポロ不動産開発が手がける商業施設「銀座プレイス」が開業します。一等地という立地ですが、モノを売るよりも先端技術などの情報を発信する拠点を目指したといいます。1階と2階に入るのは、この地で50年以上展開してきたギャラリーを一新した日産自動車。広さを2倍に拡大、バーチャルリアリティーで、「GTーRNISMO」の走行を疑似体験できる設備を取り入れるなど、あえて商品を「売らない」ことで気軽に立ち寄ってもらい、ブランド力を体感してもらう狙いです。4階から6階に入るソニーは、商品を売るだけでなく、発売前の最新のカメラやテレビを体験できるショールームを開き、ソニーファンを増やす考えです。また3階には、サッポロ不動産開発が直営する、イベントスペースとしても使えるカフェが入るほか、11階にはJA全農兵庫が直営する神戸ビーフを楽しめるレストランがオープンします。

【“販売がメーンじゃない”施設登場】
銀座の街が大きく変わろうとしている。そこでソニービルの建て替えが始まり、さらにOkura Houseが間もなく開業する。さらに銀座プレイスも新たに誕生する。銀座プレイスは大型の商業施設で、手掛けたのはサッポロ不動産開発だ。

商業施設のリニューアルが多く見られる。ソニービルが2022年秋~開業、カルティエなどが入るOkura Houseが来月1日開業、銀座6丁目プロジェクトが2017年春開業。日産自動車のギャラリーがあった場所にあす新しい施設「銀座プレイス」がオープンする。1階と2階に入るのは日産自動車「日産クロッシング」。「GT-R NISMO」をバーチャルリアリティで体験できる。あえて売らないことでブランド力を体感。

【ソニーの“最先端”集結】
4~6階のフロアに入居したのは「ソニーショールーム/ソニーストア銀座」。コンセプトは体験型ショールーム。ソニーのテレビ史上最高画質を誇る100インチ4K液晶テレビ「KJ-100Z9d」の展示は世界で銀座店のみ。特に力を入れているのはカメラコーナー。最先端技術を体感してもらいソニーファンを増やす狙い。3階はサッポロ不動産開発が直営するイベントができるカフェ「common ginza」。11階は11月末にオープンする「神戸ブレジール銀座」JA全農兵庫の直営レストラン。
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【「20センチ」で街も喜ぶ】
一等地という立地を生かした銀座プレイス。しかし最大の弱点が敷地面積の狭さ。建物にはこれを克服する工夫。サッポロ不動産開発・生駒俊行社長が説明。2つの非常階段をクロスさせるクロス階段を採用。建物を敷地内から20センチ以上内側に建設することで、行政がフロア数の増加を許可。8フロアが11フロアへ。

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模型ファン開拓へ新潮流
東京ビッグサイトで開催中の「全日本模型ホビーショー」で京商がドローンの新商品「ドローンレーサー」を発表しました。飛べる高さを35センチメートルに制限することで航空法の対象外となります。京商は新たに投入する商品を使って競い合うドローンレースを通じて新たなファン層を獲得したい考えです。また、プラモデルも新たな試みとしてはさみやニッパーを必要としない手軽な商品の販売に乗り出しています。バンダイではプラスチックに色づけをすることで塗装不要のランナーを採用しました。簡単であると同時に、これまでのファンも楽しめるように細かなパーツや付属のシールなどを添付。作る楽しさを残しながら、より広い層の支持を目指します。



安倍総理 初訪問 キューバとの経済関係を強化
日本の総理大臣として初訪問のキューバで安倍総理が表明したのは、最大で約13億円のがん診療の医療機材の無償供与です。成長戦略の柱の一つに医療分野での輸出促進を掲げる安倍政権にとって、医療機材の無償供与は将来の輸出拡大に向けた“先行投資”です。日本の医療機材をキューバに普及させることは、市場開拓だけでなく、広範囲に日本型医療を広げる可能性を秘めています。キューバは去年のアメリカとの国交回復を契機に新たな市場として注目されており、日本は今後、医療分野だけでなく幅広いインフラ開発需要に官民挙げて取り組んでいく方針です。こうした中、安倍総理は会見で核実験を繰り返す北朝鮮に対し、圧力を強める必要性を改めて強調しました。安倍総理は、新たな制裁に実効性を持たせるために「中国の役割が重要」と述べました。TPPについては、臨時国会で国会承認と関連法案の成立を急ぐ考えを示しました。

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小池都知事 「無責任体制」と厳しく非難
東京都の小池知事は豊洲市場の主要な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、歴代の担当部局のトップを厳しく批判しました。2007年以降に務めた5人の中央卸売市場長は東京都の聞き取り調査で、建物の下の地下空間を認識していなかったと説明しています。東京都が進める内部調査について小池知事は21日に中間報告を受けましたが、「いつ誰が盛り土をしないように決めたのかあいまいな部分を残している」として、今月中に最終的な結果の報告を受け、公表する方針です。



シンガポール首相 安倍総理と会談へ
シンガポールのリー・シェンロン首相が来週、日本を訪れ、安倍総理と会談を予定していることがテレビ東京の取材で分かりました。シンガポールで建設予定の高速鉄道をめぐっては、日本と中国などが受注を争っています。安倍総理は会談で日本の技術の優位性を伝えシンガポールへのインフラ輸出を進めたい考えです。



「生前退位」 有識者会議に6人起用
天皇陛下の生前退位について検討する有識者会議のメンバーについて、政府は、経団連の今井名誉会長や御厨東大名誉教授など6人を起用すると発表しました。政府は今の天皇陛下に限って生前退位を認める特別立法で対応する方向で検討していて、来月、初会合が行われるこの有識者会議で詳細を詰め、早ければ、来年の通常国会に関連法案を提出する考えです。



米ヤフー 5億件分の個人情報流出
アメリカの検索大手、ヤフーは22日、2014年にサイバー攻撃を受け利用者の氏名など少なくとも5億件の個人情報が流出したと発表しました。個人情報の流出としては過去最大規模で、ヤフーは「国家が関与した攻撃」との見方を示しています。一方、ヤフージャパンは、「日本でのサービスは、独自運営されており、利用者への影響はない」としています。



アシックス 早稲田大学内に直営店
アシックスは、早稲田大学の構内に直営店をあすオープンします。販売するのはラグビーのユニフォームのレプリカなど早稲田大学とのコラボ商品です。アシックスは3月に早稲田大学と連携協定を結んでいて、収益の一部は体育会の強化費などに還元されます。




20代のサラリーマン川柳
「第一生命」は、20代の若いサラリーマンが詠む川柳コンクールのベスト3を発表しました。グランプリに選ばれたのは、若手社員と上司との微妙なすれ違いを表現した川柳でした。さらに、この発表に合わせ、ラップに合わせ、上司と若手社員が対決する動画もユーチューブに公開されました。新橋の駅前で若手サラリーマンに聞いてみると・・・




■【THE行列】イレブンカット
gyoretu.JPG関東と関西を中心に182店舗を展開する、時短カットの美容室「イレブンカット」。10分で髪を切り1分でセットまでする、料金は大人1,500円です。気に入らない場合は1週間以内なら手直しは無料。市販のヘアカラーは持ち込みもでき、料金は技術料の2,000円だけ。こうしたサービスが女性客の人気を集め、客の6割以上が女性です。作ったのは創業者の吉楽さん。16年前に勤めていた鮮魚店を辞め、知り合いの美容室を継ぎました。目指したのは「安い」「早い」「予約なし」の美容室。2000年に1号店をオープンし、理美容業界の市場規模が縮小する中、売上を右肩上がりで伸ばしています。女性の心をつかみ、今後は全国展開を目指します。取材先・イレブンカット





■【トレたま】光で誘導「スマートガイド」
【商品名】スマートガイド
【商品の特徴】手すりの光で誘導する避難システム
【企業名】ナカ工業
【住所】埼玉県八潮市新町3-9
【トレたまキャスター】相内優香





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・"憧れの街" 銀座、人々は何を求める?

--これからの銀座はどうも体感するというのが、ポイントになりそうです。もう今はネットで見ることもできるし、買うこともできる時代ですから、銀座だからできることというのは何だろうというのをかん会えた時に、最先端のものに触れて試すことができるとか、ブランドの世界観を肌で感じられるそういった体感の部分を磨いていきましょう、というのが銀座の街全体としての共通認識だと感じたんですけど、フェルドマンさんは、この銀座の価値をどんなところにあると分析されてますか。

「いくつかあるんですけれども、まず時間の経済学だと思いますね。いろんな面白いものが一ヵ所にある、集中していますね。なので時間を有効に使って、いろんな面白いモノを見つけるということですね。例えば、最先端のものは何ですか、あるいは絵で見たことを確認することができますし、情報収集、知らなかったことを知るということが、ひとつ大きな時間の経済学ですね。会社側から見れば、もちろん何かを売るということがありますけれども、やっぱり情報提供ということが非常に大きいと思います。費用対効果の問題がありますけれども、仮に家賃が高くても、効果が大きければ問題ないんですね。だからそういう意味でいいということです。3番目は、特に外国人にとって大きいと思いますけれども、憧れの場所ですね。すなわち夢を実現できたという気持ちなんですね。初めてエッフェル塔を見たときに、いいなあと思いましたけれども、憧れの場所を見たということは本当に充実感というのがありますね。だからそういう意味で、銀座へ行くということは価値があると思いますね。」





・キューバとの関係強化、今こそチャンス

--キューバというのは日本にとってビジネスチャンスはいろいろとありそうですね。

「そうですね。たくさんありますね。いくつか理由はありますけど、1つは、米国を拠点とする日本企業は多いですね。だから発射台が近いということが1つですけれども、それ以上に大きいものが2つあります。1つはやっぱり今のインフラが結構悪い。なので日本はインフラが得意分野ですね。そういうものを売れるということです。3番目はやっぱりエネルギーですね。さっき車がいっぱいありましたけれども、古いんですね。」

--だいたい1950年代ごろの車が入っています。

「いらっしゃましたときに空気が悪いということが分かったと思いますけど・・・」

--もう古い車を使っていますから、排ガスでかなり空気が汚れています、。

「日本はそういうものを作るはすごい上手ですし、加えて最近はベネズエラも大変なことで、キューバに送るエネルギー支援はもうできなくなっているんですね。それでキューバは停電が多くなっています。なのでそういう施設も作りましょうということができるなら、日本もいろいろ貢献できると思いますね。」







・【質問】成長戦略を実現するため民間企業にどのような活動が求められますか(Twitter・若旦那さん)

「やっぱり企業の成長戦略になりますけれども、お客さんのニーズをつかむことですね。どこにお金があるのか、このお客さんのニーズをつかむこと。次はどうやって自分の会社の能力を利用して、そういうニーズにこたえることができるのか、これはやっぱり分析しないといけないんですね。もう1つ、足りない能力もありますね、絶対にあります。だから工夫してなんかやらないといけいない。組織の再編成とか、ルールを変えるとか。例えば今週の番組で、メガネチェーンのオンデーズさんが定年制を廃止したと・・・、これは大きいですね。こういう戦略を組むという子も大事ですね。それから、やるぞというルール変更を実行する。これを決断してやらないといけない。おなじみの広告にあった、情報・分析・戦略・決断ということですね。」

--今週は日米の金融政策の発表が相次ぎましたけれども、そういうこともしかり、日本経済底上げのためには、やはり原動力として民間企業の力というのが欠かせないですね。

「非常に大きいですね。だから日銀のやったことはすごい決断ですけれども、民間企業がそれに反応して、じゃあ投資する記事になりました、設備投資しよう、生産性を上げましょう、そういうような決断が必要ではないかと思います。」






2016.9.22 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月22日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

【為替相場乱高下で… 政府・日銀緊急会議】
m1.JPG円高が加速した為替市場。きのうの日銀の金融政策決定会合後に1ドル=102円台後半をつけていた円が、けさ8時半ごろには100円20銭台まで急騰した。為替相場の乱高下に政府と日銀が一体となって対応するため、財務省、金融庁と日銀は緊急の幹部会合を開いた。昨日、日銀が発表した量から金利を軸とする新たな金融緩和策。マーケットはこれを好感し、一時100ドル=102円台後半まで円安が進行した。しかし日銀・黒田総裁の「長期国債の買い入れは増減ある」との発言で緩和縮小の可能性もあるとの考えが市場に広がり円高が進んだ。

さらに日本時間の今日未明、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が利上げを見送ると発表した。FRB(連邦準備制度理事会)・イエレン議長は「物価や雇用面を見ても経済の過熱を示すものはない」と説明した。これで市場はドル売り円買いの動きが加速し、円相場は一時約1ヵ月ぶりとなる100円台前半まで円高が進んだ。この状況に大きな影響を与えるFOMC。FRB・イエレン議長は「年内に1回の利上げを想定しており、根拠は強まっている」と述べた。

一方、財務省・浅川雅嗣財務官は「仮に投機的な動きが今後も継続すれば、必要な対応をとらざるを得ないと思っている。黒田総裁が言った通り、G20の合意もそうだが、各国とも金融政策の矢が尽きたとは思っていない。金融政策にはやるべき余地がまだまだある。ただ金融政策のみでは限界があるのはG20でも共通の認識だ。」と話した。


【FOMC・世界への影響は?新興国大使に直撃!】
《大浜キャスター解説》 FOMC経済教室

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今回、米国の利上げは見送りとなった。日本経済、世界経済に大きな影響を及ぼすFOMCとはいったいどんな会合なのか。FOMCの投票メンバーは、FRB(連邦制度準備理事会)のイエレン議長、フィッシャー副議長、FRB理事3人、全米12の地区連銀の総裁の中から5人の総裁(輪番制、ニューヨーク連銀総裁は毎回投票権を持っている)。今回はカンザスシティー連銀総裁、ボストン連銀総裁、クリーブランド連銀総裁の3人が金利の据え置きに反対したが、慎重派のイエレン議長が説得したという形だ。

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米国が利上げをすると、円安ドル高になり、日本は輸出企業が多いため株高になる。一方、新興国(ロシア、中国、インド、南アフリカ、ブラジル)では株価が下がり、日本も影響を受け株安になるだろう。利上げは世界経済の減速を引き起こすリスクをはらんでいるとも言える。

明日から始まる海外旅行の展示会「ツーリズムEXPOジャパン」に集まった新興国の大使に話を聞いた。ザンビア・ムテイテイ大使は「ドルの値動きは貿易など我々のビジネスにとても影響する」と話した。一方、新興国の景気悪化で消費が低迷すると、原油価格も下がる可能性があり心配する声もある。また米国が利上げをして円安ドル高になると、日本人の海外旅行にも大きな影響を与える。

【為替相場を揺るがす「利上げ」・年内の可能性は?】
米国の利上げにはリスクも非常に大きいが、なぜ利上げをしたいのか。その要素はサブプライムローン問題の反省と金融政策の幅拡大。米国の利上げは年内実施の可能性があるのか、専門家に聞いた。

《三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミスト/鈴木敏之氏》

--年内利上げはできるのか。
「確実に(利上げが)できる感じではないと思います。私としては利上げしないで、年を越してしまう可能性も結構あるんじゃないかなと思います。FRB・イエレン議長やワシントンの執行部は利上げに慎重だと思いますね。」

鈴木氏は「 for the time being 」という言葉に注目している。日本語で「当分の間、しばらく」などを意味する。

「FOMCの中ではものすごい意見対立をしていて、『早く利上げをしようという人達』と『もうちょっとこのまま見ていても大丈夫じゃないですかという人達』の意見対立が激しいわけです。『しばらく』という表現を使って、要は利上げするつもりなんだけれども、条件が整うまでもう少しだけ待つということを言っているんです。早く利上げをしようと言う人達に、納得してもらっているという声明になっていると思います。」

何故イエレン議長は利上げに慎重なのか。

「彼女の目から見ると、労働市場が完全に引き締まっているという状態、完全雇用まではまだ距離がある。それが到達するまでは金融緩和をやります、ということだ。」

米国の8月の失業率は4.9%と非常に低い水準だ。しかし賃金を見てみると、増えたのは高い技能を持った人ばかりで、全体としての賃金の伸びは小幅にとどまっている。雇用が改善しても賃金が上昇しなければ安定的な物価上昇に繋がらず、利上げには時期尚早だというのだ。

--年内1回ということを言っているけど、それは約束ではないということなんですね。

「今年初めには4回と言っていた。それが利上げしない、しないで、結局、今日まできてしまった。その利上げの条件があと2ヵ月ちょっとで解消されるかというと、解消できないような理由をイエレンさんは言っているので、なし崩しでまた利上げしないまま時間が経過してしまうという、その可能性は結構あると思います。」







急激な円高をけん制、政府・日銀が緊急幹部会合
《中継担当:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》

--利上げのタイミングはいつになるのか、というのはいろいろな見方が出てきているわけなんですが、では12月の可能性というのはどうなんでしょうか。NY支局の池谷さんに伝えてもらいます。

m4.JPGアメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、FOMCを開催し、金融政策を据え置きました。年内利上げにも不透明感が漂っています。FRBのイエレン議長は会見で9月の利上げを見送った理由の一つに経済が過熱していないことを挙げました。しかし、金融政策は経済の過熱が見えてから動くのでは遅いと言われています。年内に経済の過熱を示す傾向が見えるかも定かではなく、イエレン議長が利上げに相当慎重になっている証拠かもしれません。

--そうなりますと、今後の利上げのペースというのも落ちてくるんでしょうか。

今回示された会合メンバーによる今後の利上げ見通しでは、今年1回・来年2回となり、前回6月の見通しの今年2回・来年3回から大きく減少しました。
長期的な政策金利の見通しも徐々に引き下げられてきています。この見通しは米国の景気拡大ペースが鈍っていると、FRBがみている可能性もあります。実は米国の景気見通しは明るくなく、「次の利上げはいつか」、ではなく、「本当に利上げ氏もいいの?」、という状況なのかもしれません。大統領選の行方も未だに不確定感が漂ている中で、リスクを警戒する市場関係者も少なくありません。






・米国・利上げの“条件”と12月の可能性

--池谷さんからもありましたが、「いま本当に利上げをしていいの?」という状況かもしれない。「利上げをしていい状況」というのは一体どういうものだと、イエレン議長は思っているのか、ここが気になります。

「昨日の議長の発言を聞きますと、本来、物価と雇用が条件だということですけれども、どうも物価があまり存在感がないなという感じです。すなわち、雇用さえ良ければ利上げしてもいいよね、という方向で発言が変わりつつあるなというのが弊社の読みですね。」

--イエレンさんはもともと雇用重視派と言われていましたけれども、その中でもさらに深読みをしている部分ということですか。

「ありますね。本当にそういう雇用統計に非常に詳しい方ですけれども、どこまで圧迫しているのかということを見るのは、いろんな指標を見ないといけないというところがありますね。」

--アメリカはいま長期停滞論というのも言われていますれども、そんな状況の中で、雇用をどう見るか。

m5.JPG「ということですね。今後どういう指標が出るかということが相当大きなポイントではないかと思いますけれども、ここにちょっとフリップがありまして、説明させて頂きます。まず今後1ヵ月ぐらいが結構大事だと思います。9月30日に8月個人消費支出で物価指数が出るんですね。物価が加速しているということであれば、ほら言っただろ(だから利上げしよう)、という意見が強くなりますね。もう1つは10月7日の雇用統ですね。もちろん雇用だけではなくて、失業率や賃金の加速があるかないか、ということです。非常に重要ですね。もう1つは12日に今回のFOMCの議事録が出るんですね。FOMCの中でどういう議論があったのかということが相当大事なポイントですね。14日には(ここには挙げていなんですが)イエレンさんがスピーチをします。雇用統計が出てからのスピーチですから非常に大きいです。最後に28日にGDPが出ます。これは7-9月期のGDPですけれども、1月から6月まではだいたい1%というかなり低い伸び率でしたね。今回は3%のペースで上がっていると言っているんですね。ただ第1、第2は1%ずつですから、3%行かなくてもおかしくないということですし、その後はどうなるかということもありますけれども、タカ派たちは、ほら3%でしょ、ということを言う可能性もありますね。全部、大事(な日程)ですね。」

--そうですか。となると12月の利上げがどうなるかというところにも響いてきそうですね。






■特集 ニッポンの橋が危ない!?
国土交通省が、2015年分の全国の橋の点検結果を発表しました。崩落の恐れなどがあるとして「緊急に対策が必要だ」と判定された橋の数は141。国交省はおととし、全ての橋を5年に1度目視点検するように義務付けましたが、2年間で全国の橋の約3割しか調査は終わっておらず、今後も「危険な橋」の数は増えると見込まれています。相模原市では、橋を支える橋台のコンクリートが崩落しました。静岡市の住宅地では点検の結果橋が取り壊され、住民の生活に影響が出ています。高度成長期に一斉に作られ、今後次々と補修や掛け替えの時期を迎えるニッポンの橋。それを守るための新技術の開発も進められていました。産総研では、“しま模様”を撮影するだけで、橋のたわみを計測できる最新技術が研究されています。西武建設と芝浦工大は、ドローンを初期の橋の補修に活用しようとしています。
取材先・長野県松本建設事務所・産業技術総合研究所・西武建設・芝浦工業大学


【ニッポンの橋が危ない!?、点検で“通行止め”続出】
今月、全国の橋の点検結果で緊急対策が必要な橋の数は141と発表された(2015年度点検分)。高度成長の時代に国内で一斉につくられた橋が次々と老朽化し今後、補修や架け替えに莫大な費用がかかると見込まれている。私達の毎日の生活になくてはらなない橋に忍び寄る深刻な危機を追った。

静岡市葵区の住宅街にかかる橋(1956年建設)は、去年実施された国土交通省が義務付けた調査で「緊急に対策を取る事が必要」と判定され撤去。以前は橋を渡って往来できていた住宅地は袋小路になっている。
また神奈川県相模原市の50年以上前につくられたと見られる八幡橋は去年12月の調査で「緊急に対策を取る事が必要」と判定。今年2月に全面通行止めとなり、8月に人と自転車のみが通れる仮設の橋がかけられた。住民も以前から危険を感じていたとのことだが、橋を管理する相模原市は義務付けられるまで本格的な点検をした事はなかった。

日本に約73万あるとされる橋。多くの橋が高度成長期の1960~70年に建設された。橋の耐用年数は約50年が目安。それを過ぎた橋が増えてきている。国(国土交通省)は中央自動車道・笹子トンネルでの天井板崩落事故を受けて、一昨年、全ての橋で5年に1度の目視点検を行うよう義務付けた。これまでに全国の橋の約3割で点検が実施され、250の橋は緊急対策が必要と判定された。
長野県松本市にある小大野川橋も崩落の危険性があると判定され、緊急補修が実施された。長野県松本建設事務所維持管理課・向山秀樹課長は「予算面も含めて厳しい状況にあると考えている。人材の確保、技術者が不足しているのも事実」と話す。小大野川橋の本格的な補修には約7000万円かかる見込みで、長野県は5年以内に実施するとしている。
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【安全を守る新技術とは】
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)ではコストをかけず橋を点検するための技術の研究が進められている。鍵を握るのが縞模様。産業技術総合研究所非破壊計測研究グループ長・津田浩が「この模様をデジタルカメラで撮影すると“モアレじま”を作製できる」と説明。この現象を生かして、橋のたわみを調べ、たわみの大きさで橋の危険度を判断する。
一方、ドローンを使って効率よく橋を補修する研究も進んでいる。補修用のドローンで約4m先までコンクリートの補強材や塗料など噴射出来る。この方法を橋の傷みが軽いうちに使えば、維持管理のコスト削減につながる。


⇒ 【コメンテーター解説へ】





■ニュース特集

バスケットボールリーグ ソフトバンクが組んだワケ
Bリーグの開幕戦が行われる代々木体育館。会場のあらゆるところには目立つのはソフトバンクの広告。ソフトバンクは今年3月、推定で総額120億円という巨額のスポンサー契約を結びました。試合会場では、早速、ソフトバンクの技術が。選手の等身大のパネルが並ぶこちらのコーナーでは、スマートフォンにアプリをダウンロードしてカメラを向けると、わずか数秒で選手の情報を見ることが出来ます。ほかにも、座席に置かれたタブレットから飲み物を注文することが出来ます。さらに、飲み終わった後のカップを画面にかざすと、無料でおかわりできるサービスも。Bリーグは、ソフトバンクにとって、「次世代スポーツ観戦の実験場」ともいえる場所なのです。ソフトバンクが今年始めた「スポナビライブ」は、スマートフォンやタブレット向けに全試合を生配信するサービス。ソフトバンクの利用者であれば月額500円で利用可能です。



安倍総理 キューバへ出発
ニューヨークを訪問していた安倍総理大臣は、さきほど次の訪問国であるキューバに向け出発しました。日本の総理大臣として初のキューバ訪問となります。安倍総理は、ラウル・カストロ国家評議会議長との首脳会談に臨み、経済関係を強化していくことを確認するほか、北朝鮮と友好国であるキューバに対し、北朝鮮問題での協力を要請することにしています。



アップル マクラーレン買収も
イギリスのフィナンシャル・タイムズは22日、アメリカのアップルが、高級スポーツカーやレーシングカーの製造で知られるマクラーレンと、買収や出資に向け交渉を始めていると報じました。アップルとしては自動運転車などの開発でマクラーレンの技術力を活用する狙いがあるとみられます。交渉は数ヵ月前から始まっているということですが、マクラーレン側は、事実関係を否定しています。



黒人射殺で大規模デモ 非常事態宣言
アメリカ南部のノースカロライナ州で21日夜、警察官が黒人を射殺したことに抗議する大規模なデモが再び起きました。これまでのところ1人が重傷を負っていて、ノースカロライナ州知事は21日、非常事態を宣言しました。20日の夜に始まった抗議デモは、参加者の一部が一時、暴徒化し、警察も、ゴム弾や催涙ガスで応戦しました。



中国鉄鋼大手が統合 世界2位に
中国の国有鉄鋼大手、宝鋼集団は、武漢鋼鉄集団と経営統合すると発表しました。これにより、生産量で世界2位の巨大鉄鋼メーカーが誕生します。中国は鉄鋼の過剰生産で世界的な鉄鋼価格の下落を引き起こし、国際的な批判を浴びているため、統合を機に生産能力を削減する狙いがあるとみられます。



暗闇で「ワン・ツー・スリー」
暗闇の中でワン・ツーと声を上げて行うスポーツイベント。仕掛けたのは、スニーカーでおなじみのメーカーです。暗闇の中で、大音量の音楽にあわせて、参加者が行っているのは、ボクササイズ。ボクシングとエクササイズを組み合わせたトレーニングです。開催したのは、スポーツメーカーのニューバランス。参加者に自社のウエアなどを身につけてもらい、スニーカー以外の製品をPRするのが狙いです。





■【ロングセラー研究所】ポールウインナー
porl.JPG1934年に発売され、今年で82年の歴史を持つ伊藤ハムのポールウインナー。しかし年間1億本が売れているのはほぼ関西だけで、関東ではほとんど知られていない不思議なロングセラーです。伊藤ハムの創業者伊藤傳三氏は、ソーセージの日持ちを良くするため、セロハンで包むことを思いつき、地元の関西で販売したところ大ヒットしました。その後全国に販路を拡大しようとするも、他社の魚肉ソーセージに押されるなどで、うまくいかなかったといいます。一方関西では、1960年代から学校給食にポールウインナーが出されていて、親から子、そして孫へ、味の記憶が連鎖して人気が続いているようです。
取材先・伊藤ハム

分析
① 初めてソーセージをセロハンで包み日持ちを良くした
② 子供から大人まで味の記憶を連鎖させた



■【トレたま】シワがつかないスーツバッグ
【商品名】ローラー
【商品の特徴】衣類を巻いて収納する筒形のスーツバッグ
【企業名】ローラー
【住所】オランダ・アムステルダム
【価格】1万2,800円(税別)
【発売日】10月31日
【その他】日本代理店フラット・クラフト
【トレたまキャスター】相内優香





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・老朽化対策のカギは?

--橋の老朽化問題に対する対策というのは、待ったなしという状況だと思うんですけど、何をすれば解決するんでしょうか。

「高齢化は人間だけじゃない。床もそうだということですけど、VTRの中では点検と修理の両方が入っていましたけれども、点検はやっぱりすごい技術をやってますね。修理もそうです、対応年数を長くする、これはやっぱり技術ですね。今週の番組で、オバマ大統領の話がありまして、彼はやっぱりSTEM、すなわち、科学、技術、工学、数学の頭文字を取ってSTEMですけれども、理科系の人を増やすということですね。だから教育改革が橋の安全の基礎だということですね。やっぱり高齢化社会の持続性は技術を分かっている人、それによってイノベーションを起こして経済の効率化、・・・・・・、これはやっぱり理科系の人を増やさないといけないと思いますね。」







2016.9.21 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月21日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

日銀 物価↑2%まで長期戦も
日本銀行は2日間開いた金融政策決定会合で、これまでの大規模な金融緩和に対する「総括的な検証」と、新たな金融政策を決定しました。「総括」では、マイナス金利や国債の大量購入には一定の効果があったと評価。「2年で物価上昇率2%」という目標が達成できなかったのは、原油安など外部要因によると説明しました。これを受けて発表した新たな金融政策では、一連の金融緩和を「物価が安定的に2%を超えるまで」続けるとし、「長期戦」も辞さない姿勢を示しました。一方で、マイナス金利は0.1%を維持。金融政策の軸を「量」から「金利」に移して、償還期間が長い国債の金利が下がりすぎない仕組みを作り、それらの国債で運用する銀行や年金などに配慮しました。日銀の黒田総裁は一連の政策について「金融緩和強化のための新しい枠組みだ」と述べ、緩和の手は緩めないという姿勢を強調しました。

【新たな金融政策発表・検証!デフレ脱却なるか?】
今日午後1時過ぎ、株式市場が沸いた。東京株式市場は全面高となり、日経平均株価は昨日より300円以上値上がりした。さらに債券市場も沸いた。震源地は日銀。これまでの金融政策を大転換した日銀。これでデフレ脱却なるか、徹底検証する。

【日銀・金融政策が新局面へ・物価2%上昇に不退転の決意】
日銀は金融政策決定会合を開き、これまでの金融緩和策を総括的に検証した上で、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで金融緩和を続けると発表した。その為に新たな枠組みを導入するなど、デフレ脱却への強い姿勢を示した。
デフレ脱却を目指し、2年で2%の物価上昇を掲げてきた日銀。異次元の金融緩和を続けて3年半。まずはその総括から始まった。マイナス金利や国債の大量購入などで金融政策は一定の効果を発揮したが、原油安や消費税増税などによる外部要因により、2年で2%上昇という目標を達成する事ができなかったとした。これを受けて新たな金融政策を発表。異次元の金融緩和を物価が安定的に2%を超えるまで続けるとした。また今年2月に導入したマイナス金利は-0.1%のまま据え置いたが、必要があればさらに引き下げると表明。この日銀の強いメッセージを受けた市場は、マイナス金利が拡大すると業績が悪化すると懸念されていた銀行株を中心に買いが入り、日経平均は全面高になった。そして今回の一番の目玉は、長短金利操作付き量的質的金融緩和の導入。これまでは国債などを大量に購入することで、市場に資金を供給してきたが、今後は短期と長期の国債それぞれの金利について、目標を設定するという方針を柱にする。これは世界でも例のない政策だ。すると長期金利の指標となる10年物国債の利回りは一時約半年ぶりにプラスとなった。日銀は至上命題の物価2%上昇に向け、長期戦も辞さないという不退転の決意を示した。

gin1.JPG【日銀の新たな金融政策のポイント】
《大浜キャスター解説》

《物価上昇率2%の達成について》
黒田総裁は当初は2年で2%という目標を掲げていたが、実際に消費者物価の推移を見てみると、黒田総裁が大規模な金融緩和を始めてから、この3年半の間に、2%どころか直近ではむしろマイナスという非常に厳しい状況だ。2年という目標の達成時期自体も先送りを繰り返してきたという状況だ。そこで今回は、安定的に2%を超えるまで緩和を継続するとした。つまり「いつまでに」という時期を撤回した格好だ。これはもう短期決戦ではなくて、長期戦も辞さないという、大きな方針転換と言える。

《国債の買い入れについて》gin2-1.JPG
これまで日銀は、国債を大量に買うことで、世の中にいくらお金を行き渡らせるか、つまり「量」に重点を置いてきた。しかし今回の発表によると、国債を購入する基準を金利に転換するということである。国債というのは償還までに期間が短いほど金利は低い傾向に、期間が長いものは金利が高いというものであるが、今回、「代表的な国債10年物国債の金利0%程度に維持する」ことを目安とした。これで10年物より期間の長い国債の金利は確実にプラスにしていこうという考え方だ。実はこの期間の長い国債というのは銀行や企業年金が多く保有して運用している。現状でいうと低金利で運用難に陥っていたので、それに配慮した格好だ。

《マイナス金利について》
日銀が銀行から預かったお金にマイナスの金利をつける。つまりおgin2-2.JPG金を預けると手数料みたいにお金を取られるというものだが、こちらにも配慮が見られる。今回マイナス幅を拡大するという見方も、事前に多くあったが、実際には-0.1%を維持、これ以上銀行の負担を増やさないという、これも気を配った結果というふうに見られる。
ただ一方で黒田総裁は・・・
「私どものコミットメント(約束)はできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成することであります。マイナス金利につきましては、この公表文でも示してある通り、必要に応じて追加緩和(拡大)をする。」
マイナス金利の拡大については含みを残しているが、ただトータルで見てみると、日銀のデフレ脱却への取り組みというのが、今までのサプライズ中心の短期的な決戦から、金融緩和の副作用を抑えながら長期戦を覚悟したものに変わったとの見方が多くなっている。

《モルガンスタンレーMUFG証券チーフエコノミスト/ロバート・A・フェルドマン氏》
「私はやっぱり10年国債の金利を目標にした事が一番大きいと思いますね。そろそろ買える国債がなくなってしまうのではないかという心配がずっとあったので、どこかで仕組みを変えないといけないという必要性があったので、よく準備したなと思いますね。」

【日銀金融政策が新局面へ・政府・経済界の反応は】
今回の日銀の新たな金融政策について政界や経済界はどう評価したのでしょうか。
《菅官房長官》 「政府としては歓迎したい。2%の物価安定目標に向けて、必要な措置をとることを期待している。政府と日銀はより緊密に連携しながら、その目標に取り組んで行きたい。」
《日本証券業協会/稲野和利会長》 「合理的な政策手段を選択しているという意味では、非常に納得性があるし、マーケットとの対話を重要視する姿勢の表れだと思いますし、その点は大いに評価するべきではないかと・・・。」
《経団連/榊原定征会長》 「2%を超えても緩和的な金融環境は引き続き維持するという、金融緩和についての非常に強い日銀のコミットメントを示されたものと受け止めておりまして、2%の物価安定目標に向けてプラスの材料になるであろうと評価しています。」

一方で同じ経済界でも、こんな声が・・・
《日本商工会議所/三村明夫会頭》 「さらに(金融緩和で資金の)供給を増やしても、企業の設備投資は増えていない。ですからそういう意味でのメリットはこれまでもなかったし、今回の決定でもあまり影響はないだろうと思っていますので、(評価は)中立的。」

--そしてたった今、安倍総理のアメリカでの反応が入ってきました。
《安倍総理》 「政府としては歓迎したい。今後も政府と日銀が一体となって緊密に連携をしながら、アベノミクスを加速させていきたいと思っています。デフレ脱却に向けて、しっかりと歩みを進めていく事はできると思っています。」

【日銀・黒田総裁の通信簿】

gin3.JPG




















日本銀行・黒田東彦総裁の通信簿を作成。日本経済研究センター・岩田一政氏、第一生命経済研究所・熊野英生氏、東短リサーチ・加藤出氏に三段階(もうすこしがんばりましょう、よくできました、たいへんよくできました)でこれまでの金融緩和策と新たな金融政策を評価した。

《岩田氏》 「政策金利の先行き予測を出し、透明性や予見可能性を高めましょう」
今回10年物国債の利回りを0%程度に維持することを決めたわけだが、今後金利は上がっていくのか、下がっていくのか、これが分からないといけないので、日銀は世の中にヒントを示すべきだという指摘である。それで金利が上がっていくのか、下がっていくのかわかるようになると、仮に上がっていくとすれば、人々が消費や投資に早いうちに回すようになる可能性もあるということだ。先読みさせるのも大事である。

《熊野氏》 「政府と一緒になって企業の賃上げが実現する状況を作りましょう」
これまで金利を下げてきたが、物価は上がっていない。であればこの金融緩和のメリットを企業が、賃上げという形で早く国民に還元する段階にきているという指摘である。

《加藤氏》 「もっと『構造改革が必要』とアピールしましょう」
日銀はもう頑張る過ぎたという指摘をしたうえで、日銀の金融政策だけではもはや物価の上昇に対しては限界で、今度は政府が構造改革をする必要があるという指摘である。

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《ロバート・A・フェルドマン氏》

・日銀の新たな政策、評価の一方、矛盾も・・・

gin4.JPG--採点はこちらです。これまでの政策については3段階で一番低い「もうすこしがんばりましょう」ですね。

「実は2つあって、国語ができて数学ができないようなもんですけれども、(これまでの政策は)量的緩和は非常に良かったと思います。一方、マイナス金利にしたということが私は失敗だったと思う。むしろインフレ期待を悪化させたということですから、こういう評価にしました。」

--そして今後の政策については、「よくできました」、3段階中の真ん中ですね。

「(今後の政策は)良いところはあると思いますね。いずれ買い入れる国債がなくなるから、準備して枠組みを変えよう、というのは非常に良いことですね。前もって準備したということです。もう1つは、総括検証の中でマイナス金利の副作用について、非常に細かく詳しく書いたわけですから、信頼性が上がったと思います。非常にしっかりレポートになっていたので良かったなと思いますね。」

--副作用をしっかり書いたということは、これからなかなか簡単にはマイナス金利を下げないという・・・。

「マイナス金利の深堀りはないでしょ、ということですから、これはちょっと私は安心しますね。」

--そしてもう1つ、通信欄の「政策に矛盾がある」、これが気になります。

「ちょっと矛盾があると思います。これは80兆円前後の量的緩和をやりましょうというということまで言っているけれども、10年国債は0%の水準ですと・・・。これはちょっと矛盾ですね。価格と量を同時に決定できませんね。価格を選ぶか、量を選ぶかということですけれども、じゃあどっちを優先するのか、という問題が出てきます。」

--これは黒田総裁が会見の中で、「保有残高の年間増加額、年間およそ80兆円、これは増減はある」、というふうに仰いました。

「だからやっぱり10年債利回りの優先順位が高いということを言いましたね。あともう1つ、ポイントがあります。さっき岩田さんの意見もありましたけれども、(金利を)どういう基準でこれからゼロではなく、0.1、0.2にするのか、あるいはもっと下げるか、どういう基準で決めるのかということが、きょうははっきりしていないんですね。だからこれをはっきりして頂きたいということですね。例えば、物価が上がるにつれて、ゼロではなくて0.1、0.2にする、そういうスライド制を導入したらどうかというのが私の考え方ですね。」

--昨日フェルドマンさんは、「金利を操作するというのは、不安も付きまといますよ」ということを仰っていましたけれども、そこはどうなんですか。

「今日も記者会見で総裁が仰いましたけれども、マイナス金利のマイナス0.1、10年債、この2つをやりますけれども、それ以外はやらないということを言っていますので、大体これでいいと思いますね。変にいじるということがないので、たぶん大丈夫ではないかと思いますね。」

--もう完全に固定してしまう、ペッグしてしまうというわけではない。そこがポイントになるということですね。





日銀・新政策 米の反応は…

今回の日銀の決定を受け、米国の反応はどうなのか、見ていきたいと思います。ニューヨークから新形さんに伝えてもらいます。
《中継担当:みずほ総研NY/新形敦氏》

日銀の決定をうけてのNY市場の受け止め方ですが、予想通りの結果で驚くような政策変更はないと皮肉にも冷静でした。
《ウェルズ・ファーゴ/スコット・レン氏》
「日銀の決定に驚きはない。緩和を続けると受け止めた。利回り曲線の長短金利差の拡大は良いことで、引き締めではない。」
ただ、日銀の黒田総裁が長期国債の買い入れ増減はあり得るとの発言をしたことから、市場参加者の一部は量的緩和拡大の可能性が小さくなったと受け止めた面も少なからずあるようで、外国為替市場は1ドル=100円台まで円高が進みました。

--この後アメリカでは金融政策を決めるFOMC=連邦公開市場委員会が開かれますが、やはり利上げは見送りでしょうか。
FOMCでは利上げは今回も見送りになるでしょう。9月の市場の利上げ予想確率は22%にとどまるなど、織り込みが十分でないことから、無理に利上げをすると金融市場が混乱しかねないためです。アメリカ経済は底堅いとみておりますが、FRBが市場混乱というリスクをとってまで利上げを急ぐとは思えません。ただし同時に発表される声明文では、8月末にイエレン議長が述べたように「利上げ時期が近づいている」といった内容の文言が入る可能性が高いとみています。今回は見送りでも、FRBは年内、おそらく12月利上げしようとするでしょう。

--FRBが年内利上げを目指すとすれば、今後為替はドル高円安が進むんでしょうか。
大幅なドル高はないと思います。来年以降の利上げペースは現在の想定よりも、さらに緩やかになるとみられるためです。今回FRBは利上げ回数の見通しを引き下げる可能性があります。円に対して大きくドルが買われる局面にはならないでしょう。以上ニューヨークでした。





■特集

光学の板橋を再生せよ
インスタグラム15万人のフォロワーを持つフォトグラファーのKoichiさんは、iPhone6用のひずみのでない広角レンズを作ってほしいと板橋区の中小企業に頼みました。依頼を受けたコゾフィルタースは製造は得意ですが、レンズを設計する光学設計士がいませんでした。そこでオリンパス出身の光学設計士木村さんに設計を依頼、ひずみのないレンズを作り上げることに成功。「トーキョーグラファー」という自社ブランドとして世界に打って出ます。実は木村さんは定年退職後、板橋区の企業活性化専門員に就任しました。板橋区は戦前から光学の街として知られていて、現在、中小企業の地盤沈下が進む中、もう一度「光学の板橋」を再生させようとしているのです。その取り組みを受けて新たな企業も生まれています。光学設計士集団のチームオプトです。中小企業の設計を請け負い、板橋区の光学産業を盛り上げようとしています。
取材先・コゾフィルタース・板橋区・板橋区産業経済部・チームオプト・システムズエンジニアリング


【ものづくりの町・スマホ向け製品で甦れ!】
東京・板橋区はかつてものづくりの町として栄えていたが、今そのものづくりは衰退しているのが現状。そんな中、スマートフォンに使うある意外な製品でものづくりの町の再生を目指そうとしている。

【「光学の板橋」再生へ・ひずまないレンズで世界に!】
世界でも高い評価を受けているモバイルフォトグラファー・Koichi。その作品は去年と今年連続してiPhoneの広告キャンペーンに採用され、渋谷の109やドイツ・ベルリン、フランス・パリ、米国・ワシントンなど世界中のビルボードを飾っている。インスタグラムのフォロワーは15万人以上。そんなKoichiが最近手に入れたのが開発中のレンズ。これは歪みなくクリアに撮影できる広角レンズで、Koichiが「歪みのないiPhone6用の広角レンズを作ってほしい」とある中小企業に依頼したもの。

【「光学の板橋」再生へ…ひずまないレンズで世界に!】
モバイルフォトグラファー・Koichiが「ひずみのないiPhone6用の光学レンズを作って欲しい」と依頼し、その光学レンズを作っているのが東京都板橋区にある中小企業「コゾフィルタース」。大手メーカーのレンズ製造の下請けをしているが、コゾフィルタース・石川晃社長は自社ブランドを作りたいという思いがあった。レンズを設計する光学設計士は中小企業にはほとんどいない。そこでコゾフィルタースは、オリンパスなどでレンズの設計をし、2年前に定年退職した光学設計士・木村正資に頼った。「トーキョーグラファー Easy Fit Mount Package」で世界に打って出ようと考えている。

【「光学の板橋」再生へ…ものづくり×設計士集団】
板橋区役所には、コゾフィルタース「トーキョーグラファー Easy Fit Mount Package」を設計した光学設計士・木村正資がいる。木村は定年退職後、板橋区ものづくり企業活性化専門員に就任している。板橋区は昭和初期から双眼鏡や陸軍の光学兵器を製造する工場が集まり、関連企業は全盛期で400社。光学の町として知られていた。今はわずか60社。そこで板橋区は「光学の板橋」を再生させようと木村を専門員として呼んだ。板橋区産業経済部産業戦略担当課長・諸橋達昭は「板橋のポテンシャル・光学を高めてもらい、外からの新しい風にも入ってもらう」と話す。

板橋区の取り組みを受けて新たな企業も誕生。チームオプト・槌田博文社長が去年、中小企業の設計を請け負う光学設計士集団を立ち上げた。集めたのはオリンパスやペンタックスなど大手企業の出身者。槌田社長はシステムズエンジニアリングから麻薬などの測定器の測定性能を高めて欲しいと依頼を受けた。ものづくり企業と設計士集団などを上手くマッチングさせていこうとする板橋区のプロジェクト。木村は大きな手応えを感じている。木村は「世界からネットを通して板橋区にこんなことできないかと連絡が来る。設計、製造の仕組み作りができたらいい」と話す。





■ニュース

ガバナンス改革でさらなる投資を
安倍総理大臣は先ほど、ニューヨークで金融関係者らを前に講演し、新たなコーポレートガバナンス強化策を打ち出しました。来年から、機関投資家に対し外からのチェック機能として第三者委員会などの導入を求めるもので、機関投資家による資金管理や運用の健全性を担保するのが狙いです。政府としては投資環境を整備することで、海外からの投資を呼び込みたい考えです。



8月の訪日客 過去最多
日本政府観光局は、今年8月に日本を訪れた外国人旅行者数の推計が、1年前と比べ12.8%増の204万9,200人に上り、過去最多だったと発表しました。1月から8月の累計は、1,606万人となり、去年よりもおよそ2ヵ月早く1,500万人を超えました。クルーズ船の寄港が増えたことや航空路線の拡充などが、追い風となりました。



電力料金 11月から値上げ
電力大手10社のうち東京電力など6社が、11月の電気料金を引き上げる見通しであることがわかりました。標準家庭で10月に比べ10円から25円程度の値上げとなる見込みです。これは、火力発電の燃料となる原油や液化天然ガスの価格の上昇が影響したものです。



もんじゅ 廃炉前提に見直し
高速増殖炉もんじゅについて、政府は関係閣僚会議を開き、廃炉を前提に抜本的に見直す方針を確認しました。年末までに正式な結論を出す見通しです。その一方で、、核燃料サイクル開発の政策については維持し民間も含めて高速炉の開発を行っていくとしました。もんじゅはこれまで1兆円以上の国費が投じられてきましたが安全管理上の不祥事が相次いでいて運転再開の見通しが立っていませんでした。



エネ政策 原発再稼働も
IEA=国際エネルギー機関は、東日本大震災後、初めて日本のエネルギー政策を評価した報告書を公表しました。原発の停止で化石燃料への依存度が大幅に高まった中、2030年度に政府が目標としている温室効果ガスの排出量を26%削減するためには、一部の原発の再稼働が重要だと提案しています。さらに、2050年までに排出量を80%削減する目標の達成については、再生可能エネルギーなどで新たな技術が不可欠だと指摘しました。

⇒ 【コメンテーター解説へ】




金融+ITで暮らしが変わる!
金融とIT技術を融合したフィンテックについてのシンポジウムが開かれました。麻生財務大臣は「スマートフォン1台が銀行支店とほぼ変わらない時代になりますから、時代が大きく変わっていきます。」と話しました。出展企業のブースをみると、年齢や年収など簡単な情報を入力するとAI=人工知能が、どの国の、どのような金融商品が自分の投資先として最適か提案し、実際に運用してくれるサービスや、クレジットカードの明細などから自動で家計簿を作成するソフトなどが展示されています。日々、新たなサービスが登場するフィンテック。私たちの暮らしを大きく変えつつあります。



家電業界にニューフェイス
スマートフォン周辺機器などを販売する会社が21日、家電事業の新ブランドを発表しました。家電事業の新ブランド「ユーフィ」を発表したのは、スマートフォン周辺機器などを販売するアンカーです。今回発売されるのは、ロボット掃除機や超音波加湿器など3種類。こちらのロボット掃除機は、2万9,800円と低価格ですが、大容量のバッテリーを搭載していて、3時間以上の連続稼働が可能となっています。これまで、スマートフォンのバッテリーなどを販売してきた強みを生かし、今回、本格的に家電事業に参入します。今後は、インターネットとつながる新たな商品も発売する予定です。





■【トレたま】食べるトランプ

小麦粉を使った生地で作られ、食べられるインクでマークや数字を印刷している。味は4種類、メロン、イチゴ、ココア、バニラ。川松社長は、ハードディスク関連部品を販売する会社を経営しており、「ハードディスクだけでは大変なので、他のものを作りたいと思った」と話す。製造は老舗のもなかの皮メーカーに依頼。

【商品名】食べる!トランプ
【商品の特徴】小麦粉の生地で作られた薄さ1ミリの食べられるトランプ
【企業名】ジーテム・ソリューションズ/川松剛社長
【住所】東京都北区豊島1-30-2-1306号
【価格】950円(53枚入り)
【発売日】発売中
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・ニッポンの総力を挙げて、もっとエネルギー革命を!

--このIEAの指摘をどうご覧になりますか。

「いいことも言っていますけれども、2050年までという期間は長い、すなわち野心がないなという気がしますね。ちょっと今原油が安くなっているから、怠慢しているのかなという世界中の動きではないかと思います。」

--再生可能エネルギーの開発が、ちょっと滞っていると・・・

come2.JPG「そういうことですね。既に存在している技術でほとんど賄えますということを、実はこの前、本が出ました。これはハーバード大学の『 Mara Prentiss 教授』、物理学の先生ですけれども、『 エネルギー革命 ENERGY REVOLUTION 』という本です。もう既にかなり技術ができていて、もうちょっと開発があるんですけれども、問題はいますでに存在している技術をどうやってインフラを整備して広げていくかということですね。応用ですね。その点でいろんな国で同じ問題がありますけれども、予算ですね。例えば、今日のIEAの出したレポートの中で、日本がエネルギーの研究開発のために使っているお金はいくらか、というと0.3兆円です。社会保障は130兆円ですよね。なぜ0.3兆円しか使っていないのか、ということで、少ないですね。日本はもう天才、エネルギーオタクもいっぱいいます。例えば新エネルギー機構(NEDO)というのがあります。素晴らしいことをやっています。だけどもうちょっとペースアップして、もっと早く目標を達成できるようにしたほうが、国の一つの使命になると思うので、頑張っていただきたいなと思います。」






・次の焦点はFRBの一手に

--このあと日本時間の午前3時にアメリカの金融政策が発表されるわけなんですが、どうでしょう、今回の利上げは・・・?

「ないと思います。確率はかなり低いと思います。12月と思う人が多いようですけれども、弊社は来年の12月だと思っています。」

--どうしてそんなに利上げをするのに時間がかかるんでしょうか。

「やっぱり経済の体質が変わっているということだと思いますけれども、弊社の予測はGDPがかなり低いんですね。1.5%がずっと続くと思っています。加えて物価上昇率がまだ安定的に2%になるまでほど遠いと思ってます。
いろんな議論がありますね。例えば、いや物価が上がるよ、という議論もあります。女性の労働参加率がすごく上がっていますね。これ以上、上がらないだろう、だから労働供給が増えない、だから物価が上がる。そういう論もありますし、一方で、高い賃金の産業から引く賃金の産業へ移る人が多いから、所得がない、需要がない、だから物価が上がらない。(いろんな議論が)混ざってますね。」

--そうすると急激にインフレが進むような局面にはなりにくい。

「ならないから、連銀が簡単に金利を上げることはできないでしょう。」








2016.9.20 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月20日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

難民受け入れは是か非か
増え続ける難民に各国が頭を悩ませています。ロンドンから豊島記者の報告です。
《中継担当:ロンドン支局/豊島晋作記者》

世界で難民申請を行った人の数は去年、165万人と過去最高を記録しました。難民の数が過去最高となる中、欧州では改めて難民受け入れをめぐる世論の分裂が際立ってきています。19日、ロンドンのビックベンで難民支援団体が2,500個の救命胴衣を並べました。これらは全て、中東やアフリカからヨーロッパ大陸に渡ってきた難民たちが実際に着用していた救命胴衣です。去年以降、地中海を渡る途中に約7,000人の難民が溺れて死亡したり、行方不明になったとされています。
支援団体のこうしたアピールの裏には最近、ヨーロッパに広がる反難民感情への危機感があります。フランス北部では今月、難民の増加に抗議する人々が高速道路を占拠し、交通や物流が一時マヒする事態となりました。また、ドイツのベルリンでは19日、難民の受け入れに反対する右派政党が大幅に議席を伸ばし、今後メルケル首相率いる政府の難民の受け入れ政策は大きな見直しを迫られると見られています。





■ニュース特集

どうなる日銀の決断 「異次元緩和」の総括スタート
日銀はきょうから2日間開く金融政策決定会合で、これまでの異次元緩和について「総括的な検証」を行います。期待された緩和効果が得られなかったうえ、副作用が目立ち始めたためです。日銀は日本経済をデフレから脱却させるため、生鮮食品を除く消費者物価指数を「2年で2%」引き上げる目標を掲げました。その実現に向け、大規模な量的・質的金融緩和や「マイナス金利」導入に踏み切りましたが、直近の物価上昇率はむしろマイナス。そうした中で、国債に投資する企業年金が運用難に陥るなど、副作用も出始めました。今回の「総括検証」では、どのような方針転換が打ち出されるのか。いま市場では、物価上昇率「2%」の達成時期を明確にしないことや、金融緩和の軸をマネーの量から「マイナス金利の拡大」に移すこと、超長期金利の低下を抑えることなどが打ち出されるか、注目されています。

【金融政策の転換点!?日銀、逆転のシナリオとは】
異次元緩和は正しかったのか、日銀は今日からこれまで実施した金融緩和策について異例とも言える総括的検証を行う。3年半前、日銀はデフレ脱却に向け物価上昇率を2年で2%に引き上げる目標を掲げた。次々と発射された黒田バズーカ(マイナス金利など)。しかし3年半経った今、2%の目標達成はもはや幻と化してしまった。更に浮き彫りになった副作用。日銀が放つ逆転のシナリオとは。

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【どうなる日銀の決断「異次元緩和」の副作用とは】
日本の金融政策の転換点となるのか。日銀は今日から金融政策決定会合を開き、これまでの異次元緩和の効果はどうなのか異例とも言える総括的な検証を始めた。そもそもなぜこの検証というのが必要となったのか。

これまで日本は物価の下落が続くデフレという病に侵され、景気の体温ともいわれる物価が低迷してきた。そこで日銀が打ち出したのが2%の物価上昇目標だ。その達成のため、まずは量的緩和、大量の国債を買い入れて、世の中のお金の量を年間80兆円増やし、お金が回るようにしてきた。次に質的緩和、これは満期までの期間がより長い国債も買い入れたり、価値が下がるリスクがより高い金融商品の買う量を増やしてきた。つまり買うものの幅をさらに広げてきたということだ。そして今年の1月に打ち出したのが、マイナス金利政策だ。銀行などが日銀にお金を預けても減ってしまう。であれば企業などへの貸し出しに積極的に回すほうが得だという状況を作るのが狙いだった。これによって企業や個人がお金を借りる際の金利がある程度下がるという効果はあったわけだが、肝心の物価はプラスになるどころか、直近でマイナスとなっていて、目標の2%には程遠いという状況になっている。カンフル剤が全く効いていない状況だが、これはどうしてなのか。

その要因は原油価格の下落、2014年に行われた消費増税、海外経済の減速、これらが物価の上昇を阻んだということだ。さらにそれだけではなく、この異次元緩和の副作用が目立ち始めたため日銀は今回、こうした政策の検証に踏み切ったというわけだ。では一体、どの様な副作用が起きているのか、現場を取材した。

nitigin2.JPG【年金がATMが・異次元緩和に副作用!?】
異次元緩和の副作用はタクシー運転手などの年金にも出始めている。東京都内のタクシー会社155社の厚生年金を運用している企業年金基金・東京乗用旅客自動車厚生年金基金は、運用資産の35%を日本国債などに投資している。収益率は低いものの元本が保証されリスクが低い為だったが、今年1月に日銀がマイナス金利政策を発表して以降は国債利回りがマイナスに突入した。保有している国債の損失が増え、年度末の3ヵ月で2015年度の収益率はマイナスになった。こうした事態が続けば最悪の場合、現在働く人の負担金を増やさざるを得ない。企業年金基金は今厳しい選択に迫られている。さらにマイナス金利で銀行も収益が圧迫化され、手数料ビジネスに力を入れ始めている。ゆうちょ銀行は9年ぶりに来月からATMの送金手数料の一部有料化に踏み切る。こうした動きはさらに広まると見られていて、異次元緩和の副作用は私達の暮らしにも影を落とし始めている。
nitigin3.JPG

VTRにもあったように、日銀の異次元緩和で、副作用が出始めている。銀行の低金利などで、銀行の収益が悪化し、企業年金は運用難に陥っている。さらには日銀の国債買い入れ(量的緩和)も限界に近付いてきているという見方がある。このまま日銀がどんどん国債を買い入れていくと、銀行などからすべての国債を買い取ってしまい、およそ3年後には買うものがなくなってしまうという試算もある。


 ⇒ 【コメンテーター解説へ】










地価急上昇の意外なワケ
国土交通省が発表した基準地価で京都・伏見の上昇率が、昨年の8.6%から今年は26.2%と大きく伸びていました。「伏見稲荷大社」を訪ねると多くの外国人観光客が訪れていました。多くの客は、旅行サイト「トリップアドバイザー」の口コミを見て来たといい、SNSに思い出の写真をアップしていました。実は、この伏見稲荷、3年連続で1位に選ばれています。伏見稲荷では、口コミの意見を参考にして、案内板などを外国人に分かりやすくしています。その恩恵は、地元商店街にも広がっています。日本人より外国人観光客に人気の「トリップアドバイザー」。その口コミ情報を見ると、いま都内で人気のエリアは銀座。その中でも文房具専門店「伊東屋」や「ユニクロ」に多くの口コミが寄せられているといいます。「トリップアドバイザー」の牧野代表は、「人が集まれば地価も上がる。口コミを参考に集客に活用してほしい」と話します。

【地下急上昇の意外なワケ】
chika.JPG今日、国土交通省が発表した都道府県の基準地価。
《全国の商業地上昇率TOP10》
1位 名古屋市中村区椿町1-16
2位 名古屋市中村区名駅3-26-6
3位 大阪市中央区南船場3-5-11
4位 大阪市浪速区日本橋3-6-2
5位 名古屋市中村区椿町13-16
6位 東京都中央区銀座6-8-3
7位 京都市伏見区深草稲荷御前町89
8位 金沢市広岡1-1-18
9位 大阪市北区中之島5-3-81
10位 東京都中央区銀座2-6-7
この中の3位、4位、6位、7位、10位(大阪、東京、京都)では外国人観光客の増加が地価を押し上げているという。京都市伏見区では昨年の8・6%から26.2%と大きく伸びている。なぜここまで伸びたのか。集客にはある物が貢献しているようだ。

【訪日客人気No.1観光地、地価上昇のカギは“クチコミ”】
京都・伏見稲荷大社には多くの外国人観光客が訪れていた。その多くは世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」のクチコミを見て伏見稲荷に来たといい、SNSサイトに写真をアップしていた。実は伏見稲荷はこのサイトで3年連続で外国人に最も人気のスポットになっていて、クチコミの意見を参考にして案内板など外国人に分かりやすい観光地づくりをしているという。伏見稲荷の努力もあって商店街にもその恩恵が広がっている。
一昨年から商店街では案内所を兼ねた手荷物預かり所を開いていて、外国人観光客がひっきりなしだという。さらに精肉店でもクチコミの評判で、今では外国人客のほうが多いという。周辺の不動産店では物件が足りない状況になっている。

【地価上昇のカギは“クチコミ”、訪日客にホットな場所は?】
日本人より外国人利用者の方が多いトリップアドバイザーでは、「伏見稲荷なら1万2000件クチコミがある。英語が6300件、日本語が2100件。」という。日本人より外国人利用者のほうが多いトリップアドバイザイー。では東京都内で外国人観光客に人気のエリアはどこなのか。
地価上昇率ランキング10位の銀座2丁目で一番人気があるのは、文房具専門店・伊東屋だという。また地価上昇率ランキング6位の銀座6丁目での人気スポットはユニクロ。クチコミの数が毎年2倍近く増えている銀座、このクチコミをどう活用していくべきなのか。
《トリップアドバイザー代表取締役/牧野友衛さん》
「人が多く集まれば、それだけ地価に影響すると思う。インバウンド視点の観光の快適さは直接旅行者に聞くべき。そういう意味ででっかくこれだけクチコミが書いてあるから、それを集客に活用すべき。」

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“理系脳”育成に商機あり
stem.JPGネット通販大手のアマゾン・ジャパンが「知育・学習玩具大賞」を初めて開催しました。欧米を中心に理系科目を強化するSTEM教育が関心を強める中、日本でもSTEM教育に関連したおもちゃの認知度を上げようと始めたものです。アメリカでは、オバマ政権のもとSTEM教育を積極的に推奨していて、2016年度予算ではSTEM関連に約41億ドルを投じています。また、次期大統領候補のクリントン氏もSTEM教育を公約に掲げています。一方、日本では子どもを持つ親などの関心が高いものの知育玩具などの購入につながらない現状があります。アマゾンは教育や脳科学の専門家を審査員として招き、知育・学習玩具の表彰を行うことで効果などをわかりやすく消費者に伝え、購入につなげたい狙いがあります。アマゾンはほかにも知育・学習玩具専門ページも開設し、品ぞろえだけでなくより具体的な消費者のニーズにも応えていくとしています。

【注目度アップ“STEM”教育、子ども向け理系玩具に商機】
需要が拡大する一方で今後人材不足が予測されるエンジニアや研究者を育成しようと今、STEM教育に企業も動き出している。
stem2.JPGネット通販大手のアマゾンジャパンは知育学習玩具大賞2016を初めて開催。「カプラ200」(知育玩具部門)と「世界の国旗かるた」(学習玩具部門)が大賞に選ばれた。
アメリカのアマゾンでは既にSTEM関連の専用ページもあり、おもちゃに占める知育玩具の数は、他国に比べおよそ2倍となっている。米国ではオバマ政権の下、2011年頃よりSTEM教育を推奨、2016年度予算ではSTEM関連に約41億ドルを投じている。また次期大統領候補のクリントン氏もSTEM教育を公約に掲げている。しかし日本では未就学児を持つ親の70%以上が知育学習玩具に関心があるものの、購入頻度が低い人が大多数というのが現状だ。そこで今回、教育や脳科学の専門家を審査員として招き、数十万点あるというSTEM関連のおもちゃから、「アソブロック」、「サボテンバランスゲーム」、プログラミングロボ「コードAピラー」など、8つを受賞商品として選んだ。アマゾンでは今日から知育学習玩具専用サイトを開設し、目的に合わせ商品を選びやすくした。

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■ニュース

自民党 総裁任期延長の議論スタート
自民党はきょう、安倍政権の長期化を視野に、自民党総裁の任期延長について党内の議論をスタートさせました。自民党・政治制度改革実行本部の役員会では、現在「連続2期6年」となっている総裁任期について、「連続3期9年」まで伸ばすという意見と「再選の回数制限を撤廃する」という2つの意見が出ました。任期延長自体への反対意見は出なかったということです。役員会のメンバーには総裁任期の延長に慎重な石破・前地方創生担当大臣や岸田外務大臣が率いる派閥の議員も含まれています。二階幹事長など執行部は、あえて慎重派も取り込む形で議論を進めることで、党内の不満を押さえ込む狙いがあるとみられます。執行部は年内に議論をとりまとめ、来年の党大会で任期延長に向けた党則改正を目指します。



もんじゅ“廃炉”視野に閣僚会合
高速増殖炉もんじゅについて、政府は廃炉も視野に、あす、関係閣僚会議を開きます。「もんじゅ」を巡っては、安全管理や費用対効果の問題から、廃炉を求める声が強まっています。もんじゅの廃炉が決まれば、日本の原子力行政は大きな転換点を迎えます。一方で、もんじゅのある福井県敦賀市の市長らが、総理官邸を訪れ、もんじゅの存続を訴えるなど、調整は難航しそうです。



韓国ロッテ会長 裏金疑惑で聴取
韓国ロッテグループの裏金疑惑などをめぐり、韓国の検察はきょう、創業者の次男でグループ会長の重光昭夫氏を背任や横領などの疑いで事情聴取しました。韓国メディアによりますと、昭夫氏をめぐっては、企業合併や買収の過程で発生した多額の損失を、系列企業に肩代わりさせた疑いがあるほか、ロッテ建設の裏金づくりにも関与した疑いが持たれています。



安倍・クリントン会議 日米同盟の重要性確認
ニューヨークを訪れている安倍総理大臣は19日、アメリカ大統領選挙の民主党候補クリントン氏と会談しました。会談では、北朝鮮問題のほか、南シナ海で軍事拠点化を進める中国を念頭に、海洋の安全保障問題について協議し、日米が結束する方針を確認しました。一方、TPP=環太平洋経済連携協定をめぐっては、早期発効を目指す安倍総理に対し、クリントン氏は慎重な姿勢を崩しませんでした。



土砂災害警戒 台風16号 温帯低気圧に
西日本に記録的な大雨をもたらした台風16号は、午後9時に東海道沖で温帯低気圧に変わりました。関東でも活発な雨雲がかかり、午後8時前には千葉県茂原市で1時間に56ミリの雨を観測するなど、局地的に非常に激しい雨が降りました。これまでの大雨で地盤が緩んでいる所もあるため、雨が止んだあともしばらくは土砂災害に警戒が必要です。



液晶TV販売 シャープ18年度に1,000万台
シャープは、2018年度の液晶テレビの世界販売台数について、1,000万台に倍増させる計画を明らかにしました。親会社となった台湾の鴻海精密工業への委託生産も年内に開始し、フィリピンやインドネシアなど新興国で進む、ブラウン管からの買い換え需要に対応します。一方で国内生産に関しては、「撤退する気はない」と説明しました。



ジャガー 運転技術を計測する試乗会
ジャガーはきょう、運転技術を計測する車の試乗イベントを開催しました。東京・江東区の特設コースで行われたジャガーの試乗体験イベント。参加者は、ジャガーの最新車種を無料で試乗することができ、運転技術を計測してもらうことができます。イベントではプロテニスプレイヤーの錦織圭選手が登場し、ドライビングテクニックを披露しました。コース上では、ランダムに点滅するライトに従って走行することで、スピードや走行時間、走行ラインの正確性などが計測できます。こちらのイベント、明日から3日間一般向けに開催されます。





hit1.JPG■【ヒットの順番】万年筆
これまで「高級嗜好品」としてのイメージが強かった万年筆ですが、ここ数年は1万円以下の低価格帯の商品が立て続けに発売され、人気となっています。人気商品トップ10はすべて1万円以下であるほか、うち7つが日本製です。1,000円という価格で2位となったパイロット「カクノ」は、子どもでも万年筆に親しめるよう、軸は鉛筆と同じ六角形となっていて、ペン先には顔もついています。6位にはプラチナ万年筆の「センチュリー」がランクイン。1万円ながら、ペン先が手作りの本格派です。さらに最近、低価格帯の万年筆と併せて人気なのがカラーインクです。気軽に使える低価格帯の万年筆に好きな色をつめられるようにしたことで、多様化する客のニーズに応えます。
取材先・伊東屋・パイロット・プラチナ万年筆
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■【トレたま】室内でも使える犬の車いす
【商品名】ランダムカート(仮称)
【商品の特徴】体の動きに合わせて可動する構造の犬用の車いす。小回りがきくため室内で使用できる。大学生の研究としてスタートしたが、動物病院と共に3年半かけて製品化。
【企業名】日本工業大学
【住所】埼玉県南埼玉郡宮代町学園台4-1
【価格】未定
【発売日】年内発売予定
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・いよいよ明日「総括」、金融政策の転換点に?

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--今のうちに検証して、この先のことを考えなければいけないということで、こうしたなか、日銀が明日、公表する総括的な検証では、果たしてどんな方針が打ち出されるのか、世界中が気にしているところです。特に注目点といわれているところを3点ほど挙げました。

(1) 2%目標の長期化

--2%達成時期をどうするかということですが、これまで2年で達成するといってきました。これを時期をはっきりと言わず、事実上長期化するのではないか。こういう見方があるんですが、これについてはいかがでしょうか。

「市場の大半の人達は、2年間では無理でしょ、ということを分かっていますから、若干長期化しても全く資料から見て問題ないいうことだと思いますね。むしろ問題はなぜこうなったのかということですけど、さっき仰いましたように、国内の要因として、消費税を上げたことによって、ちょっと物価が悪化した。プラス海外要因もあるということですので、こういう長期化ということはそんなに大きな問題ではないんじゃないか、と思いますね。」

--この先、物価が上がっていくだろうという人々のマインドを変えるというのは相当難しいことなんですね。

「そうですね。賃金が上がって物価を上げるということになると思いますけど、まだ少なくとも数か月かかると思いますね。」

--この長期化というのは書き込まれるのではないかという見方ですね。


(2) マイナス金利 さらに下げる

--マイナス金利の拡大をこれから政策の軸にしていくのではないか、という見方です。

「これに関しては、するだろうと思うことと、すべきことは、ちょっと違うと思います。弊社の予測は、するだろうに関しては、さらに深堀りすると思っています。今回やるか、次回やるか、ちょっと分からないところがありますけど、弊社は今回やると思っています。ただ、すべきかどうかは全然別問題で、副作用が多いか少ないか、本当にどういう証拠があるかどうかに関しては、はっきりした証拠を見せて頂かないと、この政策が本当に信頼性を得るかどうか、は問題になると思いますね。」

--このマイナス金利の検証の部分で、日銀が一番今回の検証で何を言いたかったかというのが出てくるわけですね。

「そうです。単なる正当化なのか、それともちゃんとした分析によって、いいですよと説得できるかどうか、ですね。」


(3) 超長期金利のさらなる低下を抑える

--年金などが運用に使っているわけですから、なかなか運用益が出ないと困っている。そこで日銀が買い入れるものを減らして、これ以上、金利が下がるのを抑えるのではないか、という見方です。

「短期から長期へドーンと金利が下がりましたね。今回日銀がやろうとしていることは、長期の部分の金利を上げることですね。実態に合った長期金利上昇だったら、全く問題ないんですけれども、副作用をちょっと抑えようということで、長期金利を上げようというのは一応分かりますけれども、実体経済に合っているか合っていないかということがポイントですね。」

この検証はともかく、追加緩和についても、マイナス金利について触れるのではないか、と仰いましたが・・・

「やっぱり総裁・副総裁のこの前のスピーチを読みますと、かなりやる気があるということですね。問題はマネタリストたち、すなわち量的緩和でいいという人たちを説得できるかどうか、政策審議会の中で、動くべきではないと思う人が2人、マネタリストは3人、いろいろやってもいいという人は4人ですけれども、動かない人たちが2人いるから、7人のうちの5人を取らないといけないんですね。従ってマネタリストを1人取らないといけないということですから、結構難しいと思いますね。」







come2.JPG・訪日客のクチコミ効果、観光分野以外でも

--訪日外国人のクチコミの影響力というのは絶大なんですね。

「そうですね。観光は観光だけではないということだと思いますけど、実は伏見稲荷に関しては、2~3年前に弊社が海外から来たコンフルエンスに、伏見稲荷のマグカップを作って、お土産としてあげたんです。そういうお客さんが来てこんなに面白いところがあるということを考えますと、日本のほかのところでも面白いところがあるでしょ、と。それで観光だけじゃないんですね。すなわち日本の企業も面白いところがあるよ、ということをこの写真によって説得しよとしたんですね。結構、買いも入りました。視野が広くなります。これがポイントですね。」







・日本で理系脳は育つか

--STEMという理数系に強い子供を育てるために民間企業が動き出していますけれども、政府が後押しすることがあるとすればどういうことでしょう。

「やっぱり予算だと思いますけど、この問題は実は日本経済の持続性がかかっている1つの問題ではないかと思いますね。生産性を上げないといけないんですね。理数系の人たちを増やして、ようやくイノベーションが増えて新しい商品を作って、輸出もできて、ようやく持続性のある医療制度、年金制度になるんですけれども、今の状況見るとちょっと怖いですよ。」

come3.JPG--こちらをご覧ください。

「OECDの数字を使いますけれども、公的教育費の対GDP比率が日本はほぼビリです。3.5%しか使っていないんですね。ほかの国はもっと使っているということもありますけれども、やっぱりなんかやらないといけないんですね。じゃあ教育費を増やそうということになったら、どこかを削らないといけないということですから、やっぱり決めないといけないと思います。ただやったら本当に効果が出るということだと思います。ゆとり教育をやめましたよね。最近の若い人は英語力が上がっています。これはやっぱりやったほうが良かったということを意味すると思いますけど、とにかく理数系の教育を増やそうということが持続性の1つのポイントだと思います。」

--日本経済を支えるためにも、そこには予算をつけるべきということですね。







2016.9.19 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月19日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

中国 日本への不動産投資 広がる
景気低迷が続く中国、賃金の上昇幅も縮小しているんですが、そうした中でも、中国人による日本の不動産購入は減るどころか、むしろ広がりを見せているようです。上海から吉田記者の報告です。

《中継担当:上海支局/吉田知可記者》

高層ビルが立ち並ぶ上海のマンション価格は、中心部では1億円を超える物件も珍しくはありません。中国では大都市を中心に、不動産価格の高騰が続いています。
8月の新築住宅価格は主要70都市のうち64都市で上昇、上海も前年比で3割以上あがりました。こうした中、割安だとして魅力が再認識されているのが日本の不動産です。先週開かれた海外不動産投資フェアでも、最もにぎわっていたのが日本ブースです。
《中国人の来場者》
「上海と比べて日本の不動産は、安すぎて白菜みたいな値段だ。」
「東京オリンピックがあるから、これから価格が上がると思う。」
関心の高まりの一因は2020年の東京オリンピック。将来の価格上昇を見込んで東京の好立地の物件が人気です。
都心の高級物件ばかっりではありません。ある夫妻は北海道に約700万円で一戸建ての購入を決めました。
《中国人の物件購入者》
「娘が札幌で民泊をやっている。私たちも近くに家を買いたい。」
また、訪日客の民泊需要を見込んだ購入も増えています。思惑は様々ですが、共通点があると業者は話します。
《北海道の不動産業者》
「やっぱり海外にある程度の資金を逃がしておきたいというニーズを皆持っている。国内だけだと心配だということです。」
中国の国内景気の先行きが不透明だからこそ、海外への投資欲が高まっているのかもしれません。






■ニュース特集

シニア活用へ取り組み広がる 高齢者の働き方 多様に
きょうは敬老の日。須山さんは繊維業界で約40年勤務した「生地のエキスパート」。4年前に現役を引退しました。現在は、ベビー服の製造・販売を手がけるYomの顧問として月2回訪れ、生地のアドバイスをしています。Yomは斬新なデザインが人気ですが、生地についてのノウハウに乏しく、新製品の開発に行き詰まっていたところ須山さんを紹介されました。紹介したサイエストには約2,400人のシニア顧問が所属します。メガネチェーン「オンデーズ」の店舗では、若い店員の中に混じり、シニア店員の姿がありました。オンデーズの客の2割以上は50歳以上。シニア層にもっとメガネを購入してもらうため、接客現場でシニアを活用しています。シニアにとり機械を使った作業は難しいケースもあるので、視力に関するデータなどは本社が遠隔で計測してサポートしています。オンデーズはシニアの店員を増やすため、60歳の定年制の撤廃を決断しました。

sinior.JPG【きょうは「敬老の日」、シニアの力に企業が注目!】
敬老の日の今日、各地で長寿を祝うイベントが催された。今年も65歳以上の高齢者の数が過去最多を記録した長寿大国日本。今その元気なシニアの力に注目が集まっている。

【シニア人材の新活用法!高齢者の働き方多様に】
総務省によると65歳以上の高齢者は3461万人と過去最多となり、総人口の3割近くにも上る。年々、少子高齢化の進む日本だが、そんな中増え続ける高齢者層の労働力を生かそうと様々な取り組みが始まっていて、高齢者の働き方も多様化してきている。

【企業を救う「10万円顧問」】
須山俊昭67歳はクラボウなど繊維業界で約40年勤務した生地のエキスパートだが4年前に現役を引退。現在はベビー服の製造販売を手掛けるベンチャー企業・Yomの顧問に就任して月2回、生地についてアドバイスを行い、月10~15万円の報酬を得ている。Yomは代官山などに直営店を展開していて斬新なデザインが人気だが、生地についてノウハウがなく新製品の開発に行き詰っていたところ須山を紹介された。須山をYomに紹介したのはシニア顧問の紹介サービスを手掛けるサイエスト。様々な業界の経験者約2400人が所属している。顧問という仕事は、仕事より私生活を重視するシニアとコストをかけられない中小企業、双方のニーズに合っていると強調する。

【遠隔で接客サポート!】
メガネチェーン・オンデーズでは客の2割以上は50歳以上という事から、シニア層にもっとメガネを購入してもらう為に接客現場でシニアを活用している。ただシニアの店員にとって機械を使った作業は難しいケースも。そこで視力に関するデータは苦手な店員に代わり本社から遠隔で計測し、そのデータを元に店員がレンズを入れる。オンデーズはシニアの店員を増やすため60歳の定年制の撤廃を決断した。今後、地方を中心に店員が全てシニアの店舗を増やし、他社との差別化を図る方針。






広がるシェアビジネス キーワードは「あこがれ」

今、若者を中心に拡大しているシェアビジネス。その背景には消費者の節約志向があると言われています。ただ最近ではそのニーズが変わり始めているようです。キーワードは「あこがれ」です。

syear.JPG東京・小平市の自動車教習所で高級スポーツカーの体験試乗会が開かれました。イベントを主催したのは、カーシェアリングサービス「エニカ」を展開するDeNAです。エニカは一般オーナーが車を貸すため様々な車を借りる事ができるのが特徴で、軽自動車から高級車まで約500種類が揃っています。体験会はシェアリングサービスとは別に、月に1度のペースで開かれていて、メルセデスベンツ6×6やデロリアンの体験会も行われました。参加者に聞くとこうした高級車は「あこがれ」だと語ります。これまで多くが「節約」志向から利用されていたカーシェアはいま、「あこがれ」の車に乗るために利用する人が増えているのです。こうしたニーズを掴みエニカの会員数はサービス開始以来堅調に推移し、4万人を超えました。

一方、和風のレンタルスペースではコスプレ撮影会が行われていました。ここは1時間3000円で借りる事ができるレンタルスペースで、空きスペース検索サイト「スペースマーケット」と契約した後に、問い合わせが殺到し週末の予約は来年3月まで埋まっているといいます。スペースマーケットは節約志向から始まったシェアリングビジネスがあこがれへ変化している事を察知し、提供する物件の幅を広げています。地上20階250平米のペントハウス(1時間8000円)などもあります。
利用者は空きスペース検索サイト「スペースマーケット」を利用することで、簡単に撮影場所を検索・予約することができるといいます。スペースマーケットはシェアリングビジネスが節約志向から“あこがれ”へ変化することを察知し、よりラグジュアリーな物件を増やしています。





■特集 進化する地図 道路に潜む危険を先読み!
国内の新車販売は厳しい状況が続く一方、カーナビの販売は好調です。中でも注目されているのが、安全運転を支援する機能です。交差点で、前の車が右折するのにつられて、対向車の確認をせずに発進する“つられ発進”を予防してくれます。カーナビには、その地点で過去に、急減速や何かリスクに直結する傾向があったものをデータベース化し、搭載しています。そのビッグデータは累計距離にして65億キロに及びます。開発したパイオニアは、今後、自動運転の時代がやってきても、ビッグデータがカギを握ると考えています。また、自動運転の実現に欠かせない次世代の地図を、日の丸連合で作製しようという動きも始まりました。三菱電機や地図会社のゼンリン、大手自動車メーカー9社などが出資する会社です。来年度中に、自動車専用道路2万キロの「3Dマップ」作製を目指します。3Dマップは特殊車両で測量、取得したデータはほぼ自動的に地図化できます。この3Dマップを自動運転車に搭載すれば、車がどの車線を走っていて、先にどんな交差点があるかなどが正確に把握でき、安全な自動運転につながるといいます。年内に、幹線道路300キロの3Dマップを試作し、自動車メーカーの自動運転の実験用に供給する計画です。
取材先・オートバックス・パイオニア・ダイナミックマップ基盤企画


carnavi.JPG【進化する地図、道路に潜む危険を先読み!】
2016年度の国内新車販売台数の見通しが15日に発表された(日本自動車工業会調べ)。それによると約484万台と3月に発表された約525万台という予測から大幅に下方修正され、前年度の実績を下回る見通し。新車販売は厳しい状況が続いているが、その一方でカーナビの販売は好調。そんな中、今注目を集めているのが道路に潜んでいる危険を先読みして安全運転を支援する新しい機能。自動運転の時代を見据えて劇的に進化する地図。その最前線を取材した。

【注目のカーナビ、安全運転支援の実力】
カーナビの出荷台数は今年度11.3%伸びている(JEITA調べ)。
中でも注目されているのがカロッツェリア(パイオニア)「マルチドライブアシストユニットセット」で、今週23日の発売だが既に予約が殺到しているとのこと。客が注目しているのはカーナビに追加された安全運転支援機能。バックミラーには画像認識技術搭載カメラが取り付けられていて、車間距離が3mを切ると警告してくれる。また交差点では右折する時のつられ発進に対して注意を喚起する。その地点で過去に急減速やリスクに直結する傾向があったものをデータベース化して地図に積んでいるという。2007年から累計65億kmの走行データをデータセンターに集めている。パイオニアでは今後、自動運転の時代がやって来てもこのビッグデータがカギを握ると考えている。

【始動!日本3Dマップ、作製現場を初公開】
自動運転の実現に欠かせない次世代の地図を日の丸連合で作製しようという動きが始まった。6月に設立されたダイナミックマップ基盤企画には三菱電機やゼンリン、大手自動車メーカー9社などが出資し、来年度中に自動車専用道路2万kmの3Dマップ作製を目指す。道路を測量するモービルマッピングシステム(MMS)(赤外線センサー、GPS受信機)で測量し、そのデータを測量会社で地図化する。この3Dマップを自動運転車に搭載すれば車がどの車線を走っていて先にどの様な交差点があるかなどが正確に把握でき、安全な運転に繋がるという。年内に幹線道路300kmの3Dマップを試作し、自動運転の実験用に供給する計画である。

《大浜メモ》
carnavi2.JPGこのカーナビの競争というのは、もう一段落したんじゃないかと言われた時期もあったんですが、実際はまさに新しい段階に入っているんですね。これからの自動運転をにらんで、「3Dマップ」は全体条件、なくてはならいものです。単なる道案内ではなくて、道路の状況をより細かく把握する必要がある。問題はこれをやったうえで、「情報提供」で差をつけるということです。ビッグデータを使って渋滞場を知らせるとか、(つられ発進などの)注意喚起をするというのもあるし、将来的にはエンタメ情報や観光情報、もっというと、車が車庫に入って止まっているときも情報を送ってくるようになるかもしれない。そういうのも含めて競争になってくるので、グーグルやアップルなど、情報提供のうまい会社も参入してきて、競争はもしかしたら今までで一番厳しいかもしれない。





■ニュース

台風16号 九州南部に上陸へ
非常に強い台風16号はあす未明にかけて、九州南部に上陸する見込みです。暴風や高波、大雨に厳重な警戒が必要です。台風16号は鹿児島県の南西の海上にあって、暴風域を伴いながら九州南部に上陸する恐れがあります。台風はあすにかけて西日本や東日本の太平洋側を進み、21日には日本の東で温帯低気圧に変わる予想です。20日夜遅くまでに予想される雨の量は、九州の多い所で300ミリとなっています。土砂災害や川の増水に警戒してください。



安倍総理 NYのセミナーで対日投資 呼びかけ
国連総会に出席するためニューヨークを訪問中の安倍総理大臣はついさきほど、対日投資セミナーに出席し、アメリカ企業トップらを前にTPP=環太平洋経済連携協定の早期発効に向けた手続きを、日米がリードしていくことを呼びかけました。スピーチの中で安倍総理は、「アベノミクスにより日本の投資環境は確実に改善した」とアピールした上で、高度な知識などを持つ外国人への永住権取得条件の緩和や再生医療製品の早期承認制度など、政府の取り組みを紹介しながら、いっそうの投資拡大を訴えました。安倍総理は日本時間のあす、アメリカ大統領選挙の民主党候補クリントン氏と会談する予定で、どのような意見が交わされるか注目を集めそうです。



国連サミット 難民・移民対策でニューヨーク宣言採択
世界で増え続ける「難民」や「移民」への対策を議論する国連サミットが、19日、国連本部で開かれました。サミットでは、難民の支援や受け入れの負担などを各国がより公平に分担するとした「ニューヨーク宣言」が採択されました。紛争や、経済的理由による難民や移民は、去年、2億4,000万人を超えたといわれています。



NYの爆発事件 28歳のアフガン系男を指名手配
ニューヨークで17日におきた爆発事件について、FBI=アメリカ連邦捜査局は19日ニュージャージー州に居住歴がある28歳の男性、アハマド・カーン・ラハミを容疑者として指名手配しました。当局は写真を公開して行方を追っています。ラハミ容疑者はアメリカの国籍を持つアフガニスタン系で、武装していて危険な可能性もあるということです。



「空の日」前に成田空港で小学生らが旅客機と綱引き
成田空港では全国から集まった160人の小学生たちが全日空のジェット機、ボーイング787と綱引きをしました。全長56.7メートル、重さはおよそ160トンの機体を一生懸命引っ張ること十秒ほどで見事に動きました。今回、イベントを主催した成田空港は、周辺地域に住む人々などに航空への関心を高めてもらいたいとしています。






long.JPG■【ロングセラー研究所】緑の液体せっけん
大阪市東住吉区に本社がある、1952年創業の「サラヤ」。創業時に開発したのが、学校や駅の洗面所で良く目にする「緑の液体せっけん」シャボネットです。発売当時、日本では赤痢が流行…。殺菌剤が入った初めてのせっけん「シャボネット」は、瞬く間に全国の学校や施設などで普及するヒット商品に。さらに販路を広げた要因が「ヤシ油」を原料にしていることです。肌が荒れず、環境にも優しい商品と消費者に受け入れられました。ところが世界的に「ヤシ油」の需要が伸びると、原産国でヤシの伐採が進み、その結果、動物の住む森がなくなっていると報道されます。環境に良い商品が、環境を破壊してると指摘されたのです。会社には苦情や非難の電話が殺到します。すぐに原産国の植林や動物保護に協力し、森を復活させることで危機を乗り越えることができました。シャボネlong2.JPGットから始まった「ヤシ油」の製品は300を超え、さらなる躍進を遂げています。
取材先・サラヤ

分析
① 殺菌効果と安全の緑色で赤痢の予防
② 原産国の環境保全を支援することで信頼回復






■【トレたま】誰でもスケッチ名人

透明な板に描きたい風景を入れて大まかな線をなぞる。光を当てて板に描いた線を画用紙に写す。

【商品名】ダブレット
【商品の特徴】透明な板を使って風景を写し取ることで、初心者でも簡単にデッサンの構図を決めることができるスケッチ用画材セット
【団体名】観光スケッチ協会/カドワキノブオ代表理事
【住所】東京都渋谷区恵比寿2-28-10
【価格】1万3,000円(予定)
【発売日】2017年1月
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・労働市場効率化へ、定年制撤廃を

--シニアの方の力を必要とする場面が増えてきていますから、そういった意欲のある方がより働きやすく、そういう環境を作るにはどうすればいいでしょうか。

「いろいろありますけれども、まずオンデーズのやった定年制撤廃は大いに褒めたい。労働市場がうまくいくようにするには、原則はが4つあると思います。同一労働同一賃金、適材適所、成果主義、働き方の自由、この4つですね。定年制は全て邪魔していると思います。今の例もありましたけれども、名門大学もそうですね。例えば視聴者の全部が知っている竹中平蔵先生が65歳になって、慶応から東洋大学になったですね。あるいは諮問会議にいる伊藤元重先生が東大から今度は学習院に移ったんです。なんとなく不自然だなあという感じがする。もちろん東洋さんと学習院さんは大喜びですけれども、ちょっと不思議だなという感じがします。すなわちこの4つの原則を徹底して初めて公正と効率が両立するということです。もう一つあります。成果主義を徹底しなければ医療、年金が危ないと思います。何故かというと、成果主義じゃないと、生産性が上がらないんですよね。生産性が上がらなければ、医療や年金制度は持たなくなっちゃうということですから、やっぱり働き方改革を担当する加藤大臣に、この定年制の撤廃を提案させて頂きたいと思います。」

--働き方の自由ということは、定年制を撤廃しつつ終身雇用は無くすということですか。

「無くなりますね。そうすると、やっぱり長く働けますし、終身雇用ですからこのままいないといけない、どこへも行けなくなっちゃうということもなくなるわけですね。成果主義がよくなるし、生産性が上がると思います。」






・大統領選中の会談はまれ、トランプ氏の反応に注目

--安倍総理はアメリカでクリントンと会談へ、ということなんですが、大統領選の前に総理が候補と会うというのは珍しいですよね。

「非常に珍しいですよね。実はこれはクリントン氏の方が申し入れたという話ですけれども、目的は自分は外交政策の専門家ですよ、ということをたぶん見せるということだと思います。日本がなぜ受託したのか、ということですけれども、私の推測ですけれども、おそらく、日米同盟は世界平和の基礎だということを安倍さんが訴えたいということだと思います。注目は2つあると思います。1つは、TPPの話が出るか出ないか。もう1つは、共和党はどこまで迎合的に反応するか。」

--トランプ氏が攻めてくるかどうか、ということですか。

「そういうことですね。ちょっとよく分かりませんけれども、TPP反対、それからこれまで日米関係を良くしようと、トランプさんはあまり言っていませんから、たぶん何か攻撃するんじゃないかと思いますね。」




・日米の中央銀行は動くか

--今週は世界中が注目するスケジュールがありますよね。フェルドマンさんが注目するのは水曜日。
come3.JPG《今週の注目スケジュール》 21日(水)
日銀金融政策と「総括」発表
黒田総裁会見
米国FRB金融政策発表
イエレン議長会見
まずは日銀の金融政策、そして総括的な検証の結果というのが発表されますね。こちらはどうなるというふうにご覧になりますか。

「もちろん政策を決定することも大事ですね。マイナス金利を深掘りするかしないかという、これは大きいんですけれども、私はむしろ総括の方が大事だと思っています。すなわちマイナス金利は景気にとってもマイナスだと思う人も結構います。そうではないと日銀が納得できるような証拠を出さないと、また日銀の信任はどうなるのかということがちょっと心配ですね。私は実はこのマイナス金利は火遊びだと思っています。さらに下げたら、もう複合的に悪化してしまうという可能性はないわけではないと思いますので、ちょっと危ないなあと個人的には思っていますけれども、そうではないというはっきりした証拠を日銀に出して頂きたいと思いますね。」

--そして同じ水曜日にアメリカのFRB連邦準備制度理事会の金融政策発表されます。ここで金利がどうなるか。

「9月に上げると思っている人が多いようですけれども、我々はそうは思っていない。12月だと思っていますけれども、今年の12月ではなくて来年の12月だと思っています。」

--そんなに上げるのは難しいですか。

「と思いますね。やっぱり時間軸じゃなくて、どういうデータを見て上げるか、ということをもうちょっとはっきりして頂かないといけないんですけど、物価が上がっていないから急ぐ必要は全くないと思っています。」