数年前の12月・一足早い雪山を求めて・八ヶ岳は硫黄岳山頂へ・・・
八ヶ岳連峰は北から南へと幾つもの山々を称し「八ヶ岳」と呼ぶ その南端、八ヶ岳の主峰、
標高2899mの「赤岳」右奥に「阿弥陀岳」手前には奥の院と称する「横岳」
そして、その前に標高2760mの赤・横に比べるとその山容はなだらかな山頂の「硫黄岳」。 北、南、
中央アルプスの真ん中にある八ヶ岳の主峰達はは見る方向から幾つもの顔を見せてくれる
(西側の赤岳鉱泉側から見る「赤岳・硫黄岳への・・」)
(そして「横岳」の西側、大同心、小同心)
いずれの三枚も随分前の1月に撮ったもの
高速を降り八ヶ岳の懐深く入って行き三井の森・別荘地あたりまで来ると次第に街燈も無くなり暗闇の世界へと入る。車の明かりがかろうじて道幅を教えてくれる、突然、暗闇の中にギラギラ光る物が・・
車の光に驚いた大きなシカだった。桜平の駐車場に着く頃には雨がみぞれに変わり、
そして、チラチラ雪に・・震え上がるような朝の寒気に短い仮眠から目が覚めた、車の上には真っ白なパウダースノーがキラキラ輝いていた。
桜平から秘湯「夏沢鉱泉」までは小一時間、宿泊客に限り送迎車があるのか何台かが通り過ぎて行く、新雪の乾いた雪はずっしり重い荷物の負荷がかかる足を動かす度に靴底とパウダーがこすれ「キュキュ」と小気味よく鳴り響く。一汗タップリ流すと夏沢鉱泉・秘湯を愛する者にとってたまらなく入りたくなる温泉、ちょっぴり休憩で宿を覘いて観ると薪の炎が赤々燃え、掛けた鍋からはぐつぐつと何やら美味そうな匂いが漂っていた・・
更に、もう一汗掻くと小屋締めを済ませた「オーレン小屋」に到着。小屋の前の看板には「女性スタッフ募集・ネパールへの研修有、居候可」などが、男は要らんのかぁー・・ネパールは魅力!
稜線に抜けるとそこは夏沢峠、あと小一時間で今回の目的地に着くのだがいくらまだ、初冬とは言え風の強い硫黄岳山頂にテントを張ることは危険なので今宵のテン場を探しにウロウロ、小屋の周りに張るのは気が引けたのでもう少し上の森林限界すれすれの辺りを物色、とにかく強風を想定しとかなければと、西側の稜線で平らな所をと・・
ようやく、木立の間のわずかな平を見つけ今宵の寝床作り。
山の夜は早い、明日の晴天を期して早々寝袋へ・・
山の夜は早いが朝もなお早い、あの晩は思いのほか眠れたような記憶が・・でも、夜中は風が吹き何度もテントが揺れた!まだ、真っ暗な闇夜に寝袋からごそごそとイモ虫のように這い出てテントの外を覘く、すごい寒気!風が相当吹いたのかテントの周りは風が通り抜けた後にしっかりと証拠のシュカブラが出来、鋭くえぐったような風紋が・・天を仰ぐと暗闇の中に星が瞬き上空はまだ風が吹いている。ありったけの防寒着を着込み食料と昨夜のうちに温めておいたココアの入ったテルモス、そしてカメラを詰め込む、アイゼンを装着しヘッドランプを頭に取り付けいざ、日の出と時間との戦いに一歩踏み出す
新雪の稜線は思ったほどの悪さでは なくキュキュとアイゼンが小気味良く鳴りだす、遠く東の空が明るくなり もうご来光は直ぐだ!喘ぎ喘ぎ時間との戦い
稜線を抜け頂に・・新雪の朝、誰も居ない頂に自分の足跡が点々と、風は無いが寒さはかなり下がっていた、何とか時間的には間に合ったのだが天は我に味方せず雲に阻まれ感動の一瞬を拝むことが出来なかった。
大きなケルンの向こうには北ア・槍・穂高が見回せた、スッキリ晴れていて居てくれたらどんなに幸せな事か、次回にはと祈りを込める・・
本沢温泉から見る上げる硫黄岳と露天風呂
眼下に見える木立の中には日本最高所の露天風呂で有名な本沢温泉とその露天風呂が見えた。早足で再び夏沢峠にもどる、満足のいく写真は撮れなかったものの、大きな硫黄岳独り占め、まぁー良いか!早、心は夏沢鉱泉・・
八ヶ岳は冬でも比較的天気が良く、雪も少ない、けど、寒さは一級・登山技術もハイレベルが必要なルートもあり とても楽しい雪山が楽しめる山。
はやる気持ちを抑えつつも温かい炬燵の中で思いは早、頂の上・・