カルヴァンジオは、レオナルド・ダヴィンチとルーベンスの間の時期に活躍した画家である。
クラーナハよりは少し時代が後になるが、ほぼ同時代の画家である。

この時代の絵画様式の変化はめまぐるしく、盛期ルネッサンス様式、ヴェネチア派ルネッサンス様式、マニエリスム、
バロックと興味の尽きないところである。
これを概観すると、まず、1470年代のダビンチの受胎告知を取り上げる。

正確な遠近法(画面の中央上部に消失点がある)、空気遠近法(遠くの山が青く薄い)、正確な人体描写などが判る。
しかし、人物(?)-天使と聖母ーのポーズは静的である。しかし。それ以前のゴシック様式とは明らかに異なり、
自然な空間に人物がいる描写である。
ツティアーノやエル・グリコのヴェネチア派やマニエリスムを省略して、カラヴァンジオの女占い師を見てみよう。

これは、上のダビンチから約100年たった時代の作である。
盛期ルネッサンス以後の作品でり、宗教から自由になり、人間的を描いていることが特色である。
タッチはダビンチの延長で、柔らかい光が全体にあたり、人物もポーズをしている。
しかし、ほんの数十年あとのシモーネ・ヴェーユを見ると、この作品も展示されているが、

劇的である。劇的とは、美貌の占い師に見とれている男性の財布を老婆が抜き取ろうとしている瞬間である。
人物のポーズに動きがある。さらに大きな特色は、光が左からあたっていることである。
劇的で、光と闇、もう少しでバロック様式になる。
では、カラヴァンジョのナルキッソスは、人間の内面を光と表情で表している。

光と闇、自分に惚れる劇的瞬間、この強調された、且、人生でも数少ない経験、
これを表そうとする芸術家の衝動がここにある。
すなわち、バロック様式へとつながる道である。
カラヴァンジョはダビンチと、ルーベンスーレンブラントーフェルメールーベラスケスをつなぐ画家である。