もぐらたたき!

CDのレビューとかなんとか

Time Machine 2011: Live in Cleveland/Rush

2015-08-23 00:11:41 | レビュー



<List>
Disc1
1. The Spirit of Radio
2. Time Stand Still
3. Presto
4. Stick It Out
5. Workin' Them Angels
6. Leave That Thing Alone
7. Faithless
8. BU2B
9. Freewill
10. Marathon
11. Subdivisions
12. Tom Sawyer
13. Red Barchetta
14. YYZ
15. Limelight

Disc2
1. The Camera Eye
2. Witch Hunt
3. Vital Signs
4. Caravan
5. Moto Perpetuo/Love for Sale(drum solo)
6. O'Malley's Break(acoustic solo)
7. Closer to the Heart
8. 2112 Overture/The Temples of Syrinx
9. Far Cry
10. La Villa Strangiato
11. Working Man

<Member>
・Geddy Lee(Bass, Vocal, Keybord)
・Alex Lifeson(Guitar)
・Neil Peart(Drums)

2011年にリリースされた名作"Moving Pictures"を完全再現する事を主旨とするライブ。

もう4年前になるんですね。速いものです。翌年2012年には"Clockwork Angels"がリリースされ、またその翌年2013年には"Clockwork Angels Tour"がリリース。
Neil Peartと再起を図った"Vaper Trails"からフルレンスアルバム毎にライブアルバムもリリース。
実は未だこの"Time Machine 2011: Live in Cleveland"のDVDは購入したけれど見ていないし、"Clockwork Angels Tour"も未聴。同作DVDは日本盤がリリースされるのを待っていたけれど、配給元のワードレコードが過去の作品と抱き合わせで限定発売したものだから、同じタイトルを2作品購入するのは幾らRushのファンでもキビシイ・・・余裕が出来たら外盤を購入しようかと思っています。
ワードレコードは単独で日本盤を発売しなさい。
 
で、このところはいつもながら充実したてんこもりの内容になっています。
しかしながら、正直違和感を感じています。
これも時の流れが為せるものかと自分を責めたりもします。
 
"Snakes & Arrows Live"から感じていたのですが、Geddyのボーカルアプローチが変わりましたね。これは、低い声からひっくり返して高い声をを意識させる唱法なのか、歌い方に変な癖がついた(西城秀樹唱法!?)のかどうもラフな感じがします。フェイクが多い。
でも気持ちはわかります。もう同じ曲を何百回演奏したか判らないでしょうから。
しかしながらRushはインプロビゼイションというより、アルバムに収録されている曲通りカチッと纏めて再現するところに魅力を感じていた私にとっては、ちょっと残念なのです。
 
加えて、これもレコーディングテクノロジーに負う所が大きいのでしょうが、各パートが非常にパワフルな反面、各パートの付帯音と言うか残響と言うか、ガシャガシャ鳴っている様に聴こえるし、折角マッチドグリップに戻したNeil Peartのタイム感が損なわれている様に感じます。どうなんでしょうか?ツーバスはもう古臭いのでしょうか?ダブルペダルより細かいニュアンスが出せると思うのですが。
 
Alex Lifesonは要所は締めてますね。ギターソロは原曲のイメージそのままに演奏してくれます。
 
Geddy Leeのベースは結構自由にブリブリ言わせています。FenderのPrecisionベースの音ですね。さぞ弾きにくいでしょうに。さすが上手いんだなぁと思わせます。

そして、"Moving Pictures"再現へ。
多分映像を見たら印象が変わるんでしょうが、演出のSEの音がウザい。
淡々とレコード通りに演奏しても楽しくないでしょうけど、DVDのお楽しみは後にとっておきましょう。
ここでの聴き所は演奏が難しいからやらなかった"The Camera Eye"ですね。
これをやってくれただけで感涙ものです。
 
話は前後しますが"Presto"を聴く事が出来たのも個人的には嬉しかったですね。
そして、アルバム"Test for Echo"からは見事にスルー。

Geddy Leeのボーカルにはネガティブな意見を述べましたが、不思議な事に"Snakes & Arrows"からの曲は見事にマッチします。妙な力みも感じさせず、アルバムより魅力的に感じる程です。
そして、未だリリースされていなかった"Clockwork Angels"からの2曲は既に完成度の高い演奏を披露しています。
それらを鑑みると、やはりレコーディング・テクノロジーの進化に依るところが大きいのでしょうね。

その後にリリースされる"Clockwork Angels"を指してプログレ時代に戻ったとか、グランジ色が強まったとか色々な意見を見聴きしますが、私は今のRushはラウドロックというニュアンスが一番近いと思います。

また曲に戻りますが、"La Villa Strangiato"はイントロが実に洒落ていて見事。本当にセンスが良いです。本編もいささかの衰えも感じさせず、Alex Lifesonはより上手くなった様な気さえします。

そして最後は"Working Man"。1stアルバムはほとんど聴かないのですが、このレゲエ調のアレンジはこの曲に新しい生命を吹き込んでいます。この曲が好きになりました。