宮城の作家希望

作品など

新たな戦い

2020-08-19 09:39:00 | 小説
『喧嘩したの?』
小さな女の子に尋ねられた。館長に貰った白いYシャツに黒いズボン姿で図書室の奥に立っていた。『鋭い』
『違うよ』と答えたものの不安になり、最近の
心さんの行動どう思うと尋ねた、女の子にする質問ではないとは思ったが
『今までで一番幸せそう』その答えに愕然とし、隠れるのをやめようと思った瞬間。
『チョット借りるね』
そこに神田先生が現れ急患の手伝いを頼まれた、彼女は教師と医者の両方をやっていた。
向こうに残念そうな顔があった。

その後も黒井さんの勉強をみたりと中々話しをする機会が無かったのだが、いざ二人ってきりになると話が続かない。沈黙に耐えられなくなって互いに見つめ合い抱きしめてキスをした。それだけで幸せだった、今は何も考えられない。

例えこれから大戦が、起こるとも今の私達には関係なかった。今の一瞬が幸せであれば何もいらない。
『ディずっと一緒だよ』彼女のか細い声が細やく。それは永遠の時に思えた、女神ではない私だけに語る言葉。貴女の声。私は新たな戦いに思えた、未知の戦いなのだと。