東方のあかり

東アジア(日、韓、中+その他)のまとまりを願ってこのタイトルにしました。韓国在住の日本人です。主に韓国発信の内容です。

ABC予想

2020-04-08 07:48:14 | 韓国物

久しぶりに数学の話。
2012年、数学界に激震が走った。     
1985年にスイスの数学者デビッド・マーサーと1988年にフランスの数学者ジョセフ・オエステレが初めて提起した「ABC予想」という問題。
これを証明すれば、1994年に証明が完了した数学界最高の難題"フェルマーの定理"をより簡単に解くことができるという。

互いに素(1以外の公約数がない自然数)であるA、Bと、この2つを足したCが存在する。
また3つの数(A、B、C)の異なる素因数を掛けた値をDとすると、ほとんどDがCより大きくなり、
反対にCがより大きいケースは珍しいというのがABC推論の主要内容だ。
直観的に見れば当然のように見える。
AとBの2つを足したものがCだ。
またA、B、Cの3つの数の素因数を掛けた数がDだ。
2つを足したものより、3つをかけたもののほうが大きくなるなんて、当り前じゃないのかと思うが、実はそうでもない。

たとえば、
a+b=cという簡単な数式を思い浮かべてほしい。
ここに例えば、a=1、b=8を当てはめてみる。
すると、1+8=9=cということになる。そして、a、b、cをそれぞれ素因数分解する。
Bの8は「2×2×2」となるので素因数は2だ。
Cの9は「3×3」となるので素因数は3になる。
Aは1なので素因数はない。これらの積を求めると「2×3=6」となる。これがDだ。
和で出したc=9が、積である6よりも大きくなることがわかる。
つまりこの場合には「和」が「積」よりも大きくなるわけだ。

だが実際には、無限にあるa、b、cの組み合わせのうち、ほとんどは積が和より大きくなるとされている。
ABC予想とはこの「ほとんどの場合、積が和よりも大きくなる」ということをのべた命題だという。
だがそれはあくまで“予想”であって、それを実際に“証明”し「定理」へと定着させることは長年誰もできずにいたのである。
これを証明したのが望月教授というわけだ。
(書いている筆者にも何が何なのかよくはわからない)

「足し算的な側面と、かけ算的な側面を比較し、その関係を述べている式です。
この二つの間に常に成立するような不等式の法則があるはずだと。これが世紀の難問だったわけです。
今回の証明により、そのほかの数々の数学の難問の解決が一気に近づきました」(加藤教授言)

望月教授がABC予想を証明する論文を発表したのは2012年8月のことだ。
そして今回、その正しさが客観的に認められ専門誌への掲載が決まったのが今年2月のことだ。

あまりに難解なため、望月教授を除いた編集委員たちによる査読に約7年半もの時間を要した。
「一般の人の目からすれば時間がかかったように思われるでしょう。しかし、何しろ600ページもある論文です。
私個人の感想としては、予想よりも早かったなと思います。
望月教授の理論は、あまりに斬新なものですから、学会にはすぐに受け入れられないと思っていました。
数十年はかかることを覚悟していましたが、認められてよかった」

公私にわたり20年以上の交流があり、ABC予想に詳しい東京工業大学の加藤文元教授は
「数百年に1回の革命的な成果だ」と賛辞を惜しまない。

ABC予想が証明されれば、整数論分野の様々な未解決問題であるスピロ予想のような多様な数学の難題が一気に解決するという。
フェルマーの最後定理も、ABC予想を発展させれば数ページで簡単に解けるため、数論分野の核心問題とも言われる。
(書いている筆者にも何が何なのかよくはわからない)

望月教授は2012年には8月に論文公開サイト"アーカイブエックス"に約600ページの論文4編を公開し、国際学術誌『ピーリムズ』(PRIMS)に投稿した。
英国の科学学術誌『ネイチャー』が望月教授の論文発表のニュースと世界数学界の関心などを伝えたことで関心がさらに高まった。
しかし、論文があまりにも膨大だったため、判定するだけで7年半以上がかかった。


しかし、ここからが韓国のメディアによるものをまとめたものだ。証明の正しさに疑問を呈する論調である。
以下にネット内容をかいつまんでまとめる。

望月教授の今回の成果は、学界で完全な証明と認められるかどうかはまだ明確でないようだ。
実際、長期間の検証や日本メディアの大々的な報道、京都大学の公式発表とは違って、
米国や欧州ではこのニュースをほとんど扱っていない。欧米の数学界の相当数が今回のニュースに冷淡のようだ。
元の論文は600ページを超える。
まだこの論文全体を読んだ学者が少なく学者に与えられた情報と証明が不十分だという点が冷淡な理由の一つ。
東京新聞によると、2018年に数学界のノーベル賞であるフィールズ賞を受賞したドイツ·ボン大学のペーター・ショルチェ教授(整数論)は、
"以前、京都大を訪問した際、望月教授と話し合った後、理論に重大な問題があり、簡単に正すことはできないだろう"と指摘した。
同紙はまた、"望月教授の論文は証明されておらずABC予想は今も予想のままである。その立場は変わらなかった。
今回論文が受け入れられたという話を聞いて驚いた"というショルチェ教授の言葉を付け加えている。

また、該当論文を掲載する『ピーリムズ』(PRIMS)が、有名学術誌ではあるが、
同学術誌の編集委員長が、論文を書いた望月教授本人であるという点も問題視されている。

数学者の朴亨柱(パク・ヒョンジュ)亜州大学総長は
"望月教授が自分が編集委員長をする『ピーリムズ』に投稿したという点と
全世界が認める難題研究証明に精通した学術誌を通じて投稿しなかった点は残念"とし
"多くの数学者が望月教授が優れた数学者で『ピーリムズ』が認められる数学学術誌であり、
論文が多くの数学者から検討を受けたことは明らかだが、
完全検証まではさらに時間が必要と見ている"と述べた。

通常、数学界で難題の研究は『アナルズ・オブ・マスマティクス(数学年報)』や
『ジャーナル・オブ・アメリカン・マスマティカル・ソサエティー(米国数学会報)』に通常発表される。
1995年、米プリンストン大学のアンドリュー・ワイルズ教授が400年間解けなかったフェルマーの最終定理を証明して発表した学術誌は
『アナルズ・オブ・マスマティクス』だった。

国際学術誌『ネイチャー』も、8年間にわたる検証にもかかわらず、多くの数学者たちが望月教授の成果に同意しないものと予想されると伝えた。
数年間これを検証してきた米サンディエゴ・カリフォルニア大学キーラン・ケドラヤ教授は
"2018年に数学者たちが出した意見から大きな変化がないと言った方が安全だと思う"と述べた。
米カリフォルニア大学バークレー校のもう一人の数学者エドワード・フレンケル教授は
"この研究に対する新しい情報が出るまで論文の出版に対する判断を保留する"と述べた。

ネイチャーは、望月教授の証明が一部間違っていると指摘されている点も問題だが、
論文を公開した直後、数か所から講義と研究に対する問い合わせがあったが、これらに対して答えを留保していたという。
望月教授は、他の数学者らが論文を検証できるように、アイデアを明確に伝えなかったという批判もあったようだ。

この分野に最も詳しい数学者であるキム・ミンヒョン英オックスフォード大数学科教授は電子メールを通じて
"現時点でこれ以上話すことはほとんどない"とし
"望月教授のアイデアが確証されることを望むが、大部分の数学者の懐疑的な見方は今回の出版によってあまり変わらないようだ"と述べている。
同教授は
"当分の間、むしろ論文の出版を強行した数理解析研究所に対する批判だけが激しくなる可能性が非常に高い"と明らかにした。

ということで、2012年に発表された望月教授のABC予想の証明が本当に正しいのかどうかは(日本国内の論調は正しいというものだが)
現時点では「はっきりしていない」というのが世界全体の流れのようだ。
これがもうすこし「正しい」方向に動いていったとき、本ブログでもご紹介したい。                                       乞うご期待。

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