東方のあかり

東アジア(日、韓、中+その他)のまとまりを願ってこのタイトルにしました。韓国在住の日本人です。主に韓国発信の内容です。

韓国の博士村って?

2021-07-10 17:28:44 | 韓国物

江原道春川市西面(カンウォンド・チュンチョンシ・ソミョン)というところは、
「博士村」として有名だ。この村は、全羅北道任実郡三界面(チョルラブクド・イムシルグン・サムゲミョン)
のパクサコル、慶尚北道英陽郡(キョンサンブクト・ヨンヤングン)のチュシル村と共に、
韓国の3大博士村と呼ばれているところだ。
1600世帯に約4000人が暮らす村だが、今まで184人の博士が輩出された。
これに小・中・高等学校の校長級以上の教育者が120人、5級以上の公職者は100人以上が出ている。 
少なくとも2、3軒から1軒の割合で、博士や校長先生、あるいは高位公職者が出ている勘定だ。
この村では「博士」だとか「校長」だとかを自慢する余地もない。みんなそうだから。
博士たちが多く卒業した錦山(グムサン)小学校裏の大通りには、
1999年に村人たちが意を集めて建てた「博士の塔」がある。塔には、同地域の出身博士らの名前や
学位取得大学、年度、専攻、出身地を、博士取得の順に刻まれている。
現在184人が登録(2021年3月末現在)されており、国連総会で議長を務めた韓昇洙(ハン・スンス)
元国務総理が第3番目の博士と書かれている。大統領だけは除いて、重責がごろごろである。

なぜこんな田舎の町からこんなに多くの博士がでているのだろうか。
子どもたち本人の血のにじむような努力もあるし、大人たちの教育に対する情熱もあるだろう。
しかしやはり、それだけではないようだ。
この西面という地域は、風水地理の観点からも「吉相の地」であることが知られている。
西は、華岳山からはじまって嘉徳山・北背山・桂冠山・三岳山が屏風のように取り囲んでおり、
東は昭陽江(ソヤンガン)が滔々と流れる典型的な「背山臨水」型の地形である。
(背山臨水型とは、後ろは山、前は川、その間に村がある地形のこと)
特に博士が集中的に輩出された金山里(クムサンリ)・新梅里(シンメリ)・芳洞里(バンドンリ)・
西上里(ソサンリ)・玄岩里(ヒョンアムリ)・月松里(ウォルソンリ)地域は、
川と湖が弓なりに村を取り囲んでいる。
少し詳しく見ると、北背山から流れる地脈の一つが長く低く左旋回しており、
くねくねと流れる途中で昭陽江と出会う所があるが、風水地理学ではこういったところを
吉相の地「真穴処」と見なしている。
山の尾根の連なり(龍)がそれほど強い勢いがなくても、長くゆるやかに続けば、
じっと静かに物事に打ち込み、いつまでも持続する属性を意味するという。 
ここで左に回る「左旋」は名誉を意味するそうだ。この真穴処に、ほとんどの西面博士たちが勉強した
錦山小学校があるわけだ。
錦山小学校の校庭に立つとただそれだけで居心地のよい感じがする。
2階の教室からは昭陽江の向こうに春川市内が一望できる。
錦山小学校の校庭から見ると、左側に春川の鎮山(ジンサン)である鳳儀山(ボンウィサン)が鎮座し、
鳳儀山の麓には江原道庁があり、その下の昭陽江の向こうの西面から最も近いところに
この地域の名門春川高校がある。権力と教育がすぐ目の前にあるわけだ。
左側の鳳儀山、右側の三岳山とその間に左右に長く伸びた大龍山など多くの峰が連なっている。
これらの山々は、風水では主に文章家と学者を象徴する形であるという。
博士らが多く排出されたことと無縁ではないと見てとれよう。

結局錦山小学校は、幼い竜が新しい世界に進むために川を渡る「子龍渡江形」の場と言えるのだそうだ。 
未来の大きな夢を実現する博士たちが輩出されやすい場所なわけだ。
錦山小学校は、日本植民地時代に建てられた西面で最も古い学校だが、この村には当時、
学校を建てようと土地を売った場合、人々に福を与えるとされる大きな大蛇が出たという話が
今も一つの伝説のように伝えられているんだそうだ。

こういう場所、日本にもあるだろうか。風水を理解する人のけっこう多い日本だから、
あるいはこういう「博士村」みたいなところがあるのかもしれない。
筆者は山形の出身であるが、こういうところを日本でまだ聞いたことがなかった(知識不足故)。
コロナが収束して旅行が自由にできるようになったら、是非ここ、
春山(チュンチョン)の西面(ソミョン)の博士村の土を踏んでみては
いかがだろうか。パワーが得られるかもしれません。
マッコルリもおいしいし、「冬のソナタ」のロケ地としても有名ですよね。

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