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上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(朝日新聞出版)。
520頁に及ぶため、予想以上に、時間がかかって読了しています
そもそも、この本を知ったのは、土朝9時、FMYOKOHAMAの
「FUTURESCAPE(フューチャー・スケープ)」・・・
小山薫堂さんと柳井麻紀さんのトークは、神奈川県民のお楽しみです♫
そのゲストに登場したのが、著者の上出氏でした。
(「『サピエンス日本上陸』を読んだのも番組がきっかけ♫
詳しくは→「『サピエンス日本上陸』にワクワク♫」)
テレ東の社員である著者。
ラジオから流れる彼の声は、
やわらかな物腰の好青年のように感じられました。
その人が、「ヤバい世界のヤバい奴らは何喰ってんだ?」・・・
から番組を作り、さらには、取材を基に、書籍化されたのが本書です。
著者曰く、この本は「世界中でカメラを回しながら、頭の中にはこの本が
その終着駅として想像されていた。だからこれは
『ハイパーハードグルメリポート』の最終形でもある」(6頁)とのこと。
わたしは、番組を観ていませんが、書籍の読み応えは十分でした。
とにかく、「ヤバい人々」の中に、通訳だけを連れて、
単身グイグイ入っていくわけで、読み手も緊張の連続です!
目次は、「リベリア 人食い少年の廃墟飯」「台湾 マフィアの贅沢中華」
「ロシア シベリアン・イエスのカルト飯」 「ケニア ゴミ山スカベンジャー飯」の
四つから成ります。
今、この時代、同じ地球に、こういう人たちが暮らし・・・
ゴハンを食べている・・・というのが、
正直、驚きであり、信じられないくらいです。
そのヤバい人たちが、皆、報酬目当てではなく、食事を撮らせることを許し、
さらには、たとえ貧しくとも、食事を勧めてくれることが、驚きであり、
感動でありました。
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(書影は版元ドットコムより貼付けております)
これを読んで、貧困問題や、民族闘争について語ろう・・・とは
残念ながら、なりませんで・・・
それは、わたしがアラカンおばちゃんだからか・・・
先日、職場の同僚、ちょっと年上のお姉様が、おっしゃっていました。
「若い人が、社会的な問題意識をもって本を読む・・・
『若いのに偉いわね・・・』って、思いがちだけれど、そうじゃない。
若いから時間がある、社会を変えたいとのエネルギーもある、だから当然なの。
年をとっていくと、時間もエネルギーもなくなってくるからね、
だんだん、そういう本も、読まなくなるのよね・・・」と。
このお言葉に、妙に納得してしまいました。
思い当たる節が多々あるからなのです。
少なくとも、わたしには、その傾向が出てきているのでしょうね・・・
若い頃に、この本を読んだら、もう少し違った感想を持ったのかも知れません。
それでも、知らない世界を垣間見るのは、衝撃です。
世界中の、ちょっと信じられないような境遇の人も、ゴハンを食べる。
人間なんて、みんな同じなんだなぁと・・・
当たり前のことなのでしょうけれど、それが、妙に突き刺さりました。
後先になりましたが、旅行記としても、読める一冊です。
コロナ禍の今、本の中で、旅をできるのは、とっても幸せ・・・
といっても、決して真似のできない、そもそも実行しようと思わない、
旅行記ではありますがw
そして、どのゴハンも、とっても美味しそうで、
たいていの場合、食べる人の幸せな顔が浮かんでくるようでした。
結局・・・
人間の願いなんて、どこへ行っても、みんなさして変わらない。
家族を作って、子どもには、きちんと教育を受けさせたい・・・
どの人達にとっても、もちろんわたしの周囲でも、
コロナ禍で、その実現が遠のいてしまうことが、ありませんように・・・