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本で旅する~『ハイパーハードボイルドグルメリポート』

2020-07-30 | 2022夏まで ~本~
上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(朝日新聞出版)。
520頁に及ぶため、予想以上に、時間がかかって読了しています

そもそも、この本を知ったのは、土朝9時、FMYOKOHAMAの
「FUTURESCAPE(フューチャー・スケープ)」・・・
小山薫堂さんと柳井麻紀さんのトークは、神奈川県民のお楽しみです♫

そのゲストに登場したのが、著者の上出氏でした。
(「『サピエンス日本上陸』を読んだのも番組がきっかけ♫


テレ東の社員である著者。
ラジオから流れる彼の声は、
やわらかな物腰の好青年のように感じられました。

その人が、「ヤバい世界のヤバい奴らは何喰ってんだ?」・・・
から番組を作り、さらには、取材を基に、書籍化されたのが本書です。

著者曰く、この本は「世界中でカメラを回しながら、頭の中にはこの本が
その終着駅として想像されていた。だからこれは
『ハイパーハードグルメリポート』の最終形でもある」(6頁)とのこと。



わたしは、番組を観ていませんが、書籍の読み応えは十分でした。

とにかく、「ヤバい人々」の中に、通訳だけを連れて、
単身グイグイ入っていくわけで、読み手も緊張の連続です!

目次は、「リベリア 人食い少年の廃墟飯」「台湾 マフィアの贅沢中華」
「ロシア シベリアン・イエスのカルト飯」 「ケニア ゴミ山スカベンジャー飯」の
四つから成ります。


今、この時代、同じ地球に、こういう人たちが暮らし・・・
ゴハンを食べている・・・というのが、
正直、驚きであり、信じられないくらいです。

そのヤバい人たちが、皆、報酬目当てではなく、食事を撮らせることを許し、
さらには、たとえ貧しくとも、食事を勧めてくれることが、驚きであり、
感動でありました。



(書影は版元ドットコムより貼付けております)


これを読んで、貧困問題や、民族闘争について語ろう・・・とは
残念ながら、なりませんで・・・


それは、わたしがアラカンおばちゃんだからか・・・

先日、職場の同僚、ちょっと年上のお姉様が、おっしゃっていました。

「若い人が、社会的な問題意識をもって本を読む・・・
『若いのに偉いわね・・・』って、思いがちだけれど、そうじゃない。
若いから時間がある、社会を変えたいとのエネルギーもある、だから当然なの。

年をとっていくと、時間もエネルギーもなくなってくるからね、
だんだん、そういう本も、読まなくなるのよね・・・」と。

このお言葉に、妙に納得してしまいました。
思い当たる節が多々あるからなのです。
少なくとも、わたしには、その傾向が出てきているのでしょうね・・・

若い頃に、この本を読んだら、もう少し違った感想を持ったのかも知れません。



それでも、知らない世界を垣間見るのは、衝撃です。

世界中の、ちょっと信じられないような境遇の人も、ゴハンを食べる。
人間なんて、みんな同じなんだなぁと・・・
当たり前のことなのでしょうけれど、それが、妙に突き刺さりました。


後先になりましたが、旅行記としても、読める一冊です。

コロナ禍の今、本の中で、旅をできるのは、とっても幸せ・・・
といっても、決して真似のできない、そもそも実行しようと思わない、
旅行記ではありますがw

そして、どのゴハンも、とっても美味しそうで、
たいていの場合、食べる人の幸せな顔が浮かんでくるようでした。


結局・・・
人間の願いなんて、どこへ行っても、みんなさして変わらない。
家族を作って、子どもには、きちんと教育を受けさせたい・・・

どの人達にとっても、もちろんわたしの周囲でも、
コロナ禍で、その実現が遠のいてしまうことが、ありませんように・・・

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