「春爛漫」
幌加内の道路脇の早春は「スプリング エフェメラル」となります。スプリング エフェメラルと話せば、「何々どんな話なの?」 「何か見知らぬ話が聞けるのではないか、いや難しい話になるのかな」などと聞き耳を立てます。もうこの言葉は市民権を得ている言葉なのでしょうか。
スプリング エフェメラルの訳をある本から拾い出して見ると、『春の短命植物』とありました。この訳では味気(あじけ)がありません。「短命」という言葉についつい反応してしまうからです。
雪解け後、野山には春の日差しを受けて、眠りから覚めた植物たちが芽を吹き出し、葉をひろげ花を付けるのです。その芽出しの可愛さ、咲き出す花の可憐さ、特に蕾の色は格別です。
自然に生きる植物たちは、まず背丈の低い花たちが咲き誇ります。カタクリが一斉に咲いている。エゾエンゴサクが咲いている。それも里山をおおうように咲き誇る。これがスプリング エフェメラルなのです。同じ土地に続いてニリンソウが咲き、つづいてマイズルソウが咲く。花を咲かせ実をつけて終わりをつげるのです。これらの花は皆短命なのですが、これらの背丈の低くて春一斉に咲く花は春早く咲く「春の短命植物」なのです。
これらの花が終わると、交代するかのように背丈の高い草がその同じ場所をおおいます。植物の世界は同じ土地を上手に使い、季節の配分がされているのです。