書評 BOOKREVIEW
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
十年以内に日本は中国人に乗っ取られるゾ
帰化華人が国会議員となり、靖国神社解体へ
♪
佐々木類『シミュレーション 日本略奪』(ビジネス社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
あれほど日中友好に尽くした二階議員の訪中団は、北京でかるくあしらわれ、しかもその日に中国軍は我が男女諸島上空を領空侵犯した。
ちゃんと抗議するかとおもいきや日本政府は「遺憾の意」をあらわしてお終い。
アステラス製薬の日本人社員が起訴されてもほとんど何もしない日本政府。「普通の国」なら領空侵犯にはミサイル迎撃、不当な起訴には日本国内の中国人スパイ十数人を束にして国外退去など、報復手段をとるのではないのか。
なにもしないと最初から舐めてかかっているのが習近平だ。しょせん、武力の無い日本が何をできるというのだ、もしやるんだったら在中日本人を数十名ひっつかまえて人質とするぞ、と脅せばよい。いやまたレアメタル輸出禁止をやれば日本の企業は震え上がるさ、と考えているようだ。
一方、バイデンの補佐官でしかないサリバンが北京へ行くと習近平は面談するのである。米国大統領のパシリには会っても日本議会の大物はパス。
こうした情勢がつづけば日本は中国の付属国家となり、日本政府は中国の臣下に陥落し、学校も乗っ取られ、靖国神社は中国の代理人「紅野太朗」首相のもとでぶっ壊される。とんでもない日本社会が出現する。
実際に四国の田舎で廃校になった学校を中国が買い取り、夏の合宿スクールなどと称して武闘訓練をしているという。孔子学院の変形である。
日本はあちこちで中国に買われている。
まがまがしいシナリオではない。このまま拱手傍観をつづけると、もっと醜悪な状況に陥るだろう。いずれそうなりかねないのは、政界の堕落をみてもわかる。日本精神を説き、軍事力を背景とする外交を主張する議員は、数えるほどしかいないではないか。
なにかの間違いで議員になって秘書給与をごまかしたり、権力の魔力にとりつかれたかのようにパワハラに精を出す馬鹿知事。地元への利益誘導だけが生きがいの政治家センセイって粗大ゴミくらいの存在だ。
本書は国際取材経験豊かな佐々木氏が、未来予測の舞台を十年後に見据えて「良き十年後」か、「悪い十年後」となるかを四つのシナリオにわけて提示する。シナリオは現実に起きた事件を土台に精密に展開してゆく。
なかには産経新聞が経営難儀に陥って中国支持派に転落するなどのあってはならないシミュレーションも含まれる。
そうした暗い、おどろおどろしいシナリオを一方で提示し、中国の策謀を白日のもとに晒すのが本書の目的である。
もちろん、グッドなシナリオも用意されている。高市早苗内閣の誕生が中国の日本略奪という策謀を粉砕できるという。
佐々木類は冒頭に『申命記』の一節を掲げた。
「あなたたちの土地に住む外国人が徐々に力をもつようになる一方で、あなたたちは次第に力をうしなうだろう。彼はあなたに貸す金は持っているが、あなたは彼らに貸す金を持っていない。最終的に彼らはあなたの支配者になるだろう」
本書を読み始めて重要な箇所に付箋をはっていくと10ヶ所以上になった。
まさに未来のシミュレーションを多彩に深刻にえがき、日本人に真剣な中国問題の熟考を迫る重厚な思索書の趣きがある。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)9月2日(月曜日)
通巻第8391号 より