走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

尾鰭背鰭

2021年08月06日 | 仕事
大袈裟、拡張表現、尾鰭背鰭が生えて、、、、
医療者の気を引くためか、現実にかさ上げして問診に答える人がいます。彼もその1人。喉の痛みで再診の彼は溶連菌感染っぽい。しかしこのリンパ腺の腫れと飲み込むにくさは2年も続いている、と言う。

1年前に専門医にも診てもらったが良くならなかった、と。本当???と疑いたくなるが、そう言えば2ヶ月前声が掠れるって、来てたしな、、、とも思う。体重も減ってるとかまで付け足す。

んんんんんんー、どうしましょう。抗生物質の処方を出して、終了後に再診してください、と指示を出す。

で、再診時、リンパ腺の腫れはすっかり引いており、飲みにくさもなくなっていた。
「今回は効果的面だった」と彼は限定の「は」を使います。全く、、、前回もそうじゃなかったの???と言いたい気持ちをグッと抑えます。リンパ腺の超音波の予約を入れていたけど、これはキャンセルしますね、と私は伝えた。不要な検査はしませんから。

一般人の方はたくさん検査もして欲しいだろうし、薬も貰った方が安心するかも知れませんが、薬も検査も副作用や危険度が伴う事があります。医療者の仕事はその危険性と効果を天秤にかけて毎回何をするか決めるのです。滅多に起こりませんが大腸スコープで穿孔して一時的に人工肛門を着用しなければならなくなった人を知っています。その天秤を見極める力をつけるために医学の勉強をしたのです。それを悪用しないように、症状の報告はできるだけ詳細にかつ拡張表現なしでお願いします。


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