走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

補強か替わりか

2020年02月23日 | 仕事

昨日書いたブログで勘違いされては嫌なので補足を。

今月終了した同僚による記録監査。そのフィードバックの中に、もっとフレームワークやポイント式の診断補助計算を入れた方が良いと書いてあった。私は????となり質問する。

それってカレッジの記録のガイドラインで推奨されている事ですか?答えはノー。同僚はその方が記録が診断に対して強くなるから、と。確かにプラスポイントになるのは事実だ。実際二股に分かれている基点でどっちへ行くか迷う時、背中を押してくれるものがあると助かる。しかし診断という複雑なプロセスを短くしてしまうものではないと思う。つまりこのようなアプリは診断過程を補強するもので、代わりにやってくれるものではない、という事。

経験の少ないプラクティショナーにとっては、このようなアプリは助かる存在。経験を積むとアプリの計算式が叩きこまれて不必要になるから。それに診断はAかBではない。沢山の可能性の中から問診をしていく中で1〜3に絞り込んでいく。ポイント式を使う時点で、1つに絞り込んでおり、他の診断を除去している事のなる。つまり誤診の可能性が高くなるという事。ここが診断という作業にはアルゴリズムがしっくり入れない、つまりAIがとって変わるにはまだまだ時間がかかるところだ。

私はこのフィードバックをくれた彼の記録を監査した。私のフィードバックは真逆。彼の記録はフレームワークやチェックリストの使用が多く、それは構わないのだが、それ以上に診療過程が広がらない。これは患者の個別性を見逃すチャンスが大きくなるし、誤診にも繋がる。カレッジはこんな事は推奨しない。

さて、昨日溶連菌咽頭炎っぽい患者の診察。患者を帰してからこのポイント式を使ってみた。必要な情報は全て記録されていたし、治療判断も間違っていなかった。彼のフィードバック通りポイント結果を記録しておいた。しかし大事なのは必要な問診所見をとっており、診断治療過程を踏んでいるか。ポイント式の記入はケーキの飾り付け段階でエキストラの飾りを入れるかどうか、それぐらいの意味しかない、という事。

だから、昨日のアプリを見て得意げにポイント論議するような事は絶対しないでください。診断過程をわかっていないバカ丸出しになりますからね!


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