劇団どれみ

自称劇作家どれみ、夫はスイス人、NZ在住。3匹の猫の皆さんも作詞家等としてゆるく活躍中。その歌はラジオで流れたことも

世界はオレのために (オレオレシリーズ その1) 

2010-06-26 | 劇団どれみ
      旅行会社カウンターに、バックパックを背負い現れる男。

男 ハロー、マイネーム イズ トゥヨシィ! アイ ジャスト アライブドゥ…
  って…あれぇ~?お宅、ひょっとして日本人?
  あややや、いるんだねぇ、こんなところにも、日本人が。いやぁ、奇遇奇遇。

  メイ アイ シット ダウン ヒア…って、いやいや、ついつい英語が出ちゃったよ。
  あ、座って良い?サンキューサンキューサンキュー、もうさ、疲れちゃってさ。
  何せ、今ついたばっかりだから。
  
  ってかさ、あれよね、日本人は、聞かずに座るヤツ、多いよね。
  本当、オレなんかさ、海外いっつも行ってるじゃない?
  だからさ、ついつい聞いちゃうんだけどね、いや、だから座って良いですかとかさ。
  レディーファーストとかもさ、嫌でも身に着いちゃうわけよ。
  日本にいてもそう。で、気障とか言われちゃうんだけどさ。
  
  そうそうそう、今、着いたばっかりなの。飛行機でね。
  んで?例によって?またイミグレで足止めされちゃってさぁ、もう、ヘトヘト。

  んで?例によって?もう、な~んも決めてないわけよ、オレ。
  ノーアイデア、ノーアイデア!
  うん、今日の宿も決めてないよ。

  いや、オレ、いっつもそうよ。
  まず現地行っちゃってさ、で、現地の人と相談して決めるの。
  
  そりゃそうよ、だって、現地のことは、現地の人が一番知ってるわけじゃない?
  んな、ガイドブックなんかより、現地の人がすすめてくれるところに
  行きたいわけよ。

  いやいやいや、すごくないよ、すごくない。オレ的には、全然普通。
  ってかさ、オレって、団体旅行とかできない人だから。
  団体旅行とかパッケージとか、ああいうのはダメよ。  

  じゃあ明日は6時半に起きて、7時に朝食をココで食べて、
  8時にロビー集合でってさ、もう、そういうのダメなわけ。
  いや、一回だけそれで行って、参っちゃってさ、もうそれから
  いっつもこのスタイル。

  そうそうそう、個人旅行っていうの?
  パッケージとかって、つまんないじゃない。結局皆と同じ場所行ってさ。

  まぁ、言葉できるってほどじゃないけどさぁ、まぁ、英語さえ話せれば?
  なんとかなる?まぁ、世界中たいていのところはそう?
  
  いやぁ、だから、全然すごくないんだって!もう、全然すごくない。
  自分、わがままだから、こういうんじゃないとダメってだけでさ。

  いやぁ、まあね。色々行ったよ。
  イギリス、フランス、ドイツ、ロシアに韓国中国香港マカオ、フィリピン、タイに
  グアムにハワイってね。

  でもさ、実はオレ、今回初めてなわけ。いや、何がって、南半球がさぁ。
  何でも南半球は、夜見える星座も違ってくるって言うじゃない?
  そ、だからさ、オレ南十字星見ようと思ってさ。

  アハハハハハ、ロマンティスト?オレが?
  アハハハハハ、いやいやいや、でも、案外あるかもね、そういうの。

  ってかさ、あれよ。男ってみんなロマンティストな生き物だからね。
  そりゃあ、そう。みんなそう。
  ま、でも、思ってるだけで実行できないヤツも多いけどね。
 
  まぁ、その点、オレは?思い立ったら?すぐ実行に移すタイプ?
  だってさ、人生一度だけじゃない?
  楽しまなくちゃ嘘だよぉ。
  
  でもあれね、どういうわけか、オレ大抵イミグレで止められるんだよね。
  オレ、そんな怪しく見える?

  え、見える?

  え、マジで?

  参っちゃうよなぁ。
  だって、荷物これだけよ。
  そう、もうこのバックパックひとつでね、世界中どこでも行っちゃうわけ。

  いやいやいや、旅慣れてるってわけじゃあ、あれなんだけどね。
  
  あ、でも、やっぱ、あれかね?オレ、一人で色んな国行くでしょう?
  うん、一年の内に、何カ国も行ったりするからね。 
  で、運び屋だとでも思われてるのかなぁ、オレ。アハハハハ…

  一度なんてさ、あれはバンコクだったかなぁ、別室連れて行かれちゃってさ
  もう、丸裸にされたのよ、オレ。
  いや、マジマジマジ。アハハハハ…

  いやぁ、あの時は、さすがのオレも参ったよ。

  え?あ、そうそう、まず今日の宿ね。
  今日はさ、この辺泊まろうと思うんだけど、どこか良い所、予約してくんない?
 
  え?希望?

  ノーアイデア、ノーアイデア!

  うん、だからさ、何の下調べもしてきてないわけ、こっち。
  そう、現地の人に聞いて決めようと思ってさ。
  なので、ええと…(担当者の名札を確かめ)
  ユウコさんの、おすすめの所、予約してよ。

  え、予算?

  ノーアイデア、ノーアイデア!

  だからさ、こっちの相場とか、全然調べて来てないわけね、オレ。
  なので、まぁ、常識の範囲内で、おまかせかなぁ。
  高すぎず?安すぎず?まぁ、安いに越したことはないんだけどさ
  あんまり安いとこだと、危ないんでしょう?
  ってのはさぁ、オレ、フランスにいた時?バッパカみたいな所泊まって?

  へ?バッパカって何かって?
  やだなぁ、ゆうこさんバックパッカーの略だよぉ。

  へ?あ、こっちの日本人はバッパーていうの?
  へぇ~、まぁ、マックとマクドみたいなもんで、地域によって
  略し方も違ってくるんじゃね?アハハハハハ…

  でさぁ、まぁ、タコ部屋みたいな所泊まらされたわけよ。
  でさぁ、イギリス人の男とスペイン人の男がいてさぁ、そうそう、同じ部屋にね、
  で、大変な目にあったんだよぉ。

  いやぁ、だから大変な目だよぉ。

  いやぁ、聞かない方が、良いって。

  いやぁ、ゆうこさんも好きだねぇ。

  そうそうそう、二人とも、どうもそっち系だったらしくてね、
  オレ、男にも結構モテるのよ。
  ってか、アレよ?日本人の男ってさぁ、結構そっち系にはモテる?
  
  でさぁ、酒すすめられてさぁ、触って来るんだよね。
  そうそうそう、誘われてる感じ?

  うん、でね、気付いたらね、財布無くなってたんだよ。
  
  いや、よく覚えてないんだけど、気付いたら寝ててさ、
  次の日の朝、財布なくなってた?

  いや、操は守られたと思うよ、オレ。服着たままだったし。
  たださ、ポケット入れといたはずの財布が、どこ探してもないわけよ。

  あ、今気が付いたけどあれだ、体触りながら財布の位置探してたのかもな、アレ。
  なんだよ、あれ、そうだったのかよ?

  え、気付くの遅すぎ?アハハハハ…
 
  え?ドリンクに睡眠薬?

  …いやぁ、入れられてたのかもね、今思えば。
  するどいねぇ、ユウコさん。

  ま、そんなわけで、バッパカよりは、格上なとこで、お願いしますよ。

  あ、でもさ、日本人ばっかみたいなとこも、嫌だなぁ、オレ。
  せっかく外国来てんのに、ロビーで日本人団体客がワーワー騒いでるような所は
  何か白けるじゃない?

  うん、うん、うん、あ、良さそうじゃない、そこ。
  うん、じゃあ、それで良いや。じゃ、予約しちゃって。とりあえず一泊。

  あ、名前?トゥヨシ トゥシマ

  おっと失礼。津島剛っていうんですけどね、外国の人に「ツ」って
  発音しにくいらしいんだよね。
  で、外国いる時はいつもトゥヨシ トゥシマで通してるわけ。

  あ、ひとつ確認なんだけど、そのホテル、こっから歩けるよね?
  ああ、歩ける。
  ああ、そう。もうそれなら、完璧。
  
  うん、また明日もここ来て、色々相談させてもらうからさぁ。
  
  え?明日からの予定?
  ノーアイデア、ノーアイデア!

  だからそれを相談させてもらうわけよ。
  ま、とりあえず2週間後にこの街に帰って来る感じで?
  あんまり日本人の行かない所中心に
  ちょっとモデルプラン練っといてもらえる?

  いやいやいや、だからさ、現地在住のユウコさんのセンスに
  おまかせするんで、よろしくぅ!
  オレ、ノーアイデアだからさ。

  いやさ、オレ、細かいこと考えるの得意じゃないんだよね。
  もう、もう、マジでおまかせ、おまかせ。

  あ、但し、常識の範囲内でお願いしますよぉ~!

  じゃあ、また明日。
  アスタラ・ビスタ・ベイビー!
    


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ゲルマン人現る

2010-06-18 | 世界の端っこで世界を想う
職場にね、入って来たんですよ、ドイツ人男子が。
なんか、いかにもゲルマン人みたいのが。

私が入社する前にも、一人フランス人がいたらしいんですけれど
その彼女とは一度も会うことなく、わたくしの入社前には退職してましたんでね
そんなこんなで現在唯一のヨーロピアン。

ってかね、元々オーストラリア人とニュージーランド人はいるんですけれ
でもって、あの人たちって、なぜか自分達のことヨーロピアンとか
呼ぶことがあるんですけれど…違うでしょう?
そりゃ、ご先祖様はヨーロッパ方面から来たかもですけれど
ヨーロピアンのパスポート、持ってないし
それでもって、オセアニアで生まれ育ったんなら、
それはもうキウィはキウィ、オージーはオージーですよ。

江戸っ子だって、江戸だった場所で生まれ育ってるからこそ
江戸っ子なんでしょう?
逆に言えば、両親が江戸っ子でも、その二人が沖縄に引っ越して生まれた子供は
もう江戸っ子とは名乗れないんですよね?

まぁ、そんなことは、どうでも良いんですけれどね。

で、そのドイツ人なんですがね、良い人なんですよ。
背が2メートルくらいあって。
って、身長は人格とは、あんまり関係ないんですけれどね。
でもって、ドイツ語訛りの英語が、時に大変チャーミング、時に大変難解。
まぁ、ドイツから来たばっかりなんで、まだまだ修行の身って感じの
レベルなんですな。
英検でいうと、3級くらい?

でもですね、とてもおしゃべり好きな上に、白黒ハッキリさせないと
気がすまない性分っていうんですか?
拙い言葉を重ねて、納得するまで聞いて来ますからね。
あれは、伸びますよ~。英語の話ですけれど。
ええ、あっと言う間に英検一級ですよ。多分ね。

でもって、わたくし下手に拙いドイツ語で
「お会いできて嬉しいです。わたしの名前はどれみです。
わたしの夫はスイス人です。
でも、わたしのドイツ語は良くありません」
なんて挨拶してしまったのが運のツキ…
今、ドイツ語の特訓されてます。

しかしながら、あれですよ。
わたしのドイツ語なんて、所詮一方通行。
初心者用テキストのテキスト通りの反応をして
もらわないと、返答できないわけですな。
聞き取れないから。
まあ、独検(あるのか?)でいうなら、5級も取れない感じ。

で、ある日のこと、やっぱりね、テキストで覚えた一文を
ドイツ人に投げかけたところ、変化球で返されましてね
しかも、それがかなりの長文だったんですよ。
もう、ぜ~んぜん、分かりません。
でね、彼が何だかんだドイツ語でペラペラ喋った後に、しかたなく
”I don't get it.”と英語で答えましたら
パーテンションの向こうから、中国人と台湾人の大爆笑が。


なんでも「おお、すごいぞ。どれみがドイツ人とドイツ語で
しゃべってるみたいだぞ。何言ってるか全然わかんないけど」
と思って聞き耳立ててたんですって。

そんなこんなで、まず、分かりませんをドイツ語で言えるようにしないと、ですな。



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彼は外国人シリーズ その1 

2010-06-12 | 劇団どれみ
    アパートメントの一室、友人を迎え入れる女

女:さぁ、どうぞ上がって。
ちらかってて、ごめんなさいねぇ。
その、イタリア直輸入の青いソファーにでも、適当に座って「素敵な奥さん」でも
読んでてくれる。今お茶淹れるから。

え、なに?超ゴージャス?豪華絢爛?
アハハハハ、いやだわぁ。好きな物を買って並べてるだけよぉ。

   女、紅茶を淹れ始める。

女:ま、ビューにはこだわったんだけどね。
もう、このお部屋、海が見えるってだけで、裏側の部屋より家賃200ドルも高いのよ。
そう、一週間あたりのレントがぁ。


え?そりゃああなた、日本でOL十年以上もやってれば、貯まるものは貯まるのよ。
バブルの頃から、コツコツ貯めて来たんだから。
え?バブルの頃、まだ子供だった?
バブルの頃からなら、ざっと二十年は働いてたんじゃないかって?
ふん…ま、いいじゃない、そんなことは。
ってか、意外に計算早いわね、サーヤってば。

え?ワーホリでこの部屋はありえないって?
いやねぇ、私ワーホリじゃないわよぉ。ってか、年齢的に無理だし。
え、知ってます?
ああ、自分達には無理っていう意味で言ったのね。ああ、そう。
ま、そんなことより、お紅茶どうぞ。ハロッズのよぉ~。

   女、紅茶茶碗を友人達に配り終え、ソファーに腰掛ける。

女:いや、でも、あれよね。
私も、この国では、結構若く見られる?
ってか、日本人って若く見られるじゃない?

そうそうそうそう、ID見せろって言われるわよねぇ。
お酒買う時とか、カジノ行く時とかぁ!
え?わたしだって、言われるわよ。…まぁ、極、稀にだけど。

へぇ、二人はワーホリなんだ。
なに、ギリホリ?
じゃあ今年、三十一ね。あっそぅ。

ふぅ…三十一っていったら、私が課長と不倫してた頃だわ…
って、そういう話はナッシングゥ~の方向でぇ。

え、私のビザ?
学生よ、学生。そう、スチューデント。
そらそうよ、語学留学だって、立派な留学じゃない?

ま、いずれ彼と結婚ってことになれば、どの国に住むことになるのかはぁ、
あれなんだけどねぇ…

え、彼の話、してなかった?
いやだわぁ、聞きたい?
でも、あれよ。相手が外国人だからってだけでぇ、色々判断しないでくれるぅ?

え、何?二人の彼も外人なの?
大丈夫?騙されてない?

って、冗談よぉ。何人?何人?
え、ミポリンの彼はフランス人で?サーヤはヴェトナム人?

…ふーん。ま、渋いっちゃ、渋いじゃない。
珍しければ、良いってもんでもないけどさぁ。

え、私の彼?ふふふ…まぁ、アラブ系?
もう、「アラディンと魔法のランプ」のアラディンみたいな?

やぁねぇ、アラジンじゃなくて、アラディンよ、アラディン。

え、頭にターバン?
いやいやいや、巻いてない巻いてない巻いてない。

う~ん年?
え~、どうしよう。恥ずかしいもん。

え、二人とも、年下の彼なのぉ!
なんだ~、一緒一緒。

そう…彼ね、私の十二歳年下。

そうそうそうそう、多いよね、多いよね、彼が年下カップルゥ?

ってかさ、あれじゃない?日本人女性って若く見えるしぃ、
そうそうそう、肌だって皆すっごく綺麗じゃない?

そうそうそう、こっちの同じ年齢の女の人、ビックリするくらい老けてたりするしね。
下手したら同い年で孫いたりね?

いやいやいやいや、二人の年齢だってありえるって。
十五で未婚の母になって、それでできた娘が十五で子供生んでごらんよ。
もう、1歳の孫がいる年齢だよ、二人だって。

まぁまぁまぁ、話戻して、二人の出会いはね…
ホテルのバー。

あ、高級ホテルのバーね。高級ホテル。

あら、そこ、肝心よぉ。あんたたちもね、いつまでもバッパー
なんか泊まってちゃだめよ。
ダメよダメ。ダメダメダメェ~!
世の中には、クラスってものがあるんだからさぁ。
高級な男と出会いたければ、高級な場所に行かなきゃあ。

え、彼?
ま、ここだけの話だけどね…
石油王の息子。

本当よぉ、本人がそう言ってたんだから。
でね、父親にビジネスの勉強して来いって言われて、
この国に来たんだって。

名前?モハメド。うん、むこうでは多い名前らしいんだけどね。

え?え、モハちゃんとか?ハニーとか?ダーリン?
いやぁ~ん、はずかしぃ。

彼は、ハニーかな、やっぱり。うん、たまにヨネちゃんって呼ばれるけど…

ってかさ、むこうの言葉分かんないし、共通言語は英語ってことになるじゃなぁい?
何か、外国語で恋するって、新鮮だよねぇ。
初心に戻るっていうかさぁ。

うん、もう半同棲みたいな?
彼の通い婚状態?

やっぱさぁ、石油王の息子だから、こっちも下手な所に住めないっていうのは
あるわけ。

え、彼の部屋?
う~ん、実はさ、行ったことないんだよね。

いやいやいや、だからね、彼の父親が、彼は今修行の身だからって
あんまり彼にお金渡してないらしいのよ。

ほら、若いときの苦労は買ってでもしろって言うじゃない?
で、あんまり綺麗な所に住んでないらしくてさぁ、
恥ずかしいから見せられないっていうの。

でも、彼って子供の頃から苦労知らずで育って来たわけじゃない?
もうさ、贅沢が体に沁みこんじゃってるっていうの?
しかたないから、今は投資だと思ってね、色々出してあげてるの、私が。

だってほら、あんまり貧乏くさくなって欲しくないじゃない?
彼も、将来、何百倍にもして返すって言ってくれてるし。

    女の携帯電話が鳴る。

女:あら、電話だわ。ちょっと失礼。

    女、携帯電話に出る。

女:ハロー?え…あ、はい?日本の、信販会社の方?
え?自動車を購入?
日本円で、250万4980円の請求?

   女、携帯電話を耳から外し友人達に語りかける。

女:彼だわ。彼に、クレジットカード渡してるのよ。
そのカードで今、彼車を買おうとしてるらしいわ。

   女、携帯電話を耳にあて

女:ええ、ええ。それ、間違いなくわたくしのです。
ええ、もう車は見ておりますから、間違いありません。
いえ、わたくし、今店にはおりませんけれど、そこにいるのはわたくしの婚約者、
フィアンセですのでご安心ください。
ええ、ええ、その車、買わせていただきます。

   女、携帯を切る。

女:ふふふふふ、ノーティー、ノーティー、ほんとうに、ヤンチャなんだから。
モハメドったら、新車を買って私を驚かせるつもりなのよ。
可愛いでしょう?

本当よぉ。そこにあるPCだってテレビジョンだって、
このマイセンの紅茶茶碗だって、
ほら、あなた方が腰掛けてるイタリア製のソファーだってよ、
ある日突然彼が私のカードで買って来たものばっかりなの。
私が買ったものなんて、その「素敵な奥さん」くらいよ。
それだって、日本からのお取り寄せで、清水の舞台からジャンピングゥ~
だったんだから。

…正直に言っちゃうとね、私、貯めるのは得意だったんだけど
消費って苦手なのよ。
だから、思い切って買えないのよね、自分じゃ。
そういう意味では、助かってるの。
彼に、センスを磨いてもらってるって感じ?
この部屋だって、ハイセンス絵本のようでしょう?
本当、モハメド様々よ。

ほら、彼の国に戻ることになったりしたら、
それこそ屋敷の中に使用人がウヨウヨいたりするわけよ。
そういう人たちにナメられないようにね、今から世界の高級品に
囲まれた生活をしておかないと…みたいなことなわけね。

いやねぇ、ミポリン。何心配してるの?
マジ、彼に限って、お金とか体目当てなんてありえないって。
だって、大富豪の息子よぉ。

それに…だいたい…まだしてないもの、私たち。

そう、まだね、プラトニックな関係なの。
結婚するまでは、そういうことは…ねぇ。

え?う~ん、よく知らないけど、ほら宗教上の問題とかもあったりするんじゃない。
いや、だから知らないけどぉ。

え、苗字?
アリよ、アリ。

あら、言われてみればそうね、モハメド・アリだわ!

いやねぇ、偽名のわけないじゃない。
ミポリンもサーヤも、何心配してるのよぉ?
やだなぁ。
愛し合ってるわよ、私たち。
精神的な意味でね、深く清く繋がっているわけ。

    インターフォンが鳴る

女:あら、帰って来たわ、マイ ダーリンが!

    女、玄関まで駆けより、ドアを開ける。

女:ハニー、お帰りなさい。今ね、お友達のミポリンとサーヤが来てるところなの。

あら、そのメイド服着た若いお嬢さんは、一体…

いやぁ、ハニーったら、私のためにメイドさん、探して来てくれたのね。
本当、私って幸せ者だわ。ラブ・ユー・ダーリン!

ねぇ、ねぇ、ねぇ、ミポリン、サーヤ、今の聞いた?
本当に、彼ってヤンチャでしょう?
メイドが粗相をしないようにね、彼、今から別室で彼女を調教してきてくれるんですって。




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劇団どれみ 旗揚げ

2010-06-11 | 劇団どれみ
みなさま、ごきげんよう。
最近、暇さえあればUチューブ観賞をしている
みそらら どれみでございます。

元々お笑い好きなんでね、まぁ、ベタなところで
最初はヨシモト新喜劇とか観てたんですけれども
そこからどういうわけか行き着いた「劇団ひとり」さんにどっぷり嵌り
「エドはるみ」嬢に感銘を受け
「イッセー尾形」氏の渋みと深さを再発見してみたりね。

しかし、良いですな。
まず台本ありき的な作品って。
わたくし、映画でも芝居でも、割と低予算ものが好きなんですけれどね
ハリウッドの超娯楽大作なんかよりも
台本と役者の味わいだけで、笑わせたり泣かせたりする
最近でいうなら「おくりびと」みたいな感じの作品が。
って、あんまり最近でもないですかな?

まぁ、そういう個人的趣味に、上記の方達の作風が
あまりにもマッチしておりましたもので
僭越ながら自分でも書いてみたくなったわけですな、台本みたいなものを。

そんなわけで、下手の横好きが書いてみましたんでね、
良かったら読んでやってください。
さらに、演じてみたいという方、大歓迎です。

特にエドはるみさんとか、ミセスDJ Rie Waitsさん
さらには、意外なところでCowCowの多賀さんなんかに
演じてもらえるのなら、それは本望。

その他の方も、ご遠慮なく、ご一報の上、演ってください。
って、一体いつ、どこで、誰が、何のために…
と謎を残しつつ。


一応座付き作家の
みそらら どれみより。


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