いきなり接戦のオークションを見せつけられ
手に汗握っていたわたくしでしたが
その後は、ややダレ感のある競売が続きます。
最初の物件は、接戦の末とは言え比較的低額な
家というよりはユニット、つまり分譲可能なアパートとマンションの間
みたいな物件だったわけで、それなりに人気も高かった模様。
しかしながら、次なる物件はいきなり9500万からスタートだ、みたいな
大豪邸でしたのでね、まぁ、買える人もそれほど多くないでしょうし
この辺狙う人達って、やっぱり抜け目なさそうじゃないですか。
なので、途中思考タイムみたいな時間が設けられたりで
その間PC操作のお姉さんがやってるんだと思いますが
妙にファンキーな曲が流れ出したりします。
で、中ダレ。
結局、最高額がリザーブ・プライスに届かず
後日商談持ち越しみたいな家が続いたり
売り手が折れてリザーブプライス以下でSoldになったりと
それでも、6割方は売れてる様子。
中には、誰も希望者がいないかに見えても
オークションには参加できない購入希望者がおり
今希望者がいなければ、明日にでもその人が条件付オファーをするであろう
などという家もある様子です。
基本、オークションに参加できるのは、キャッシュオファーの人々のみ。
キャッシュオファーとは、つまり無条件で買うことのできる人。
キャッシュと言っても、別に現金で全額払うという意味ではありませんが
即金で1割の頭金を払わなければなりませんし
あとから四の五の言うのもご法度です。
要するに、これから家を売らなければならないので売れたら買うとか
これから銀行に相談に行かなければお金を借りれるか分からないとか
ビルダーズレポートを見てそれで納得いかなきゃ嫌だとか
そういう条件をつけたい人は、オークションには参加できないわけです。
一方、キャッシュオファーはやぶさかでない人でも
オークション会場に来ることができないという場合は
電話参戦も可。
で、我々の場合、家はもう一年以上前に売却しており
その時の蓄えが残っているので、頭金を払うことには問題ございませんし
残金を銀行に借りられるかも、銀行からのお墨付きをいただいていたので
こちらも問題なし。
さらに狙う家は、違法建築部分もなく、骨組みもしっかり
特に問題はないだろうということで
買うとなったら無条件のキャッシュオファーで結構ということで
オークション参戦と相成ったわけであります。
予告時間を大分過ぎても、中々狙う物件の番が来ず
すっかりリラックスしていたわたくしですが
あれ、そろそろかなと思った瞬間から、途端に緊張。
大きな声で「5000万」とか言わなきゃいけないのだろうかとか
舌がもつれたり声がふるえたり聞き取ってもらえなかったりしたら
相当恥ずかしいんじゃないかとか考えただけで、ドキドキです。
と、そこへ不動産エージェントのT氏が現れ、隣の空席に腰を下ろし
「さぁ、そろそろだよ」と教えてくれます。
そしていきなり作戦会議です。
「いいかい、今日は多分あの家のオークションに参加するのは
君だけだ。しかし、他にも希望者は2組いる。
今日家が売れなければ、明日にでも条件付オファーを出すつもりで
今日もここに来ているんだ。
その人たちのオファー額は、言うことはできないけど君達の言ってた額より
ちょっとだけ多いんだ。でもちょっとだけだよ。
だから、やつらを怯ませるために
この前言ってた額をまず提示しようと思うんだけど良い?」
わたくしども、前夜の夫婦会議において、その額以上は絶対に出さないと
決めておりましたので、そこからいきなりスタートというのは
「え?」という部分もあったのですけれど、なにぶん緊張しており
それよりなにより「ってことは、あなたがわたくしの代わりに
言ってくれるわけですね?わたくしは、何もしなくて良いんですね」
ということに、より重心が移行しておりましたので、出た言葉も
「え、じゃあ、わたくしは、何もしなくて良いんですね。
あなたが、やってくれるんですね?」みたいな。
まぁ、他に競売に参加する人がいないのなら、4900万円でスタートしないと
5100万円の順番が自分に回って来ないみたいな心配はないわけですしと
お任せして、いよいよスタート。
自分以外に参戦者はおりませんが、現在の家主も来ている様子で
その額で売るわけにはいかんと、首を縦に振りません。
家主側の使者みたいな人が来て、もう少し上げてくれみたいなことを
言っておりますが、わたくし、これ以上は出せませんので
無理ですと言いました。
しかしながら、T氏が横で「この額じゃ買えないけど、あとちょっと、
あとちょっとで君達の家になるんだ。今額を上げないなら
明日にでも、別の人があの家を買う。出せるだろ、あと50万なら」
とあまりにしつこくいうので、仕方なく「じゃあ夫に電話して良いですか?」
と聞いたところ「もちろんだよ!ちょっと待ってください。
今パートナーに電話しますから」
と、会場全体に響き渡る声で実況中継してくれたお陰で
会場中の人たちに注目されるわたくし。
仕事中の夫に携帯で電話し、何とか夫を説得。
この時、そのまま電話を繋いでいれば良かったのですが、夫が納得した途端
緊張のあまりブツリと電話を切ってしまいました。
そしてT氏が高らかにハーフと叫ぶと画面の文字が5150万に。
しかし、敵はまだ納得できない様子です。
しばらくすると、また家主の使者がやってきて紙に書かれた数字を見せます。
そこには5180万の文字。
「あと30万、あと30万出せば、あの家は君達のものだ」
好々爺キャラだったはずのT氏が、何故か脅しをかけるように
「あと30万出せ」と言って来ます。
しかしながら、もうこれ以上は出せません。
出せるだろ、30万だよ。
いえ、出せません。
みたいな会話が続き、またもや夫に電話することに。
夫には、自分が拒み続けた言葉を自ら言い放ちます。
「あと30万、あと30万であの家がわたくしたちのものになるのです」と。
しかしながら「どれみ、僕達は昨日話し合ったじゃないか」と
わたくしがしたような抵抗を続ける夫。
自分の力で説得することを早々に諦め、海千山千の偽好々爺に携帯を渡すと
30秒で夫を説得。
画面の文字が5180万円に代わると同時に
あの「Now Selling」の文字が点滅し始めます。
そして例の「ファーストコール、セカンドコール、ファイナルコール!」
で振り落とされるハンマー!
会場中の人が、とても温かな拍手をしてくれ
思わずT氏をハグしたいくらいでしたが
ここでハグすれば絶対泣くと思い、ガッチリ握手で
本当に家を買ってしまったのでした。
ちなみに「ハンマーチャーンス」という言葉は
一度も使われませんでした。
どうやら和製英語に10000点。
ってか、日本でも今や死語ですかね。
騙されたんじゃと思う人も、おめでとうと思う人も、人気ブログランキングへ
※ここに出てくる数字は、全て架空です。
また、イメージしやすように1ドル100円のどれみ換算法にて
日本円にて表示されております。
手に汗握っていたわたくしでしたが
その後は、ややダレ感のある競売が続きます。
最初の物件は、接戦の末とは言え比較的低額な
家というよりはユニット、つまり分譲可能なアパートとマンションの間
みたいな物件だったわけで、それなりに人気も高かった模様。
しかしながら、次なる物件はいきなり9500万からスタートだ、みたいな
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オークションには参加できない購入希望者がおり
今希望者がいなければ、明日にでもその人が条件付オファーをするであろう
などという家もある様子です。
基本、オークションに参加できるのは、キャッシュオファーの人々のみ。
キャッシュオファーとは、つまり無条件で買うことのできる人。
キャッシュと言っても、別に現金で全額払うという意味ではありませんが
即金で1割の頭金を払わなければなりませんし
あとから四の五の言うのもご法度です。
要するに、これから家を売らなければならないので売れたら買うとか
これから銀行に相談に行かなければお金を借りれるか分からないとか
ビルダーズレポートを見てそれで納得いかなきゃ嫌だとか
そういう条件をつけたい人は、オークションには参加できないわけです。
一方、キャッシュオファーはやぶさかでない人でも
オークション会場に来ることができないという場合は
電話参戦も可。
で、我々の場合、家はもう一年以上前に売却しており
その時の蓄えが残っているので、頭金を払うことには問題ございませんし
残金を銀行に借りられるかも、銀行からのお墨付きをいただいていたので
こちらも問題なし。
さらに狙う家は、違法建築部分もなく、骨組みもしっかり
特に問題はないだろうということで
買うとなったら無条件のキャッシュオファーで結構ということで
オークション参戦と相成ったわけであります。
予告時間を大分過ぎても、中々狙う物件の番が来ず
すっかりリラックスしていたわたくしですが
あれ、そろそろかなと思った瞬間から、途端に緊張。
大きな声で「5000万」とか言わなきゃいけないのだろうかとか
舌がもつれたり声がふるえたり聞き取ってもらえなかったりしたら
相当恥ずかしいんじゃないかとか考えただけで、ドキドキです。
と、そこへ不動産エージェントのT氏が現れ、隣の空席に腰を下ろし
「さぁ、そろそろだよ」と教えてくれます。
そしていきなり作戦会議です。
「いいかい、今日は多分あの家のオークションに参加するのは
君だけだ。しかし、他にも希望者は2組いる。
今日家が売れなければ、明日にでも条件付オファーを出すつもりで
今日もここに来ているんだ。
その人たちのオファー額は、言うことはできないけど君達の言ってた額より
ちょっとだけ多いんだ。でもちょっとだけだよ。
だから、やつらを怯ませるために
この前言ってた額をまず提示しようと思うんだけど良い?」
わたくしども、前夜の夫婦会議において、その額以上は絶対に出さないと
決めておりましたので、そこからいきなりスタートというのは
「え?」という部分もあったのですけれど、なにぶん緊張しており
それよりなにより「ってことは、あなたがわたくしの代わりに
言ってくれるわけですね?わたくしは、何もしなくて良いんですね」
ということに、より重心が移行しておりましたので、出た言葉も
「え、じゃあ、わたくしは、何もしなくて良いんですね。
あなたが、やってくれるんですね?」みたいな。
まぁ、他に競売に参加する人がいないのなら、4900万円でスタートしないと
5100万円の順番が自分に回って来ないみたいな心配はないわけですしと
お任せして、いよいよスタート。
自分以外に参戦者はおりませんが、現在の家主も来ている様子で
その額で売るわけにはいかんと、首を縦に振りません。
家主側の使者みたいな人が来て、もう少し上げてくれみたいなことを
言っておりますが、わたくし、これ以上は出せませんので
無理ですと言いました。
しかしながら、T氏が横で「この額じゃ買えないけど、あとちょっと、
あとちょっとで君達の家になるんだ。今額を上げないなら
明日にでも、別の人があの家を買う。出せるだろ、あと50万なら」
とあまりにしつこくいうので、仕方なく「じゃあ夫に電話して良いですか?」
と聞いたところ「もちろんだよ!ちょっと待ってください。
今パートナーに電話しますから」
と、会場全体に響き渡る声で実況中継してくれたお陰で
会場中の人たちに注目されるわたくし。
仕事中の夫に携帯で電話し、何とか夫を説得。
この時、そのまま電話を繋いでいれば良かったのですが、夫が納得した途端
緊張のあまりブツリと電話を切ってしまいました。
そしてT氏が高らかにハーフと叫ぶと画面の文字が5150万に。
しかし、敵はまだ納得できない様子です。
しばらくすると、また家主の使者がやってきて紙に書かれた数字を見せます。
そこには5180万の文字。
「あと30万、あと30万出せば、あの家は君達のものだ」
好々爺キャラだったはずのT氏が、何故か脅しをかけるように
「あと30万出せ」と言って来ます。
しかしながら、もうこれ以上は出せません。
出せるだろ、30万だよ。
いえ、出せません。
みたいな会話が続き、またもや夫に電話することに。
夫には、自分が拒み続けた言葉を自ら言い放ちます。
「あと30万、あと30万であの家がわたくしたちのものになるのです」と。
しかしながら「どれみ、僕達は昨日話し合ったじゃないか」と
わたくしがしたような抵抗を続ける夫。
自分の力で説得することを早々に諦め、海千山千の偽好々爺に携帯を渡すと
30秒で夫を説得。
画面の文字が5180万円に代わると同時に
あの「Now Selling」の文字が点滅し始めます。
そして例の「ファーストコール、セカンドコール、ファイナルコール!」
で振り落とされるハンマー!
会場中の人が、とても温かな拍手をしてくれ
思わずT氏をハグしたいくらいでしたが
ここでハグすれば絶対泣くと思い、ガッチリ握手で
本当に家を買ってしまったのでした。
ちなみに「ハンマーチャーンス」という言葉は
一度も使われませんでした。
どうやら和製英語に10000点。
ってか、日本でも今や死語ですかね。
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※ここに出てくる数字は、全て架空です。
また、イメージしやすように1ドル100円のどれみ換算法にて
日本円にて表示されております。