宮部みゆきさんの「楽園」を読み終わりました。
何ヶ月も前から読み始めて、一日数ページしか進まず、
何度も目を閉じたまま読めればいいのにと思っていました。
ずいぶん前から宮部みゆきさんの本は大好きで、この「楽園」の前の
作品「模倣犯」も読みました。
「模倣犯」では、あまりにも臨場感にあふれていて帰ってこない娘を思う
親の心情に完全に感情移入してしまい辛くて仕方がありませんでした。
「楽園」も決して面白いお話というわけではなく重い題材なのに、
それでも引き込まれていくのをとめられません。
親がわが子を殺めてしまう。
それは何故なのか?
人の心を読み取ることのできる少年の存在から物語は始まります。
現実の世界の犯罪と交錯しながら読者は思うでしょう。
自分の暮らしとは無縁なことなのか。
事故も事件も起こらないでいて欲しい。
でもその立場に立たされたら、自分はどんな選択をするのだろうか、と。
加害者の関係者が
「それなら、どうすればよろしいというのでしょう?」
と主人公に詰め寄るシーンがあります。
警察の厄介になるような娘や息子を持った家族は切り捨てる
こともできず放っておくこともできず、かばえば甘いと批判され
これ以上何事も起こらないように、
日々怯えて暮らすしかないのでしょうか?
答えのないまま話は終りにむかいます。
最後は宮部さんらしい、ホッと救われるエピソードで幕を閉じます。
何ヶ月もかかってしまった「楽園」でしたが
後半は一気に読みました。
多分三時間ほど本のなかに入ってました。
やっぱり本を読むのはいいですね。
自分の中に眠っていた何かが目覚めた気分です。
いい夏休みが過ごせたように思います。