みのる日記

サッカー観戦記のブログです。国内外で注目となる試合を主に取り扱い、勉強とその記録も兼ねて、試合内容をレポートしています。

リバプール × チェルシー

2007年01月22日 | サッカー: プレミア
06/07 プレミアリーグ 第20週: リバプール 2-0 チェルシー
(2007/1/20)

■ 山場を迎えたプレミア上位陣
プレミアの上位陣がリーグ後半戦で最初の重要な山場を迎えました。3位のリバプールが2位のチェルシーと、4位のアーセナルが首位のユナイテッドとそれぞれ激突。この4強が各々の現実的な目標に向かう上で、今後を大きく左右させる週となりました。

まずはこの日、リバプールがアンフィールドでチェルシーを待ち構えます。
リバプールは相変わらず内容に出来不出来があるとされながらも結果だけは確実に残してきました。取りこぼしをほとんどせずに勝ち星を積み上げていき、3位のボルトンまでをも3-0の快勝で直接叩き落し、その座を奪って今に至ります。
そして特筆すべきなのが失点の少なさです。アーセナル戦での3失点以降、チームは見事に立ち直りました。毎試合のように重ねられる無失点のオンパレード。リバプールが先週までのリーグ戦の11試合で喫した失点は、何とわずかに1でした。そうです、驚いたことに10試合も完封しているのですね。実際には冷や冷やさせられる場面が続出する内情だったらしいのですが、それでも絶賛されることではあると思います。
ただし、年始にこの自信が揺らがされることになります。その元凶はまたもアーセナルでした。FAカップ、カーリングカップと立て続けにアーセナルと戦うことになったリバプールは、レギュラーを何人か落としたとはいえ、どうしたことか2戦合計で9失点も食らうという苦い大敗をしてしまいます。そして追い討ちをかけるような衝撃がリバプールを襲いました。この試合で左MFマルク・ゴンサレスが約1ヶ月の負傷、さらにはサイドハーフの中心人物たるMFルイス・ガルシアが十字靭帯断裂で今シーズン絶望の重症。すでに戦線離脱中であるMFシッソコ、MFゼンデンに加え、レギュラー格の二人を中盤から失うことになったのです。もはやローテーションなどは言っていられないリバプールの今季後半戦が始まっています。

対するは、驀進中のユナイテッドに唯一食い下がる存在のチェルシー。ですが、チェルシーはスペインのレアルと同様に「どうしてしまったの?」と思わされる年末年始を過ごしていました。とにかくこのチームも結果が出せません。安定した勝負強さが最大の売りであるはずなのですが、徐々に不安定になっていき、最終的には3戦連続ドローと勝ちきれなくなってしまったのです。その最大の要因として、主将のDFテリーの不在が意外なほど多大に影響を及ぼしたとの見方が強まっています。腰を痛めて手術まで行うことになったテリーの欠場後、確かに守備陣にドタバタした感じがあるのは否めません。代役のブラルーズやパウロ・フェレイラの出来も、残念なことに十分に穴を埋めるまでには至りませんでした。守備の要としても精神的支柱としても君臨するこの偉大な選手を欠いて以降、あれほどの鉄壁さを誇ったチェルシーが4戦連続2失点と非常に苦しんでいます。DFギャラスやフートを放出した非難と、新たなセンターバックの補強への要望がクラブ側へ声高に叫ばれている現状です。

リバプールのこの試合のフォーメーションは4-4-2。
GKレイナ。DFは左からファビオ・アウレリオ、アッゲル、キャラガー、フィナン。MFは左からリーセ、ジェラード、シャビ・アロンソ、ペナント。FWはクラウチとカイトの2トップです。
前述した2枚いっぺんに脱落した中盤の左サイドにはリーセが入り、アウレリオが代わりにサイドバックを担当します。最前線で不動の定位置を獲得したカイトの相棒は、この日はクラウチとなりました。ベラミーはベンチスタートです。

チェルシーは4-4-2ではなく、4-3-3からのスタートです。この冬場にモウリーニョ監督はついに低迷に悩むシェフチェンコを下げさせ、待望論もあった4-3-3での先発布陣を試みるなどの変化を見せています。
GKチェフ。DFは左からアシュリー・コール、エッシェン、パウロ・フェレイラ、ジェレミ。MFは左からランパード、ミケル、バラック。FWは左からロッベン、ドログバ、カルーです。
最大の話題は、ついに守護神のチェフが頭蓋骨骨折から復帰を果たしたことです。まだヘッドギアを装着する痛々しい姿ではありますが、驚異の回復力でもってこの大一番に間に合わせてきてくれました。
一方でカルバーリョが発熱で急遽離脱との発表がありました。テリーはこの日も出場を見送っており、看板センターバックの二人が不在となる緊急事態です。エッシェンがウィガン戦に続き代役を務め、フェレイラとともに守ることになりました。さらにマケレレが出場停止処分で欠場です。守備面で多大な不安を抱えます。

試合は突然に動き出しました。フィナンからの単純な放り込みをクラウチがヘッドで空振り。これに動揺したか、その後方のフェレイラがやや慌てふためいてしまいます。そんな彼を、抜群の機動力を持つカイトが攻略するのは困難なことではありませんでした。カイトはこぼれ球をワントラップしてから、軽い対応のフェレイラを事も無げに一瞬で振り切ると、フリーな体勢から低く抑えたシュートを鮮やかに決めてみせます。一見すると何でもないような攻撃でしたが、カイトのプレーによってあっさりと得点に結びつきました。リバプールが先制です。

その後もリバプールが圧倒します。今度は中央のジェラードの放り込みから簡単にリーセがフリーに。またアウレリオのアーリークロスも、エッシェンのカバーがなければカイトが得点するところでした。
前半18分です。リバプールは左サイドのスローインからまたもクロスの放り込み。エッシェンがクリアしたボールを拾ったペナントが、チェフのセーブも及ばない見事な豪快ミドルシュート!ゴール枠内上いっぱいに飛び込んでいき、リバプールの追加点となりました。解説の粕谷さんが「詰めが甘い」とペナントをフリーにさせていたコールに苦言を呈していましたが、私もその通りだとは思います。ですが、この素晴らしいシュートを沈めたペナントを純粋に褒めたいところです。「大失敗の補強」とのレッテルを貼られ続けてきたペナントの、意地の今季初ゴールでした。よかったですね。

さらにチェルシーには暗雲が立ち込めます。2失点後に、足をひねっていたロッベンが負傷退場を余儀なくされました。ライト・フィリップスと交代です。追いつきたいところで攻撃の最大のキーマンを欠く痛手となりました。そのままチェルシーは見せ場を作ることなくハーフタイムを迎えます。

攻勢に出たチェルシーが後半のほとんどの主導権を握りましたが、決定機が続出するのはリバプールの方です。
後半16分にはペナントのカットから、リーセがゴールバーを直撃する強烈なロングシュート。エッシェンの後方からの妨害で脆くもバランスを崩したクラウチは、このはね返りを押し込むことができませんでした。
2分後には、左サイドからのクロスにカイトが勢いよく突進してダイレクトボレー。外れはしましたが、気迫あるプレーです。
後半31分、ジェレミの弱々しいクリアミスがフリーのクラウチへ。後半43分、ダイレクトではたいたジェラードの前方へのラストパスが体勢十分のカイトへ。しかし、両者ともシュートはゴール上にふかしてしまい、決めきることができませんでした。

チェルシーは低調のまま何も出来ずに試合は終了。リバプールの文句ない完封勝利で幕を閉じました。

■ 大きな起点となっていたリバプールの左サイド
普段の彼らからすればあり得ないかたちで早々に失点してしまったチェルシー。ユナイテッド戦まで12試合も先制点を許さなかったあの勇姿が遠い過去のように感じられます。
この先制後もリバプールが次々と得点機を作り上げていたのですが、これもチェルシー側に非があったと見受けられました。
この日のチェルシーの4-3-3は整然とされたものではなく、いびつな形状でした。右MFバラックが中央に絞って司令塔気味に構えているのです。ランパードが左サイドハーフ、ミケルとバラックがセンターハーフという、4枚の中盤から右サイドハーフを抜かしたかのようなまま戦っていました。
このポッカリ空いたサイドでアウレリオ、リーセ、ジェラードに対処する選手が誰もいないのです。ジェレミとカルーの及ばないところで彼らは自由に活動しました。そしてこれがそのまま、サイドバックが本職ではないジェレミ一人に振りかかっていました。孤立したジェレミが二人に囲まれ、あえなく自陣で奪われる場面も出現。リバプールにとっては左サイドこそが大きな起点となりました。
リバプールの2点目などはその集大成のようなものです。ジェレミが簡単に1対1の局面を作られ、かわされ、フェレイラがかろうじてクリアしてスローインに。続いてこのサイドでスローインを受けたジェラードを前にして、バラックはただの傍観者に過ぎず、やすやすとジェラードにクロスを上げられて失点に結びつきました。コールがペナントのシュート前に詰めなかったのが罪ならば、バラックもまた同罪になるべきだと思います。
ちなみにジェレミ自身のクリアミスでもって締めた後半31分まで、チェルシーの右サイドはチェルシーの大きなピンチに7割近くも関与していました。

チェルシーは2失点後からは次第に攻撃へ移れることになりましたが、これは単純にシャビ・アロンソの出血による長い一時退場が原因だったと思います。リバプールはカイトをMFに下げ、数的不利のために守勢に回らねばなりませんでした。しかしながらチェルシーは一度もいいかたちを作れません。
この日センターハーフに起用されたミケルが、まるで物足りない攻守の動きで大ブレーキに。バラックも上記通り、司令塔として存在するばかりです。よって中盤の守備を一身に引き受けたランパードは、飛び出していくこともままなりませんでした。
前方ではドログバがキャラガーの徹底マークを振り切れません。カルーもライト・フィリップスもたやすくボールを渡してしまいます。バラックのピンポイントのロングボールを中心にパスはよくつなぎましたが、前半は手詰まりでした。

後半になるとより一層チェルシーは詰まってしまいました。リバプールが逃げ切りを図ってきたためです。リーセとアウレリオは大幅に攻撃を自重。ジェラードとシャビ・アロンソもDFラインの前から離れません。カイトをやや下がり目に配し、4-4-1-1のような布陣でリバプールはカウンター狙いに転向しました。
もちろんチェルシーが支配していきます。ただし相変わらずドログバが封じられている上に、活発さの見られない中盤がどん詰まりの渋滞と化せば、もはやできることは左右へのロングボールしかありませんでした。
チェルシーにとって唯一の光明だったのは、後半に突如として際立ったライト・フィリップスの勢いです。力強く抜き去ってサイドを深くえぐるシーンも作り出してくれました。でも、彼一人では到底後が続きません。
終盤にはミケルに代えてシェフチェンコを投入し、攻撃的な4-4-2にもしてみました。しかし実に残念なことに、今のシェフチェンコが切り札にもなり得ないのは周知の事実です。この試合でも彼は中盤の位置でさまよってはリバプールの脅威とならず、結局一度もプレーに関わることがありません。リバプールはそんな彼など一切放っておいて、やはりドログバこそを抹殺して消すのが効果的でした。
こうして最後の最後まで、チェルシーの攻めは停滞しっぱなしとなっていました。

■ 一番の殊勲者としてあげたいキャラガー
リバプールについては調子の乗ってきたベラミーをぜひ見たかったのですが、クラウチが先発となりました。クラウチはさすがの空中戦の優劣から、ポストプレー役となっていた場面が何度かありました。ただし注文をつけさせていただくと、軽いコントロールや軽いバランス感を克服し、どっしりと安定したプレーを心がけてほしいところです。さらに欲を申し上げればやはり運動量がほしいです。守備に駆けずり回れとまでは言いませんが、この試合でどうにか起点になろうと奔走していたドログバを見習ってほしいとは感じました。結果として、存在感を見せるべきカウンタースタイルへの移行後は、ほとんどその始点になることは叶いませんでした。

もう一人のFWカイトの方はと言えば、こちらは素晴らしい出来でした。あれだけ守備に攻撃にと精力的に活動してチェルシーを振り回した姿には、明確な高評価が与えられたのでしょう。評判通りの内容の躍動で、間違いなく勝利の立役者になったと思います。

あと一人、出色の出来だった選手として挙げなければならないのがDFキャラガーです。時として二人のマークさえものともしないドログバを、見事なまでに単独でも抑えきりましたね。ドログバへ向けられたハイボールには判断よく体を寄せて入れさせず、ドログバが左右に流れようともしつこく追って自由にさせません。明らかにドログバが絡んだプレーの計8回はいずれも、フィナンが1回、キャラガーが7回と全て阻止しています。つまり、キャラガーはほぼ完璧に自分の仕事を遂行したと言えるでしょう。ドログバという、チェルシーにとっての最後の希望を隔離させた貢献度は計り知れません。カイトは確かに素晴らしかったのですが、度々のコントロールミスなどから起点になりきることはできていませんでした。一方のキャラガーは、90分間全く不安定さを見せないパフォーマンスで完封に直接関わりました。こうした面から、個人的には一番の殊勲者として賞賛したいのはキャラガーなのです。

■ 戦闘意欲が欠如していたチェルシー
今季の冬のチェルシーは誤算が続いたように感じられました。畳み掛けるような攻撃を目指し、これまで試合途中のジョーカー的な役割であった4-3-3を満を持してメインにも用いましたが、攻めの物足りなさがさして改善されたわけではありませんでした。やはり連動性に乏しくて単発になりがちなのは変わらず、ロッベンが水を得た魚のように蘇っただけです。結局得点は、秋頃に引き続いて驚愕の個人技やセットプレーによるものばかりが中心でした。
さらにそうした得点に頼らなければ、引き分けはおろか敗北になってしまう試合が続きました。冒頭でも紹介したとおり、自慢の守備力の輝きが失われたのです。どんなかたちであれ奪った得点を守りきるという、これまでの確固たるスタイルが崩されました。確かにテリーは替えの利かない大黒柱ではあります。それでも彼一人がいなくなっただけで、これほどまでに後方の土台が大きく揺らいだのは予想以上のことだったのでしょう。

そんなチェルシーも先週のウィガン戦では4-0の圧勝。現地の報道でも「久々の完全勝利」といった類の活字が躍り、文句をつけさせない内容だと言わんばかりにチェルシーの復活の予感をほのめかしていました。
ですが果たして、本当にそのような内容だったでしょうか。実際には一人でチームを牽引していた神出鬼没のロッベンに頼りきり、それにランパードが効果的に絡むだけといった攻撃が大部分を占めていた、というのが私の感想です。ウィガンが守備でも低調なのに、一体どれだけ崩しきれた場面があったでしょう。4得点中、3得点はウィガンのとんでもないミスによって奪えたものです。純粋に自身でもたらした得点とは、ようやく試合終了間際での放り込みからのものというのでは、あれほど支配したにしては力不足の感が否めません。
肝心の焦点である最終ラインにしても、センターバックのエッシェンがヘスキーにパワーで競り負けなかったことだけが評価点だと思いました。あの試合のマケレレとバラックの中盤における守備力には凄まじいものがあって、ウィガンがサッパリな出来の攻めに終始していたことも合わさって、そもそも最後尾への危険は少なく出番がさほどなかったためです。完封したとはいえ、一概に最終ライン自体の評価を定めるのは困難で、実態は不明瞭のままだと感じられました。
よって、私は依然としてチェルシーの先行きにいささか不安感のある見方を変えることができませんでした。

それでも私はここ最近、密かにチェルシーの挽回を祈るようになっています。最低でもユナイテッドに追いついてはほしい、そんな気持ちが日増しに強まっていました。それにはチェルシーに対して少し不憫に思うところがあるからです。
ご存知の通り、低迷を機に、チェルシーに関するピッチ外での報道が実に多く見かけられるようになりました。具体的に記載するつもりはありませんが、マイナスイメージ的な要素を含むものが大半です。明らかに表面化してしまって認めざるを得ないレアルの内部分裂とは異なり、チェルシーのそれは、信頼性に乏しいものだと日が経つにつれて知り得ます。その他にも勝手な憶測や批判めいた記事が溢れ、日本でも度々目にするようになり、チェルシーファンではない私でさえ少々嫌気がさしています。これまで最強の座にいたチームへのやっかみでしょうか、生意気な発言をするモウリーニョ監督への当てつけなのでしょうか、ここぞとばかりに一方的に否定するように叩く姿勢もいかがなものかと思うのです。
こうなったら逆に、俄然としてチェルシーを応援したくなるというのが私の本音です。何はともあれ勝利をものにし続けることで、一斉に雑音をふさぎ込んでしまえとチェルシーに願うようになりました。このリバプール戦も、実はチェルシー側にかなり比重を置いて観ていました。

その思いもむなしく通じず、この惨憺たる内容による完敗です。多大にショックを受けました。根っからのチェルシーファンの方にとっては「戦力が整わなかったから仕方がないよ」では到底済まされなかったであろう、かなりひどい試合をチェルシーはしてしまいました。
確かに個々の能力は、本来のピーク時に比しては大分劣っていました。ですが、それを指して「惨憺たる」などと表現しているのではありません。私だってカルバーリョまでもが欠場と判明した時点で、引き分けすら容易でないことがわかります。カルーもミケルもライト・フィリップスもフェレイラも、これまで代役としては少し不十分であったことも重々承知しています。それでリバプールという難敵相手に懸命に戦って負けたのであれば、ここまでの問題視には至りません。それこそ今回ばかりは仕方がないよ、です。能力的な部分を咎めているわけではないのです。この状況下における選手たちの危機意識のなさ、覇気のなさを指摘したいのです。
ジェレミ、フェレイラ、エッシェン、バラック、ミケル、ランパード、カルーと、よくこれほどまでに攻守で軽率なエラーを繰り返しました。「よくやった」とは決して言えない、意識面での気後れがほとんどの選手に序盤から感じ取れる、活発性と集中力のなさでした。引っ張っていくべきランパードの表情も、わずか一週間でまるで別人になったかのように冴えていません。試合全体を通して、何とかしなければならないという使命感だけ前面に押し出してくれていたのはドログバだけです。2点リードしていてなお、味方に痛烈に叱咤激励するジェラードの存在がうらやましくも思えました。キーパー二人を一度に失った危機的状況の中、バルセロナを破るほどに一致団結する気迫さを見せたあの姿はどこに行ってしまったのでしょうか。それもこれも、テリーという精神的リーダーの不在だけで済まされるものなのでしょうか。
この内容がモウリーニョ監督の責任となり、彼が批判されてしまう要因となるのであれば非常に酷なことです。モウリーニョ監督はバラック依存がやや失敗気味だったのを除けば、手渡された手駒、残された手駒を何とか有効活用し、どうにか工夫を凝らしてうまく用いているというのが私の感想です。中傷や雑音にも耐え、采配面でも精神面でも実によく戦っていると思います。この指揮官を裏切るような選手たちの集中力、ならびに戦闘意欲の欠如からは悔しさを与えられます。

こう反省点を挙げるばかりでは何ら建設的でもないので、今後のチェルシーに希望することも、浅はかな考え方ながら少しだけ記載したいと思います。
もう、4-4-2でも4-3-3でも崩しきるまでの攻撃は望めない現状です。熟成を待っていられるだけの猶予も、もはやないはずです。今チェルシーにあるのは個人技ばかりでしょう。ならば一層のこと、この日の反省点となった個人意識の強弱が重要視されそうです。
そしてこの個人技を見せられるのはドログバ、ロッベン、ランパード、エッシェンです。彼ら4人の力を100%発揮させられるよう、チーム全体でフォローしてあげてほしいのです。システムも、サイドでこそ輝くロッベン一人のためだけに4-3-3を選んでしまって構わないとさえ思っています。
他の選手も、黒子に徹してでも彼らを活かすための働きに終始してほしいところです。例えば攻撃でいい所を見せられないバラックも、ウィガン戦では左サイドにまで出向く抜群の守備力を随所に披露し、ロッベンの真下のランパードが存分に押し上げられる影の立役者となっていました。バラックの攻撃の潜在能力は確かに捨てがたいのも事実ですが、彼の覚醒を待つだけの猶予もまた、もはやないはずだと思います。今後もランパードを活かしきる存在になってほしいのです。間違ってもこの日のように、ファンタジスタのような振る舞いでランパードに多大な負担をかけるべきではないと思われます。
またカルーにしても、レディング戦では3トップのウイングの一角ながら、自身が中央に切れ込んで囮となってワイドに開くドログバをうまく活かしていたのが印象的でした。実際にそこが始点となってドログバの2点が生まれています。しかし続くフルハム戦では逆に、2トップから自身がワイドに開いてフリーでもらいたがり、結果として1度きりしかチャンスメイクを出来ませんでした。現時点では自分から打開する能力は乏しいことを認め、潰れ役や撹乱役を引き受けて少しでもドログバのマークを手薄にしていってもらいたいのです。
課題の守備面においても、そろそろテリーが戻ってくるのでしょう。しかし、テリー不在ながらもようやく安定したヴィラ戦も忘れてほしくはありません。あの日のヴィラは結構引き気味でしたが、それを差し引いても、中盤から最終ラインまで呼応するようにバランスのよかった守備がさすがでした。それまでが嘘であるかのように落ち着きを取り戻していたのです。あの集中力と連動性の高さは、ぜひ継続されていくべきだと感じられました。

この日の結果、仮に好調のユナイテッドがアーセナルに勝ってしまえば、その勝ち点差は9となります。その場合、もはや奇跡へ向かって逆転に挑まざるを得ない状況になってくるかも知れません。それでも次戦から、どうかこの試合の分まで奮発して意識だけでも盛り返してくれることを強く願っています。自信と覇気さえ失わなければ、何が飛び出すかわからないチームであるはずですから。
この日を戒めとして忘れずに悔い改め、怒涛の逆襲を見せる終盤戦へつながることに期待しています。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-08-19 22:15:46
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