みのる日記

サッカー観戦記のブログです。国内外で注目となる試合を主に取り扱い、勉強とその記録も兼ねて、試合内容をレポートしています。

バルセロナ × チェルシー

2006年11月01日 | サッカー: 欧州CL
UEFA チャンピオンズリーグ 06/07 第4節: FCバルセロナ 2-2 チェルシー

試合は開始早々に動きます。前半3分、デコは中盤でボールを奪うと、ロナウジーニョとともにサイドを駆け上がり、守備に入ったマケレレとブラルーズを左サイドへ釘付けにします。そこから一転して、デコはキープをしつつ中央へ。マークが手薄になったところを見逃さず、華麗なミドルシュートを決めて、どうしても勝利の欲しいバルセロナへ待望の先取点をもたらします。
そのデコは、ヒールパスなどのトリッキーな動きで相手をかく乱してリズムを作ろうとしますが、他の選手がなかなかトップフォームに入ってこれません。中央に起用されたモッタは攻守に不安定な働きを見せて、後半早々に交代させられる残念な結果。ロナウジーニョはチェルシーの右サイドバックであるブラルーズに、前回の対戦に続いて執拗なマークにあい、動きを封じられています。トップを張るグジョンセンにもボールが渡って来ず、起点となれません。中央からのチームプレーで、唯一の決定機となったのは、シャビがロナウジーニョとのワンツーによる突破を果たしたものだけでした。
そんな中で1人だけ輝いていたのはメッシでした。右サイドを深くえぐってロナウジーニョへの決定的なラストパスを繰り出せば、その後も自身で中央へと流れるような切れ込みで存在感を放ちます。波があるのか、後半はやや消えていましたが、応対させられたアシュリー・コールは相当に手を焼いたのではないでしょうか。

リードされたチェルシーですが、ここまで3連勝の余裕からか、あまり攻め急ぐこともありません。エッシェンの活発な前後への動きを軸に、静かに逆襲を狙います。

後半に入ると突如、チェルシーにチャンスが続発します。ロッベンのもとへ、立て続けに決定機が生まれました。
後半4分、右サイドのエッシェンからのクロスに、ねじった体勢からのヘディングシュートはキーパーに防がれます。その1分後には、今度は左からのランパードによる、見事なグラウンダーのロングクロスをフリーで受けましたが、キーパーの飛び出しのプレッシャーに負け、これをふかしてしまいました。ロッベン、今日も決定力を見せられません。シェフチェンコ不在のためFWとして登録されたロッベンは、得意であるサイドに張ってチャンスメイクをする立場から逆に、今日はフィニッシャーとしてのポジションとなった訳ですが、残念ながら結果を残すことはできませんでした。

続く2分後、驚きのゴールが入ります。チェルシーの中盤からの放り込みにオフサイドギリギリで抜けたランパードは、ゴールラインの間際までボールを保持します。そして、全く角度のないところでしたが、そこから反転と同時に放ったループキックは、キーパーの頭上をあざ笑うかのように微妙な回転で弧を描き、ゴールネットへと吸い込まれていきました。あれは狙ったのでしょうかね・・・。狙ったとしたら凄い技術と集中力ですね。とにもかくにも、チェルシーは自分たちの時間帯のなかで、同点となる得点へ結びつけることができました。

ですが後半13分、バルセロナはロナウジーニョが一瞬のスキをつきます。マッチアップするブラルーズがボール奪取へ飛び込んできたところに、ロナウジーニョはそれをワンタッチで抜き去って、この日初めて左サイドの侵入に成功しました。そして中央に突進してきたグジョンセンへ、アウトサイドのキックによる、これ以上ないラストパスを通します。これをグジョンセンが蹴りこんで、勝ち越し弾。再び1点リードとするアシストを綺麗に決めてみせました。
この試合、ロナウジーニョを徹底マークし、前を向かせずにほぼ完封させる働きを見せていたブラルーズでしたが、このワンプレーのチャレンジだけは結果的に軽率な守備となってしまいました。本人も、とても悔しかったのではないでしょうか。

今日の試合は両軍、決定的なシュートを外したり、パスなどにもミスが出ていたのは確かです。しかし、それ以上に不必要なファールの続発が、このせっかくのカードという注目度に比べては迫力のない試合とさせてしまい、水を差していたというのが一番印象に残りました。
発端はランパードへと出された警告でした。この場面、アシュリー・コールが近くにいて、どちらの選手に警告が出されていたのかがやや不明瞭な感じでした。そして10分後、そのコールが警告を受けるファールを犯します。これでコールは2回目の警告、すなわち退場ではないかと思い込んでいたバルセロナの選手たちが、大挙して審判に問い詰める事態となり、ピッチはやや混乱気味の状況に。これが引き金となったのか、負けられないチーム事情のせいで、どこかナーバスな感じであったバルセロナ側のプレーが一層荒れてきます。それに対してチェルシーサイドも、しなくてもいいような際どいプレーが見え始めてきます。
イエローカードも乱発されました。大量のカードが出された前日のセリエAのミラノ・ダービーに引き続いて、この試合を裁いたのはイタリアのファリーナ主審です。今日も計10枚のカードを出すというジャッジング。少し試合のコントロールは難しかったでしょうか。
退場者が出るという最悪の事態には至りませんでしたが、ラフプレーの応酬でことごとく流れが寸断されて、見ごたえに欠けるゲームとなってしまいました。期待を持って観戦した対決だったために、少し残念な気がしますね。

後半ロスタイム、チェルシーのカウンターは、攻め上がったエッシェンによる前線への浮き球から。いつの間にかオーバーラップしていたテリーがそれを落とすと、ドログバが突っかかってきたマルケスを事も無げにワントラップでかわして、フリーの体勢を作り、土壇場で再び同点となる一撃を決めました。ドログバはほとんどこの試合、存在が消えていたわけではありましたが、最後の最後でこの決定的な仕事。さすがですね。

これでチェルシーは対ミドルスブラの敗戦以降、2ヶ月以上も黒星がなく、しかも公式戦10勝2分けという成績です。新戦力による編成の変更や、故障者の不在をものともしない、この勝負強さには目を見張るものがありますね。
さあ、一方のバルセロナですが、後がなくなりました。このホームで勝ち点3を逃してしまったのは、大きく響きますね。目下、2位争いのライバルであるブレーメンは、レフスキ・ソフィアを相手に順当勝ちを収めて勝ち点を7とし、勝ち点5のバルセロナは3位に転落する結果となってしまいました。次節、格下相手のレフスキ・ソフィア戦はもちろんのこと、最終節で直接対決するホームでのブレーメン戦では、何よりも勝利が求められます。


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