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ヴァント、リューベック大聖堂のブルックナー2

2022年08月14日 12時23分58秒 | ブルックナー
先週は、お盆休みで岡山の実家に帰省しておりました。帰省と言っても、もう誰も住まなくなって15年ほど経過しており、とてつもなく劣化が進み、水道も満足に使えず、家電も冷蔵庫に加えて、昨年に遂にエアコンも壊れ、とても現代人らしい生活ができないような家であります。不要物の廃棄もしましたが、これが多すぎてなかなか進まないのですねえ。暑さで汗まみれにながらゴソゴソしておりました。三日間の滞在でしたが、疲れて神戸に帰って来ました。

まあそんなことで、今回は前回に続いて、ギュンター・ヴァントのブルックナーです。前回、交響曲第4番を久々に聴き、他の演奏も聴こう、ということで、一番最初に聴いた交響曲第9番であります。ヴァントのブルックナーは、最晩年のBPOとの素晴らしい録音に注目が集まりすぎて、といっても近年は急速に忘れられつつあるのですが、それ以前のNDRやケルン放響との録音はほとんど触れられてないのかな、と思います。

交響曲第9番の録音は、これもたくさんありまして、全部で9種類あるそうです。①1979ケルン放響、②1979シュトゥットガルト放響、③1988.6NDR、④1993.3ベルリン・ドイツ響、⑤1993NDR、⑥1998.4NDR、⑦1998.4MPO、⑧1998.9BPO、⑨2000.11NDRです。これほどあるんですねえ。朝比奈さんは8種類。ということは、ヴァントが世界一となりますかね。まあ、1990年代に鉱脈を掘り当てたように、ヴァントの演奏を掘り尽くした成果でしょうねえ。

それはさておき、今回の演奏は③であり、1988年6月24,26日リューベック大聖堂でのライブです。教会での録音ということで残響が大きいのが特徴で、ヴァントはそれがあまり好ましく思っていなかったようで、それで④の再録音を行った、と言われています。それに代表されるように、この演奏をこの残響をもって評価しないような向きがあるのです。でも、私はほとんどそれは気にならないし、残響のおかげでこの演奏がマイルドになっている、と肯定的なのです。  

加えて、ヴァントって、例えばモーツァルトやブラームス、そしてベートーヴェンでも非常に即物的、または客観的な演奏が多いのに、ブルックナーではそんな印象はないのですね。この9番でも、非常に熱気ムンムンの気持ちの入った演奏を聴かせてくれるのでありました。私は、ヴァントの演奏を聴いたのは、この9番が初めてであり、そんなヴァントの演奏に強力に惹かれていったのでありました。それゆえ、この9番の演奏には、思い入れがあるし、かのBPOの演奏も、オケの力はたいしたものですが、私的にはこのNDRとの演奏をまずはあげたいのでした。

第1楽章、ゆったりとしたテンポでスケールの大きな演奏が始まる。残響に大きさもこの演奏を雄大な印象にし、金管の低音も地の底からの響きのよう。3分あたりにトランぺっトが音を外すが、ヴァントの不機嫌そうな顔が目に浮かびますね。そして、力強い推進力で曲が熱く進む。そして。確かにBPOの音とは違うが、NDRは、少々粗さもあるが多少暗めで剛毅な演奏は、とてもいい。ヴァントも実に気持ちの籠もった演奏に終始しています。これもいい。第2楽章スケルツォ。私はヴァントのスケルツォは好きです。演奏のリズム感がとても好き。オケもヴァントのもとの懸命さがとてもいい。そして第三楽章。この演奏はすごい。初めて聴いたときからこの楽章のベストと思っていました。まさにヴァント入魂の演奏。ゆったりと進むが、残響の大きさもこの演奏をより雄大なものにしているよう。それにしても、表情も豊かで深遠。旋律も存分に歌い、慈しむように展開されます。これぞブルックナーの白鳥の歌であります。

もう35年以上も前から親しくさせていただいている方が、県北に引っ越されたので、岡山に帰省しているときに、お会いし津山に少し行きました。暑い中、津山城などをご一緒しました。昼食に、大手町の幸村さんというお店で、海鮮丼をいただきました。これが850円とは思えぬたくさんの海鮮でびっくりびっくり。またぜひ行きたいと思いました。
(RCA 60365-RC 1988年 輸入盤)

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