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『亡き子をしのぶ歌』

2024年06月30日 23時54分00秒 | マーラー
前々回、梅雨はどうなったんだ!と言いましたが、先日梅雨に入るや否や、まあよく降る雨でございます。警報が出るか、とかの日もあったりで、まあ梅雨らしい様子になってきたのは、よかったのかどうか。これから二遊間くらいはこんな状態が続くんでしょうねえ。それが終わると、待ちに待った夏がやっています。「太陽が昨日より、眩しく照りつけ始めたら、真っ白なTシャツに今すぐ着替えて君を誘いたい」って歌が昔ありましたねえ。明日から7月です。

まあ、そんなところで今回はマーラーであります。歌曲集『亡き子をしのぶ歌』であります.私はマーラーの交響曲もよく聴きますが、それらも含めてマーラーの声楽曲はどれも大好き。『大地の歌』、『千人の交響曲』などや『リュッケルトによる5つの歌曲』、『子どもの不思議な角笛』なども大好き。この『亡き子をしのぶ歌』も『さすらう若人の歌』や『リュッケルト』などと一緒に収められていることが多いので、区別なく一緒に聴いてしまうことが多いのでした。

とは言え、この『亡き子をしのぶ歌』は内容的には、かなり深刻な歌で、マーラーに対して妻アルマが作曲を止めさせようとしたことや、完成の二年後にはマーラーの長女が病死するということなど、よく知られていることですね。私はあまりの内容なので、歌詞は気にかけず、歌と音楽のみを絶対音楽のように聴くようにしていますが、それでは本来の意味やよさは、理解が足らないのかも知れませんねえ。

この歌曲は、男声と女声、バリトンとアルト又はメゾソプラノでの演奏があります。男声も悪くはないのですが、女声大好きの私としては女声を推したい。今回はジャネット・ベイカーの歌唱ということで。ベイカーは、管見の限りでは①ホーレンシュタイン1967年、②バルビローリ1967年、③バーンスタイン1974年の三種類があります。ベイカーのマーラーの歌唱はどれも私は大好きなんですが、この中ではバルビローリとの演奏を取り上げます。オケはハレ管であります。このCDは、もう30年くらい前に買ったもの。クレツキ指揮の『大地の歌』も収められている2枚組であります。

私はバルビローリのマーラーは比較的よく聴きますし、バーンスタインなどの演奏よりもいいな、と思うことも多いのでした。名盤と言われるBPOとの9番は、いつもいいな、と思っています。バーンスタインに比べると、幾分あっさりとしているし、それでいて心を込めた情熱は負けないのでありました。マーラーの音楽の感情の変化をたいそう劇的に、それも巧妙に色づけして、表現しており、この亡き子をしのぶ歌でも、その名人芸とも言える指揮は、とても心に迫ってくるのでありました。バルビローリの指揮については、また別の機会に述べるとして…。

ベイカーでありますが、この人のことを熱心に聴きたくなったのは、このCDのこの曲のあとに収められている『リュッケルトによる5つの歌曲』がきっかけでした。それについては、もうかなり前に少し言及したことがあります。ベイカーの魅力は、非常に繊細な歌唱なんですね。ときおり聴かせる弱音の美しさが、とてもいいのです。それに、言語のたいそう明瞭であることも、この声量の変化にもまったくもって問題なく対応できるのありました。また、表情の豊かさも魅力ですねえ。マーラーの音楽の表情をうまく歌い上げています。常に安定した歌唱ですが、前述の歌声の弱音での表現により、悲しみや苦悩を心に染み込むように歌い上げているのは、絶品であります。

「いま太陽が燦々と昇ろうとしている」では、不幸の翌日の情景が感情を抑えた歌唱で胸に迫ってきます。「いま私はわかった。なぜそんな暗い炎を」、前半は穏やかに、後半は気持ちの高揚を巧みに歌い分けながら、打ち消すことのない悲痛な出来事を表す。「おまえたちのおかあさんが戸口から歩み入るとき」ではいなくなった部屋の情景。声高に歌い上げるところが悲痛さを表す。「よく私は子供らはただ散歩に出かけただけだと考える」、力強く歌う中に、死を否定することを無理にでも信じ込もうとする悲しさが表現される。「こんな嵐のような天候の中で」では、現実を受け入れることを非常に厳しい歌唱で表す。終わりには、穏やかな弱音での諦観のような気持ち微かに歌われるのでありました。

今夜から明日の午前中にかけて、天気予報では大雨となっています。うーん、警報などが出たり、電車の運休などもあるんでしょうかねえ。明日は、大阪に行かねばならない。月曜日ってこのところ雨が多いですねえ。
(EMI CZS762072 1987年)

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