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ポリーニとアバドのベートーヴェンピアノ協奏曲

2022年07月31日 23時53分51秒 | ベートーヴェン
先週は、ふたつのものが壊れました。その1。コレッリの合奏協奏曲(イタリア合奏団)のCD。割れました。以前にも寺神戸さんのCDが同じことになった件を述べましたが、同様であります。その2。もう15年近く愛用していたSONYのノイズキャンセリングのイヤホン(MDR-NC300D)、朝通勤で聴いて、夕方帰宅の電車で聴こうとしたら、左から音が出ない。それ以来静寂の状態が続いています。前者は、共通点としてはDENON製ということ。後者は、とても困っています。どうしましょう。

困った困ったで、今回は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37。マウリツオ・ポリーニとクラウディオ・アバド指揮のBPOの演奏。1992年のライブ録音ですね。過日、梅田の中古やさんでこの両者の全集3枚組を780円で買いました。実はポリーニのBOXで1-4番は持っていたのですが、『皇帝』がなかったので、これだけ単品で見つけるのは難儀だし、780円の値段ですので、まあいいや、ということで買ってしまったのでありました。

ポリーニのベートーヴェンのピアノ協奏曲は、VPOとのものもあります。3.4.5番はベーム、1.2番はヨッフムとの演奏。1970年代後半から1980年前半にかけてのものです。それに対して、アバドとの演奏は、50才とならんという壮年期のものであり、一方のアバドもBPOの常任指揮者となった直後の上り坂の60才、元気溌剌のころでありました。前者の録音は、ふたりの巨匠と気鋭のピアニストでしたが、このCDはふたりの全盛期の演奏家によるものでありましょうか。因みに、アバドは2004年にアルゲリッチとの録音もあります。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲と言えども、古楽器の進出が著しいのですが、この演奏はやはりモダン楽器の最高峰の演奏と言えます。例えば、名盤の誉れ高いバックハウス盤などに比べると、非常に現代的であり、至極洗練された演奏ですよねえ。その分、気品や優美なところは劣りますが、1990年代以降の演奏としては、まず第一に上げられると私は思っています。

まず、感じるのがアバドとBPOの引き締まった演奏です。非常に明るい色彩美を感じますが、勢いのあるアグレッシヴな印象を受けます。またBPOもスキのない巧さを感じさせると同時に、豪快な演奏を展開しています。アバドも元気一杯でありますねえ。そしてポリーニも、オケに勝るとも劣らない勢いのある演奏であります。ピアノの音色も美しいし、一音一音が粒が揃い明晰。そして、アバドと張り合うように気迫のこもったピアノであります。この人、月並みですがやはり巧いですねえ。ただ、もっと陰影が欲しいな、というところはありますがねえ。

第1楽章、冒頭からBPOの明快な演奏が展開。たいそうな気迫が感じられるところも爽快です。そしてポリーニのピアノも強靱なタッチで始まり、BPOを圧倒するような演奏が展開される。実に、力感にあふれ、それでいて安定感抜群で、聴き手を釘付けにする迫力であります。さすがポリーニであります。第2楽章、一転してベートーヴェンの優しく夢見るようなラルゴ。アバドもよくBPOを歌わせる一方、ポリーニのピアノも澄んだ美しさで語りかけます。ここでも打鍵は強靱。それでも、この楽章の幻想的な美しさを語って十二分であります。とても鮮やかに歌い上げます。そして第三楽章。アバドとポリーニの気迫一杯。圧倒されそうです。BPOも全力、しかり、ポリーニも凄まじいピアノを展開。息つく暇もないほどの演奏。ライブならではの高揚感などでは片づけられない迫力で、一気に駆け抜けていく様は、陰影がどうのこうのなどとは言ってられない凄さでありました。両者、全盛期のガチンコ勝負であります。

とはいうのものの壊れた後者は、どうしよう。通勤ではノイズキャンセリングでないとねえ。今やヘッドフォンはワイヤレス全盛。ポータブルCDプレーヤーで再生しているので、これにはトランスミッターを付けなければ、Bluetooth接続は無理なんですね。有線の方がいいのですがねえ。悩ましいことであります。
(DG 439 770-2 1994 輸入盤)

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