群発頭痛が99%改善! 帯状疱疹ワクチンで治療

脳血管障害、アルツハイマー型認知症、多発性硬化症、顔面神経麻痺、片側性眼瞼けいれんなど。こうした病気に帯状疱疹ウイルスが関係している可能性がある

これは 見逃せない

森本毅郎 スタンバイ!

群発頭痛が99%改善!帯状疱疹ワクチンで治療

一口に頭痛と言っても、いろんな種類があります。その中で「人類にとって最もつらく激しい頭痛」と言われているのが「群発頭痛」。これに対して意外な薬が効く、ということがわかってきたので、2月24日(月)松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で紹介しました。

★群発頭痛とは?

今回注目するのは「群発頭痛」と呼ばれる頭痛です。激しい痛みに1?2ヶ月、繰り返し襲われる「群発」する頭痛です。あまり聞き慣れないかもしれませんが片頭痛などと同じ慢性頭痛のひとつで、日本人の、5万人から40万人が苦しんでいると言われています。

その痛みは「人類にとって最もつらく激しい」と言われていて、具体的な症状としては、激しい痛みが片側の目の奥に起こります。「目の奥をえぐられるような痛み」や「柱に頭をぶつけたくなるような痛み」と表現されるような激しい痛みが出るのが特徴です。涙が出て、目が充血し、鼻水がでるなどの症状を伴います。

群発頭痛は多くの場合、1~2ヶ月程度、激痛が続き、痛みが出ると1時間は続きます。痛みは、連日連夜、左右どちらかの目の周りや側頭部に出てきて、主に夜、寝る時に症状が出ます。

その辛い群発頭痛の発作が改善できるようになったという発表が、去年の11月の日本頭痛学会で発表されました。発表したのは東京女子医科大学・脳神経外科の清水俊彦客員教授。発表の内容は、群発頭痛の患者さんに、帯状疱疹ウイルスのワクチンを投与したところ群発頭痛の患者さんの99%で何らかの改善が得られたというものです。

★帯状疱疹ワクチンの効果は?

群発頭痛の患者さんを何人も治療する中で、例えば右の側頭部に頭痛が出ている患者さんの場合、同じ右の側頭部に帯状疱疹が起きている、という症例が何例もあったそうです。

帯状疱疹は、免疫機能が低下した時に帯状疱疹ウイルスが活発に働いて起こります。これを受けて、この帯状疱疹ウイルスが群発頭痛を起こすことに関係しているのではないかと考え、群発頭痛の患者さんを検査しました。すると、3分の2以上の患者さんが群発頭痛が出たあとに、帯状疱疹ウイルスが活性化していた。

さらに、群発頭痛を起こした患者さんに、帯状疱疹の治療で使う抗ウイルス薬を5日間投与したところ、群発頭痛の発作期間が短くなった、ということなんです。

そこから、今度は帯状疱疹ワクチンに目をつけ、本格的な研究を始めました。帯状疱疹ワクチンを打った群発頭痛の患者さん94人。その発作状況をおよそ4年半追跡調査しました。

ワクチンの投与を始めてから3年までに71%の患者さんが「発作が起きていない」回答した。この時点で、29%の人は変化がなかったんですが、およそ4年半後には、変化がなかった29%の人のうち、63%の患者さんが「発作が起きていない」、26%が「短期間で発作は改善した」と回答したのです。この結果、およそ4年半で99%の人が、群発頭痛が起こりにくくなったということなんです。

群発頭痛の原因の1つは、両目の奥にある静脈が集まる袋のようなものが膨張して、神経を圧迫することによって引き起こされると推測されています。この静脈が集まる袋の中には重要な神経などが通っていて、帯状疱疹ウイルスが活性化すると、海綿静脈洞が膨張して神経を圧迫し群発頭痛を起こすという仕組みです。

★帯状疱疹ワクチンとは?

このように、帯状疱疹ウイルスが群発頭痛に関係しているのではないか、ということで、その予防に帯状疱疹ワクチンが使われるようになりました。厚生労働省は、50歳以上の人に任意でワクチンの接種を認めているので、群発頭痛の予防に、帯状疱疹ワクチンを接種するといいでしょう。

一方で、49歳未満の人はどうするか、ということですが、清水先生は、患者さんの体の中にある帯状疱疹ウイルスへの抗体がどれだけあるか調べて、抗体が低い人の場合にはワクチンの接種を進めているそうです。ワクチンは自費で、8千円前後で受けられます。

去年の11月以降、頭痛専門のクリニックなどで相談できるところも出てきているので、帯状疱疹ウイルスの抗体をどれくらい持っているかを測定してもらうといいでしょう。

こうした中で、この帯状疱疹を引き起こす帯状疱疹ウイルスは、最近、医療の世界では、注目を集めています。

★帯状疱疹ウイルスが注目される理由とは?

帯状疱疹ウイルスが注目されている理由は、群発頭痛だけではなく、様々な病気のリスクを高めていることがわかってきたからなんです。

例えば、日本でおよそ840万人の患者さんがいる片頭痛です。片頭痛はこめかみのあたりから目の奥にかけてズキンズキンと心臓の拍動に合わせるように痛む頭痛で、頭の左右どちらかが痛みます。

なかでも、顔面の違和感を伴うような激しい片頭痛に、抗ウイルス薬が有効だったことも清水先生が過去に報告していて、同じように帯状疱疹ワクチンが有効ではないかと調べています。群発頭痛と同じような研究結果が出ているということなんです。

また、頭痛だけではなくて、脳血管障害、アルツハイマー型認知症、多発性硬化症、顔面神経麻痺、片側性(へんそくせい)眼瞼けいれんなど。こうした病気に帯状疱疹ウイルスが関係している可能性がある、ということなんです。これらの中には病気を治療できる治療薬のない疾患もあります。

清水先生は、これらに対しても予防策として帯状疱疹ワクチンの接種を呼び掛けています。群発頭痛はいつ起きるかわかりませんし、起きたら市販薬で何とかなるような生易しいものではありません。だからこそ、予防ができるのであれば、これに越したことはありません。帯状疱疹ワクチンをしっかり考えてみる手はあるでしょう。

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