ジャズピアノ教室・イナモリメソッド研究会のブログを、月2回のペースで書いています。新しい”Jazz on Youtube"シリーズ、今回は、ハービー・ハンコック。
ハンコックと云えば、現在のジャズ界をけん引するもっとも存在感のある人ですが、彼は生まれながらにそのカリスマ性をもっていたのかもしれません。
彼がピアノを始めたのは7歳。そんなに早くはありません。しかし11歳でシカゴ交響楽団とすでに共演しており、もちろん天才と謳われたに違いありません。ジャズを演奏しだしたのは、高校になってから…大学では音楽と電子工学の二つの博士号を取っています。やっぱり半端なインテリじゃない。プロになったのは、ドナルド・バードに見出された20歳から。ちなみに、私は6歳でピアノを始め、高校になってからジャズに興味を持ち、19歳でプロになりました。あまり変わらないのに、この差はなんだ????
この”Watermelon Man"は初アルバムの中の一曲。いきなり大ヒットです。今までのジャズの概念を変えた感があるファンキーなナンバー。その後、マイルス・ディヴィスのグループに5年ほど在籍し、その間に”Maiden Voyage"などのヒット作を連発します。”Head Hunter"では物議をかもしだすエレキトリカルなサウンドをジャズに取り入れました。というよりジャズの枠を広げたと云った方がよいでしょう。その後、映画”Round Midnight"では音楽監督をしたり、ガーシュウィン生誕100年の企画を成功させたり、コルトレーン生誕75周年のアルバム・ツアーも行ったりと、常に話題を提供してくれます。2008年にはジョニ・ミッチェルに捧げる”River: The Joni Letters"はアカデミー賞始まって以来2回目のグラミー賞最優秀アルバムに輝いています。ちなみにもう1枚は43年前に受賞した”Gets Gilberto"です。
このYoutubeは、Watermelon Manについてのインタビューも含めて、面白い構成になっています。インタビューの内容は以下の通りです。
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アフリカン・アメリカンとしての自分自身の経験に基づいた曲を書こうとしていたんだけれど、ご存知のとおり僕はシカゴ生まれだし、刑務所に入った経験もなければ綿をつんだりした経験もない。ただ自分のバックグラウンドにあるキャラクターについてなら書けるかもと思ったんだ。そこで僕は考えた。僕のバックグラウンドの中で、誰が最もエスニックな存在だろうと。それがスイカ売りだったんだ。それがどれだけスライスしたものだろうが、僕自身は育てたことがなかろうが。
最初は、スイカ売りの呼び声のことを考えていた。「スイカ~、スイカ~、真っ赤でおいしいスイカ~」。ただこれはあまりメロディックに聞こえない。では裏口でスイカ売りに呼びかける女性はどうだろう。
「ヘーイ、スイカ屋さん!」
ワーオ。
「ヘーイ、ウォーターメロンマン!」
こうやって、メロディーが始まったんだ。」
(訳:MARKA)
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※イナモリ・メソッド研究会ブログ http://www.inamori-method.com/blog/index.php?ID=68
Herbie Hancock ~ Watermelon Man~
曲の由来ですが、スイカ売りの歌はもともとあったようですが、もっとメロディアスなものだった。女性達が物売りを呼びかける際にかける言葉「ヘーイ、ウォーターメロンマン」というのを聞いて、この曲の着想を得た、という内容かと。
Watermelon Manというフレーズがそのままメロディになっていて、気持ちいいですよね。
この曲はイナモリメソッドでも教材になっていて、楽しく勉強できた曲です。
私もこの曲を最初に聞いたときは、ジャズとは思えず、でもジャズかも?って、ワクワクしました。