Paradise for Stupids

愚者の楽園たるこの国周辺で起こる愉快なことをつぶやきます

"大人の対応"は世界に通用しない。しっかりと自己主張することが必要。

2013-05-23 23:15:52 | 外交
慰安婦の銅像がニュージャージーに建立され、州議会は慰安婦問題に関する日本政府の態度を弾劾する。アムネスティは、ヘイト・スピーチや某巨大掲示板での嫌韓書き込みの改善を勧告する。慰安婦問題についてカナダは韓国の立場を支持しており、G8の中にも明確に日本と距離を置く国が出てきている。こと慰安婦問題一つとってみても、日本に対する海外各国の視線は厳しく、事態を改善することは極めて困難に思える。

現在の状況は韓国による地道な活動の積み重ねであろう。国旗や時の首相の藁人形を燃やす過激なパフォーマンスから、慰安婦の生き残りと称する老婆の訴えはテレビで我が国にも報道されているし、その陰では地道なロビィ活動、米国を中心に増え続ける在外韓国人の草の根運動まで、多くの時間と労力を費やしてきたに違いない。その結果、慰安婦問題は、韓国の主張するストーリーのまま世界中に流布し、人権を無視する野蛮で異質な日本人というイメージが刷り込まれつつある。

韓国が慰安婦問題の広報活動に勤しんできたこの20年弱の間、我々日本人は何をしてきたのか。結論から言えば、何もしてこなかった。

20年弱前の韓国と言えば今よりずっと国力が小さく、世界におけるプレゼンスも小さかった。彼らが騒いだとしても、そのまま放っておいてなんら問題が無かった。

また政治家等この国のリーダーとしてみれば、かつて植民地支配をしたという日本国民の漠然とした後ろめたい感情を逆なでしても、票には結びつかないし、全く良いことは無い。むしろ慰安婦問題に蓋をしつつ、韓国に対して有形無形に気を配り、日韓外交の推進役として、自己をアピールしたいという輩ばかり目についた。

そんな中で、耳にするたびに最もいらついたのが無知で無教養なコメンテーターやキャスター、評論家達が訳知り顔で発する"大人の対応"という言葉だ。韓国の一挙手一投足にいちいち注文をつけると相手の土俵に乗って戦わなければならなくなるし、韓国の国民感情を逆なでする、先進国である我が国は大人の対応をするべきだ、という論旨であった。なんかさっぱり分からないロジックであるが、要するに慰安婦問題については何もしない、ということである。その結果どうなったかは、言うまでもない。これは我々の世代だけではなく、子や孫の世代への負の遺産になるだろう。

ではどうすれば良かったか。あるいは今からでも良い、どうすれば良いのか。5月14日のエントリーに既に書いことだが、徹底的に調査をした上で、我々の主張を正々堂々主張すると共に、陰から巧妙に働きかけることだ。そして、韓国の不適切な攻撃については、外交的にもマスメディアを利用した広報宣伝の上でも、毅然としたメッセージを示すことだ。中山成彬氏の主張するように、大半の慰安婦の実態が、単なる従軍の売春婦であったのなら、証拠と共にメッセージを発すべきである。

この種の問題に対する、今の日本人のメンタリティは、残念ながらグローバル化から取り残された島国特有のナイーブなもので、極めて脆弱である。私にとっての日本人の印象は、いつまでも純粋な箱入り息子・娘たち、滅びゆく善人、というものである。

日本人には目を覚ませと言いたい。自己主張しない限り、世界は誰も我々には目もくれない。非難に対して寡黙を貫くことは、その非難に同意し受け入れることを意味する。非難され、それが不適切であるなら、即座に、タイムリーにカウンター・クレイムを返さなければならないのだ。そうでもしない限り国際社会では生き残ることはできない。


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