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暁の雲(平安語調平成日誌)

花をめで 鳥をうらやみ 霞をあはれびつつ
露をかなしぶこころ ここに記す
秋の月を見るに 暁の雲に会へるがごとし

紅きもの

2012-05-28 | 樹木・植物・動物・有職故実

皐月 朔(さく:朔日)

紅き うすき雲 棚なびく日の申の頃に

ここ

かしこ

さまざま 

濃き

中に

久方より来たる光 浴びて

ひときはかがよふ花のむかふに

「手向山:たむけやま」とて 紅色にしだれたる 夏紅葉ありて

いと いたくさやけし・・・

旅立つ人ありて

夏に 紅葉のはなむけす

♪・・・手向山 かしこみと告げし別れより はなむけばかり濃きものはなし・・・♪

飛び行くもの

2012-04-30 | 樹木・植物・動物・有職故実

卯月二十一日  雲の間に はつかに光るもの見えて

すぐに空をさし通して

やがて消ゆ

残れるものは
白妙の衣に似たる 雲のかたびら

ややありて

けふ 卯月つごもりは

前(さき)の帝の産衣(うぶぎぬ)を
ひと日飛ばして拾ふ
うはべ休みにて

おほどか(おおらか)なる人々の

思ひ構へて消ゆる空なり

今上(きんじょう)の帝は
かくながら下愚(げぐ)とおぼしき習ひの
ひとへに ”月曜日”ばかり消へたる木間(こま)の
鳴き音をご覧じ果てむと思したるか?

♪・・・めざとには めぐむ休みのありといへば
    目離れ(めかれ)ぬ学のいやまさりたり・・・♪(^^;)

ことなることなき子はあはれ・・・(^^)

2012-04-16 | 樹木・植物・動物・有職故実

「『世の中に なほ いと こころ憂きものは
人に 憎まれむことこそ あるべけれ・・・

たれ(誰)てふ 物狂いか・・・
われ 人に さ 思はれむとは思はむ

されど・・・

自然に 宮仕へどころにも 
親 はらからの中にても

思はるる思はれぬがあるぞ
いと わびしきや

よき人の 御ことはさらなり

下衆(げす)などのほどにも

親などの かなしうする子は

目たて 耳たてられて いたはしうこそおぼゆれ

〈そんな子は〉見るかひあるはことわり・・・

いかが 思はざらむとおぼゆ(かわいがらずにいられようかと思われる)

ことなることなきは(特に優れたところのない子は) また これを かなし と思ふらむは
親なればぞかし・・・と あはれなり

親にも 君にも すべてうち語らふ人に 思はれむばかり
めでたきことはあらじ』とぞ 枕の君申したり・・・」など 語りつつ眺めをれば・・・

卯月半ばになりて やうやう咲き出だしたる花のもとに

遅れたる花に添ふ花ありてうるはし

♪・・・春来れば かりかへるなり 白雲の 道行きぶりに 言(こと)やつてまし・・・♪古今30



 

うつくしきもの・・・

2012-03-30 | 樹木・植物・動物・有職故実

瓜(うり)に描きたるちごの顔・・・

雀の子の
鼠鳴き(ねずなき)するに・・・

をどり来る・・・

ちごの 這ひ来る道に いと小さき塵のありけるを
めざとに見つけて いとをかしげなる指にとらへて
大人などに見せたる・・・いとうつくし(^^)

頭は あまそぎなるちごの 目に髪のおほへるを かきはやらで
うちかたぶきて ものなど見たるも うつくし・・・(^^)

大きにはあらぬ童(わらは)の
装束着たてられて歩りくも うつくし(^^)

をかしげなるちごの
あからさまに抱きて 遊ばし うつくしむほどに
かひつきて 寝ね(いね)たる いとらうたし・・・(^^)(^^)

雛の調度・・・
蓮(はちす)の浮き葉の いと小さきを 池より取り上げたる・・・
葵(あふひ)の いと小さき・・・

なにもなにも 小さきものは みな うつくし(^^)(^^)(^^)(^^;)

♪・・・世の中は 昔よりやは憂かりけむ 我が身ひとつの ためになれるか・・・♪(紀貫之「高野切」)

 

奥山に猫またといふものありて・・・

2012-02-27 | 樹木・植物・動物・有職故実

 「『奥山に 猫また というものありて

 人を喰らふなる』

といひけるに・・・

『山ならねども これらにも 猫の経上がりて(へあがりて)
猫またになりて 人捕ることはあなるものを』

とも 人のいふなる」 など 弟なる人に物語する のどかなる午(ひる)に
隣家の猫の 時折 軒の境にて寝ぬる(いぬる)ことあるが・・・

なにをか見つけたりけむ・・・
にはかに おどろき立ちあがりて

つと跳び出づる・・・と見るや

あやまたず
やがて来たりける隣家のあるじなる人の頸(くび)のほど 
喰らはんとばかりに 跳びかかりたれば

あるじなる人 肝(きも)こころも失せ(うせ)て 
防がんとするに力もなくて 荒れ惑ふままに駆け出しぬ

足も立たず 池へ転び入りて
「助けよや!猫また よやよや!」と 狂ひ叫べば
怪しきカラスどもの あるじにたかり寄りて 四つ五つ飛び交ふほどに

気丈なる母君の走り来て 
こは 日ごろより おぞましき虫めづる姫君養ひたまふる いかめしき御方なれば
御顔色もうつろはせで
息巻くままに このあるじを池より引き出だし奉りて なにとも言はず 率て去ぬ 
独り身には 心すべきこと 恐ろしきことにこそ と思はる

飼ひける猫の 主(ぬし)を知りて跳び付きたりける とぞ・・・・

♪・・・深山(みやま)には 鬼もをるらし外山(とやま)なる まさきのかづら色づきにけり・・・♪〈本歌古今1077〉

 

雪のおもしろう降りたりし朝

2012-02-01 | 樹木・植物・動物・有職故実

雪の
おもしろう降りたりし朝〈あした〉

人のがり(人のもとへ)
言ふべきことありて 文をやるとて
雪のこと なにとも言はざりし返事〈かへりごと〉に

「この雪いかが見る・・・」とのみありて
「この子いかがしはべる・・・」と 一筆のたまはせぬほどの人のおほせらるる事

聞き入るべきかは・・・・(ーー;)
返す返す 口をしき御心なり

継母なる人は 別の人のもとに渡りて 今は去りぬ・・・

かほどの理〈ことわり〉
誰かは思ひよらざらんなれども
折りからの 思ひかけぬ心地して 胸にあたりけるにや?
人 木石にあらねば 時にとりて 物に感ずる事 なきにあらず・・・(ーー)

雲は 二つながら 行き別れ

棚引きて 末は見えず・・・

♪・・・しもとゆふ かづらき山に降る雪の まなく 時なく 思ほゆるかな・・・♪(古今1070)
(注)しもと;若い細枝・ゆふ(結ふ)



賢者は絶えて物思ひもなし・・・(^^)

2012-01-16 | 樹木・植物・動物・有職故実

人は おのれをつづまやかにし おごりを退けて
たからを持たず 世をむさぼらざらんぞ いみじかるべき・・・と兼好法師申したり

昔より 賢き人の富めるは稀(まれ)なり

唐土(もろこし)に 許由(きょうゆう)といひつる人は
さらに 身に従へる貯へもなくて 水をも 手して捧げて飲みけるを見て
「なりひさご」というものを 得させたりければ
ある時 木の枝に掛けたりけるが 風に吹かれて鳴りけるを
「かしがまし!」とて捨てつ(ーー;)
また 手にむすびてぞ水も飲みける(^^)いかばかり 心のうち 涼しかりけん(^0^)

孫晨(そんしん)は 冬の月に ふすまなくて 藁ひとつかねありけるを
夕べにはこれにふし あしたにはをさめけり 

唐土の人は
これを 「いみじ!」(ーー)と思えばこそ

記しとどめて 世にも伝えけめ

これら〈我が国〉の人は
語りも伝ふ べからず・・・(ーー;)

♪・・・年経れど 財(たから)はあらぬ しかはあれど 賢者は絶えて 物思ひもなし・・・♪(本歌古今52) 

新春・・・隣家の母君来たりて・・・

2012-01-09 | 樹木・植物・動物・有職故実

隣家にさぶらふ御猫は
キジ猫にて
「とら」とていみじうたのもしげ(たいへん立派そう)なれば

「おぞましき虫めづる姫君」の
かしづきたまふこと限りなし

かのしれもの(馬鹿者)
そぞろ歩きに隣家の前を過ぎたる折
「猫島へつかはせ!ただいま!」とののしりて

打ちてふじたれば(打ちのめしたので)

姫君の母なる人
いとわびしげにわななき 
いみじう腫れて あさましげなる「とら」を
つまみて 見せに渡りたまふ

「やや こはいかに?・・・
なでふことありて かかるさまぞ?・・・」と問へば

母なる人の
「ただごとにはあらざりけり
翁丸のしたるにこそ・・・」と恨み顔にて帰りにけり

「かれは こころおごりしたる猫にて
よに知らず ゆゆしき姫君の養ひたるままに
ここら(この辺を)ゆるぎありきつる(得意そうに歩いている)
わりなうをこなる猫なれば・・・」など思ひたりければ
さきのさまをおもひいづるごとに
ふと ほおのゆるまんとするは わがことながら はしたなし (^^)
  

♪・・・白雲に 爪うちかはし 飛ぶ猫の 傷さへにくし 春のおとなひ・・・♪(本歌古今191)



和らぶ人に萎ゆる犬

2011-12-26 | 樹木・植物・動物・有職故実

弟なる人
いとのきて(とりわけ)円かなるものを好み
翁丸かい抱きて
我は かくながら 
きんぢ いかならんとも 見果てむ(どのようになろうとも見届けよう)とて
一日絶えて放すことなく
しひて かかへたてまつる(^^;)・・・・・・・

(・・;)

萎えばめる犬の
いとあはれに かしこき心しらひ(心遣い)もあさましう
犬などもかかるこころあるものなりけり・・・・(^^;)

♪・・・富士の峰の

夕べは日にけに色づきぬ・・・・・・・
来まさぬ母は なにごころぞも・・・♪(本歌・万葉2295)

誰も見ぬ花

2011-12-19 | 樹木・植物・動物・有職故実

継母なる人 「春まで・・・」と 預くるをのこご

いと うつくしげなるが

誰も見ぬ花八つ手を好みて

日がな一日

眺めをれば・・・

・・・・・・・???(ーー;)

竜宮よりの見入れもあるべし・・・
(注)(どこから見ても美少年なので)竜宮からの使いに連れ去られそうだ・・・【西鶴・男色大鏡1の3】

「汝は 花アブにや?」

など笑ひて尋ねしが

艶めきたる葉のもとに沈みて
絶えて答ふることなし

♪・・・冬咲きの 日陰の花を思ひせば 燃えても 春を 待たましものを・・・♪(本歌:古今791) 

ものの・ものから・ものゆゑに

2011-12-12 | 樹木・植物・動物・有職故実

師走 十日の日は 

白き雲の はつかに波打ちたる際より落ちて

疾く 沈みもてゆけば

つれなかりけるものの

はた 忘れがたき

思ひす・・・・・・・

つとめて

月は

有明にて

やがて

光 をさまれるものから

影は なほ

さやかに

見えて

うるはし・・・・・・・

かかる おもひを

尽くることなく

出しつつ

綴らるるは

日ごろ 事ゆかざりければこそと

我が身 ひとつながら をかし

空の気色は

さながら すがすがしくも

まして 百千鳥〈ももちどり〉さへづる夕べは

殊にゆゑづきてぞあるに

いかにぞや

見るひとから

艶〈えん〉にも

すごくも

見ゆるなめり・・・・・・・

♪・・・ながむれば 我が身は影となりにけり さりとて 人には添はぬものゆゑ・・・♪(本歌古今528) 





暮れゆけば 限りあるらし すゑもみぢ

2011-12-05 | 樹木・植物・動物・有職故実

かくれみの 怪〈け〉しき(ちょっと変わっている)さましたる木なり

七竈〈ななかまど〉は 霜月廿日あまりになりて やうやう 気色ばむ(紅葉の兆しが見える)

霜月晦の頃 高き枝 けやけきさまに顕証〈けそう〉づきたり(人目に付くようになった)

前栽なる柊南天〈ひいらぎなんてん〉は 薄く移ろひさして

桜の

際立ちて色濃きもあるに

鬱金〈うこん〉に染まる枝の

空 そめわたりて

あさましきまで 目を 驚かするもあり

散ればこそ まして・・・

もみぢ など

色を尽くし

彩を入れ

うちなびく梢の

あてやか(上品で美しい)なること・・・

この冬は 師走になりてもなほ やや気色立つ(紅葉の様子が現れる)のみにて あはれなり

さるに 歳は暮れゆくものなれば

さ ばかり とめ られざるは ならひにて・・・あへなきものとや また 思はむ

♪・・・風吹けば 落つるもみぢ葉 水 きよみ 散らぬかげさへ 底に見えつつ・・・♪(古今秋304) 


  

篤しき〈あつしき;病む〉空に世の乱れ・・・(ーー)

2011-11-28 | 樹木・植物・動物・有職故実

霜月になりて いまだ日高きに 未の刻(午後二時頃)より黒く棚引く暗き雲の下に
そびゆる山の峰々 にはかに 紅く染まることあり

そも(それも) けもの・まもののごとき様したる小雲さへ出で来て

戌亥(北西)の方角を見れば 

白きくちなわ(蛇)のやうなる雲 地を這ふ

しばしありて 風の寄り来る方を見れば

こは あることかたくはべらめ・・・(こんな事は めったにはないでしょう・・・)

辰巳(南東)のビルの陰より

千畳の海を呑み込むかとぞ思はるる 大いなる口開きて

眼〈まなこ〉かき開き

恐ろしき様したるもののけの

ひとえに(ひたすら)吐き出だしたる息の

遠き峰をおおふ様見えたり

斯く〈かく〉のごときあさましき様 ふたたび 世の乱れあるしるしにやあらむ

驚きて あまたたび(何度も)息を飲みあやしぶ

もの憂くて あふなあふな(危な危な)見守り居たるに

小半時ばかりして

戌亥の方角より冷気起こり

白きくちなわのごとき雲

逆巻く渦を成して

もののけを襲ふ

渦の勢ひ ただ止みに止むことなければ

思ひわづらふ気色みせて

もののけ 時うつろひて(不利になって)

雲をこぼち

目を剥き(むき)ながら

かたがた飛び散らして

逆巻くくちなわの双なき勢ひをもちて

ゆゆしきままに消えうせぬ・・・(ーー)

定めなき世に

あやしきまでぞ覚えて

斯く行き 斯く飛び去りたる様

なずらふ(比べる)べきぞなかりける

又なく

こよなきこの日の事

十日余りたちてもなほ いまだ まつはる(未だに忘れないでいる)・・・

 

虫見れば ちぢにものこそ思ひけれ・・・(ーー;)我が身一つの秋にはあらねど

2011-11-21 | 樹木・植物・動物・有職故実

翁丸〈おきなまる〉こごしき(子供っぽい)犬にて

いと 愛敬〈あいぎょう〉づきて 清げなる虫に

あたること多くて

「何わざするならむ?!」

虫見れば そそきはべり(せかせかして)

見張り

捕ふるさまの いと 涼しげに見えたり

神無月のつごもりに

用なきこと(つまらぬこと)して

「あなかま!けしからぬわざしたりけむ!」など叱る

つれなく(さりげなく)踏み散らしたる蝶を
上がりかまちに置きて 犬は いづくにか 去りぬ

いかがしたりけむ・・・

かくながら(このままでは)いとほし(かわいそうだ)と 

いとものけ近く(ごく近いところで)うちとけたる所(ゆったりとした場所)へと運び

見守れど・・・

甲斐なし・・・

名残なく(すっかり)毀ち〈こぼち〉て(こわれて)

羽根 さらにうち返す力なくて

いと寒き夕つ方になりて なかなかなることを(かえって外に置かなければよかった)・・・と思ひ始めける頃に

葉隠れにて 去ぬ〈いぬ〉(死んだ)

♪・・・うたたねに 恋ひしき花を 見てしより 夢てふ ものは うつろひにけり・・・♪(本歌 古今553)




侘び塗る〈わびぬる〉空は 須磨・朱し〈あかし〉・・・?

2011-11-14 | 樹木・植物・動物・有職故実

冬立つ とやいふ日の暮れつ方
やうやう 沈みゆく日の上の様も いと 霞〈かすみ〉だちてあはれなり

母屋の しりへの方(隅の方)に立ち出でて

四方の方

そこはかとなう けぶりわたれるほど

絵に いとよくも似たるかな

かかる空に

入りたれば

心に 思ひのこすことは

あらじかし・・・など

須磨にわび入る人のごと

ただ

空の面を 

見渡したり

泡立つ 薄色の雲 

風に飛び行く筋など描きて

黒く染まりゆくもあり

見入るほどに

今は この世のことを思はねば

茜の空に 

(日が)率(ゐ)て せめて(無理やり)消え行くも らうたう(いたいたしく)のみ覚ゆ

暮るれば

墨付きの筆 書きちらかしたるやうになりて やがて去ぬ〈いぬ〉
♪・・・宮人に 行きて語らむ 夕雲の 風より先に 来てもみるべく・・・♪(本歌 源氏若菜)