ヨルダン2日目は、まずホテルを移ってから、現地在住の友人に会ってランチやお茶をし、かつて住んでいたアパートを再訪したりして過ごした。
朝8時頃目が覚め、しばらくベットでぼんやり過ごしてから、10時頃に出かけてホテル探しをした。1泊した「ノルマスホテル」も悪くはなかったのだが、連泊するなら、もう少し安くて雰囲気の明るい所に移りたいと思ったのだ。
かつて私の定宿だった「バグダッド・グランドホテル」が目と鼻の先にあったので、そちらに行くことも考えたのだが、日本の安楽で快適な生活に慣れてしまった身で、あのワイルドなホテルに順応できる自信がなかったので、やめておいた。前夜、道端の若者に安くていいホテルを知らないかと聞いたら、「ママヤホテル」がいいと勧められたので、そこに行ってみることにした。ノルマスホテルから徒歩2分くらいの距離だった。
ノルマスホテルの部屋の窓から眺めた朝の街
建物の壁が愛想のない薄茶色で、全体的に角ばっていて武骨なところがヨルダンらしい。
パレスチナ刺繍のお店はもう開いていた。
パレスチナ人経営のスタンドで、生絞りのオレンジジュースを飲んでビタミン補給。
人けのない路地には猫さんが待機
アンマンのダウンタウン(旧市街)は誘惑が多いので、至近距離なのに目指すホテルになかなかたどり着けない。
頭上ではすずめがさえずっていた。
ママヤホテルは大通りの脇道にあり、その並びにはシャワルマ(ケバブ)レストランとジュース屋さんがあった。
よく見たら、星がひとつ付いている。適当に付けたに違いない。
フロントにいたおじいちゃんにシングルの値段を聞いて、6泊する場合割引があるかと尋ねたら、100JD(現在のレートで約1万9千円)だと言われた。1泊17JDのノルマスホテルとほぼ変わらない値段だ。部屋を見せてもらったら、こちらの方が広くて明るかったので、それ以上探すのが面倒になり、ここで妥協することにした。ここもシャワー・トイレ・エアコン・テレビ・冷蔵庫・Wi-Fi付き。
シングルと言っても、ダブルベッドだが。中東地域のホテルでは、シングルベッドにあまりお目にかかったことがない。
バスルームも広めで、シャワーとトイレの間の床に気持ち程度の仕切りがあった。
大通りに面しているが、窓を閉めたら騒音はさほど聞こえない。
ノルマスホテルのチェックアウト期限の12時の直前にこちらに移るとおじいちゃんに伝え、外に出てSIMカードを買いに行く。スーク(市場)の周辺にいくつかスマホ関係の店があるのだが、その一つに入ったら、「オレンジ」(Orange フランスの会社)のSIMが17JDだか18JDだかと言われ(たぶん20GBのこれ)、高いと抗議したら15JDに下がった。それでも高いので、近くにあるもっと安い店を探しに行ったのだが、場所がうろ覚えなので見つからず、まためんどくさくなって、結局その店に戻ってオレンジのSIMを買ってしまった。
後で調べたら、ヨルダンのSIMカードは「ウムニヤ」(Umniah)という会社のものが一番安いらしい(10GBで6JD)。失敗した…下調べ不足だ。ホテル選びも今一つだったし、今回の旅では、ずっと判断力がポンコツだった気がする。日本ボケか、それとも年のせいか…
ノルマスホテルに戻って荷物をまとめ、12時前にチェックアウトして、ママヤホテルに移った。チェックインして支払いを済ませ、部屋に入ってから、トイレットペーパーやタオルがなく、しかもWi-Fiのパスワードを教えてもらっていないことに気づく。フロントのおじいさんに言ったら、トイレットペーパーとタオルはすぐもらえたが、Wi-Fiのパスワードは後でね、インシャーアッラーと言われた。不吉な…
14時頃に現地在住の日本人の友人Hinaさん(仮名)が車で迎えに来てくれた。彼女はこちらで子育てをしている主婦で、かつて私がこの街に住んでいた時に知り合い、帰国してからも、ツイッターなどで常にやりとりしている。彼女もブログを書いているが(これ)、私などよりもずっと読者が多い。ふっ…
Hinaさんと会うのは数年ぶりだったが、外見はあまり変わっていなかった。海外在住の友人は、あまり年齢を感じさせない人が多いと思う。
まず一緒にスークの辺りにある庶民的な安食堂「アンワール・アル・クドゥス」(またの名を「ハンニーニー」)に行き、ランチにした。メニューが非常に多く、どれも他の店より確実に安くて、しかも美味しいので、いつも賑わっている。
アンマンの食堂にしては珍しくコシャリもある。シャワルマもとても美味しい。
私はかつて時々この店でチキン・シャワルマのサンドイッチ・サーダ(焼肉以外の具やソースを一切入れない)を買って、猫におすそ分けしつつ食べていた。ソースなしだと、味がなくて人間には物足りないが、猫は喜んでくれていた。
入口付近のショーケースに料理がワイルドに盛られている。
マハシー(米などを詰めた野菜の煮物)も色々ある。
満腹になって幸せそうな人たち。飲み物はセブンアップやペプシ等の甘い炭酸飲料が基本。
私たちは、家族連れ・女性用のスペースである2階で食べた。2階はいつも比較的空いている。
なんと、今回は英語メニューもあった。以前はなかったと思う。
私はチキンのマンサフ(参考)を食べた。ヨルダンに来て、国民食のマンサフを素通りするわけにはいかない。Hinaさんは揚げた魚とカバーブの定食を取ってシェアしてくれた。
私が久しぶりのマンサフを前にして、幸福感に浸っていた時、Hinaさんはいそいそと、こういう写真を撮っていた。
彼女の推しの「竹財輝之助」という俳優さん(のアクリルスタンド)がヨルダン料理に囲まれて微笑んでいる…彼も自分のアクスタがヨルダン料理と一緒に映ることになるとは思わなかったであろう。うちにはテレビがないし、彼のことはよく知らないのだが、非常に人気があるようだ。
Hinaさんによると、推し活は人生とお肌に輝きと潤いを与えるらしい。私は何を隠そう、20代後半でジャニーズJr.にハマったことがあるのだが(特に声変わり前の錦戸亮君)、ハマったと言っても、私の場合はせいぜい毎週彼らの出演する番組を見る程度で、コンサートに行ったりグッズを買ったりしようなどとは考えたこともなかった。今は特に推しはいないが、あえて言えば猫かな…
久しぶりのマンサフはとても美味しかった。ご飯の量が多かったので、けっこう残してしまったが。ここはHinaさんが全部払ってくれた。それ以外にも、餞別(旅費のカンパ)をいただいたし、気を遣わせてしまったようで、なんだか悪かったかな…
会計後、店を出る前に給仕係の彼に頼まれて写真撮影。エジプト人かな。
ランチの後、店の正面にあるスークを少し散策した。
野菜や肉、冷凍の魚などの屋台が並んでいる屋根付きの市場だ。
甘くて美味しいひしゃげ桃(蟠桃)があった。
黄色いメロンは5個1JD(約190円)
事件現場っぽい肉屋
袋入りの米や豆、食用油などの店
市場にも猫がちょろちょろしている。
Hinaさんは息子さん用の靴の値段をチェックしていた。
靴屋にも猫
金曜日だったので、市場の周辺にも色々屋台が出ていた。
何の役に立つのか分からない中古のガラクタばかり売る出店。
座薬型のアーチが目立つアーケード
周辺にはこういう地層がむき出しになった高台も多い。
市場を出て、ダウンタウンのへそとも言えるフセイニーモスクの前を通りかかったら、何か黄色いせっけんのようなものを売っているおじ様がいた。
Hinaさんがそれは何かと質問したら、アロマワックスバーのようなもので、皮膚(手首など)にこすりつけて香りを移すと良いとのことだった。Hinaさんがいくつか買って、1つ私にくれた。
フセイニーモスクは非ムスリム立ち入り禁止
市場の後は、アンマンのドバイと呼ばれる(私に)「アブダリモール」に車で連れて行ってもらった。私が住んでいた頃にはなかったオシャレスポットだ。
ここに来たのは、中に入っている免税店で、免税のワインを買うためだった。ヨルダンは酒税が高いのだが、入国から2週間以内(たぶん)の外国人は、パスポートを提示すれば免税で一定量の酒を買える制度があったのだ。
しかし、今回このモールの免税店のスタッフに尋ねたら、「コロナの影響で酒類の免税措置はなくなった」と言うではないか。なんてこと…コロナと酒の免税がどう関係するんだろう?国の経済が苦しくなったから免税は止めたってこと??
なんにせよ、免税でないのならここで買う理由はないので諦めて、お茶でもすることにした。このモールにはトルコの「シミットサラユ」(=シミット宮殿、伝統的なリング型のゴマパン・シミット専門のチェーン店)が入っていたので、そこに決める。ここは私が出させてもらった。
シミットサラユに入ったの、実は初めてかも。あえてヨルダンで初シミットサラユ。
シミットではないパンもあった。
チャイグラスがトルコっぽい。
シミットは冷凍だそうで、いまひとつだったが、チャイはトルコの味だった。
お茶をした後は、私がかつて住んでいたアパートを見に行くのに、付き合ってもらった。一人で行くのはなんとなく気が引けたが、Hinaさんが一緒だと心強かった。
(長くなったので、残りは次回。取捨選択して簡潔にまとめようと思っても、結局いつも長くなるのはなぜだろう…)
(続く)