外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(8)~チュニス4日目・カルタゴ遺跡と子猫編~

2019-12-08 18:38:15 | チュニジア

 

今回はチュニス滞在4日目の記録。この日は午前中にホテルを移動し、午後にカルタゴ遺跡を観光した。


まずはホテル移動。

朝8時に起きて、あらかじめ目星をつけておいたジュネーブホテルに電話をかけ、空きがあるかどうか聞く。前日訪れた時に受付で翌日の空き状況を尋ねた際、「今はまだわからないから、明日の朝8時に出直して」と言われたのだが、そんな早朝に行っても無駄足になる予感しかしなかったので、とりあえず電話してみたのだ。昨日とは違う人が電話に出て、「空きがあるかどうかは12時にわかるから、12時に来て」と言う。ふっ、やはりな・・・このホテルは12時にチェックアウトが終了するのだ。


とりあえず2度寝して、ゆっくり起きて朝食をとり、チェックアウト期限の11時ぎりぎりにホテルを出て、スーツケースを引きずってジュネーブホテルに移動した。受付のおじさまは、「電話してきた人?12時にならないと空きがわからないんだよな・・・」と言いつつも、私がお腹をすかせた子猫のような目でじっと見つめたら(自分の中のイメージです。実際には今にも呪いをかけそうなヤマンバに見えたのかも)、お掃除担当の人に電話してくれ、空いている部屋を見つけてくれた。いい人だ。

 

そういうわけで、無事にホテル移動が完了。掃除終了後に部屋に入って3度寝した。ホテル移動で体力と気力を消耗したんですもの・・・

 

ジュネーブホテルで滞在した部屋。1泊50ディナール(約1900円)。フランスホテルの部屋より安い分狭いが、Wi-Fiが付いていて便利。


珍しくシャワーカーテンがあるのがポイント高い



14時頃にようやく起きて、よっこらしょと観光に出かける。たまには観光もしなくてはね。

 

私は元来遺跡というものにあまり興味がなく、ヨルダンに1年半余り住んでいたにもかかわらず、世界遺産のペトラ遺跡にも行ったことがない。大昔の人々の暮らしや、彼らが築き上げた文明に対して想像力が働かない性質なのだ。しかも、広い遺跡を長時間歩き回る気合がない。だから今回もカルタゴ遺跡はスルーしようと思っていたのだが、前年にチュニジアを訪れた友人に「カルタゴのトフェの遺跡がすごかったからぜひ見て」と勧められたので、そこだけ見ようと思って出かけた。結果として、「ビュルサの丘」も見ることになったわけだが。トフェの遺跡はカルタゴ遺跡のうちのひとつで、フェニキアの風習によって神への生贄に捧げられた幼児の墓が並んでいるという。

 

ホテル最寄りのバルセロナ駅からメトロ(路面電車なのにこう呼ばれている)でチュニス・マリン駅に出て、郊外電車(TGM)に乗り換える。


イタリアの古いタイプのローカル電車に酷似している。


半時間ほどでカルタージュ・サランボ駅に到着。ここから遺跡までは徒歩で10数分だったと思う。(うろ覚え)


猫のお客がいる商店を見つけたので、水を買って道を聞く。


顔と床の色合いがマッチしている。

 

通りがかりに見かけたブーゲンビリア。ふさふさ



トフェ遺跡の入り口にたどり着いて中を覗くと、こんな風景が広がっていた。遺跡は左奥だが、猫に目が釘付け。


チケット売りの女性によると、トフェ単独のチケットはなく、あちこち回れる12ディナール(460円弱)のカルタゴ遺跡共通券しかないという。しょうがないのでそれを買う。彼女はここで猫数匹を餌付けしているそうで、ここの猫について色々教えてくれた。


彼女は英語も少し話せる。この子猫と大人猫に血縁関係はないそうだ。


エサくれモード


許可をもらって、前日にカルフールで買ったビーフのパウチを振舞う。プラスチックの皿も持参。我ながら準備万端だ。


おかわり~!(もうないよ)


大人猫さんは満腹になってお昼寝モードに。この猫は今妊娠中。前回のお産の時には4匹生んだが、オス猫に食べられてしまって全滅したらしい。残酷物語・・・


一通りお喋りした後、彼女が持ち場に戻ったので、私も本来の目的を遂行することにする。観光しに来たのだった。狭い敷地なのであまり時間はかからない。


フェニキアの人々が神への生贄に捧げた幼児の墓地。一番大事なものを捧げたのだろうか。


私がいる間にやって来た観光客は欧米人の若者2人組だけで、閑古鳥が鳴いていた。




サクッと観光を終えて駅に向かう。日差しが強くて暑いのであまり歩きたくなかったが、まだ日没には間があるし、共通券もあることだし、もう一つくらい遺跡を見るべきだろうと思い、3駅先のカルタージュ・ハンニバル駅から近い「ビュルサの丘」に行くことに決める。

 

カルタージュ・ハンニバル駅。カルタージュ・サランボ駅以上に殺風景で何の表示もなく、世界的観光名所の最寄り駅とはとても思えない。

 

 

地球の歩き方の指示に従い、人気のない坂を上っていく。めずらしく迷わずにたどり着くことが出来た。

 

登りきったところに建っているサン・ルイ教会。

 

ここにはカルタゴ博物館もあるらしいのだが、存在に気が付かなかったことにして、ビュルサの丘の遺跡だけを眺めることにする。

(カルタゴ遺跡についてはこちらを参照してくださいませ。2017年8月の情報なので、チケットの値段等は変わっているが)

 

アラビア語表記は一部剥がれているが、「ビルサの男の埋葬地」と書いてある。ウィキペディア・アラビア語版の情報(これ)によると、紀元前6世紀頃に19~24歳で亡くなった高貴な家柄の若者の墓らしい。

 

趣きのある木が生えていた。もしや松?

 

海が見える遺跡。海、遺跡、青空・・・ここに露天風呂でもあれば完璧か(?)

 

気高くそびえたつ古代の柱。

 

 

ステキな遺跡ね、でも何かが足りないわ。あの小さくて柔らかくてふかふかで愛くるしいアレが・・・

 

キョロキョロしていたらアレが現れた。当然ここにも猫はいるはずだと思ったのだ。見かけたのはこの1匹だけだったが。

 

「何このおばちゃん、ストーカーか?」

 

「どこまでついて来るん、この人」 はいはい、すいませんね。もう帰りますんで。

 

 

 坂を下ってまた電車に乗り、チュニス・マリン駅に出る。そこからホテルにはハビーブ・ブルギバ通りを散策しがてら帰ることにした。これが正解だったようで、通りがかりのお花屋さんのところで、かわいらしい子猫たちに遭遇した。

 

なんなの、この可愛らしさは…君ら下町のアイドルか。

 

シャッターを持ち上げてる?

 

 

猫を眺めつつ歩いているうちに疲れが限界に達したので(昼食抜きだったし)、オープンカフェで休憩した。チュニスのオープンカフェは庶民的なところも多く、値段も安くて気軽に入れる。味もそれなりだが。

 

カフェ・クレームというものを頼んだら、若干泡立ったクリープ入りのネスカフェっぽいものが出てきた。

 

 

コーヒーを飲んで一息つき、ゆったりした気分で何気なく向かいを眺めた時、柵で囲まれて車や通行人が近づけないようになっている、物々しい雰囲気の建物が目に入った。

 

入口のところに「内務省」と書かれている。

 

 

「内務省」・・・

いかん。内務省はいかん。ここ数年チュニスでは大きなテロはないものの、このハビーブ・ブルギバ通りでたまに小さな爆弾テロ事件などがあり、内務省や外国大使館等はその標的になりがちだ。内務省が向かいにあっては、落ち着いてコーヒーを飲んでいられない。

 

というわけで、重い腰を上げて帰り道を急ぐことにした。フランス門の近くのグラン・マガザン(前日と違う方のスーパー)で酒を買って帰る。こちらの店では、レジの脇の別室にワインもビールも置いてあった。ビールはこちらも冷蔵庫に入っていない。

 

 

アムステルの緑色の缶があった。サイズが小さい。

 

支払いを済ませて店を出て、前のホテルの近くの焼肉系の安食堂に行き、熱々のチキンの丸焼き4分の1羽分とサラダをテイクアウトする。フレンチフライとパンが付いて5.5ディナール(約210円)。チキンはローズマリーと塩で味付けされているので、火傷しないように気を付けつつ中の方の味が付いてないところをむしって、野良猫さんたちに振舞いながら帰った。残りはホテルの部屋での私の夕食となる。

 

おすそ分けしたせいで、だいぶ肉が減っている・・・。ローズマリー風味のチキンはとても美味しかった。

 

赤ワインはチュニジア製で色が薄めだが、前に買ったものより美味しかった。一番左のビール「Mützig」はハイネケン系。真ん中の「Berber」がチュニジア製で、味はよく覚えていないが、セルティアよりは少しマシだったような気がする。

 

ああ、長い一日だった・・・(記事も長くてすいません)

 

(続く)

コメント (2)
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