5月某日
久しぶりに近所のスーパー前の広場に行って、ハトたちにパン屑を振舞う。
スズメもやってきて、小さいながらも餌の争奪戦に参加する。
私の見たところ、スズメはハトより俊敏で勇敢、しかも頭がいい。
スズメたちの中に、母子らしいペアがいる。
子は親よりも身体のサイズが大きいくせに、ピーピー騒いでパンを口元に運んでくれるのを待っている。
すぐ足元に転がっているのに、なんて横着な。自分で取らんかい!と私はぶつぶつ文句を言うが、母スズメはせっせと餌を運び続けている。
考えてみたら、人間の親子もだいたい一緒か。親は大変だな・・・
子供はまだ灰色がかってぼやぼやした毛並みだが、サイズは一人前
5月某日
駅前広場で、ハトの群れにパンかなにかを撒いているスーツ姿の年配の男性を見かける。
おお~ハトおじさんだ。久しぶりに見た。
その様子をずっと観察していたが、彼に文句を言う人は誰もいなかった。
同じようにハトや猫の餌付けをしても、男の人の方が文句を言われる確率が低そうだ。
いいなあ・・・
男になるのは無理だが、私も文句が言われにくいような格好で餌付けするべきか。
髪の毛を立てて、鋲のいっぱい付いたヘビメタ服を着るとか。
あるいは、白い着物姿で片手にロウソクを握りしめるとか。
KISSはヘビメタだったっけ?こういう格好でもいいかも
5月某日
ガストに行く。ガストはグラスワインが99円(税別)で、300円以下のつまみが数種類あり、全体的にサイゼリヤより美味しいのだ。
周りを見渡すと、近くのテーブルでセットメニューを食べている人が、平たい皿に入ったライスを箸でせっせとつまんでいた。
どうしてご飯を平皿に盛らなければいけないのか、私には一生わからない。
そんな私は赤ワインのつまみとして冷奴を注文し、スプーンで食べている。
日本のファミレスならではの不思議な光景だといえようか。
5月某日
地中海に墜落したエジプト航空機捜索のニュースを見ていて思う。
どうも海には、墜落した飛行機の残骸がいっぱい漂っているらしい。
以前マレーシア機が消息不明になったときも、捜索中に飛行機の一部が海上で見つかったが、実は別の飛行機のものだったということがあった。
海にぷかぷか浮かんでいる無数の飛行機の残骸のことを想像すると、はるかな気分になる。
5月某日
10時間寝た。
ふと思ったが、私が毎日たくさんお酒を飲んでいるのに未だに本格的なアル中になってないのは、いっぱい寝ているせいなのでは。
5月某日
夕暮れどき、公園のすみっこのベンチに座っていたら、若い女の子がやってきて、公園の端から端まで後ろ向きに歩いて往復しだした。
私のすぐそばを歩くのでつい目に入るが、ジロジロ見るのも失礼かと思い、空を眺めている振りをしつつ、こっそりその動きを追いかける。
女の子は後ろ歩きのままで、ゆっくりと、しかし確実に右から左へ、そして左から右へと何度も私の視界を横切る。その姿がだんだん闇に沈んでいく。
5月某日
アフガニスタンのタリバンの指導者マンスール師が、アメリカの無人機の空爆で死亡した。
ニュースを見ながら、「もし自分がアメリカの無人機に狙われたらどうしよう」と、少し不安になる。
暗殺されるいわれは全くないが、人違いで狙われる可能性もなくはないだろう。
アメリカはまず、偵察機でターゲットを毎日追跡して、生活習慣を熟知してから攻撃するに違いない。
偵察されたら、私が毎日引きこもって暮らし、スーパーやガストやサイゼリヤや公園くらいしか行ってないことがバレてしまう。
「スーパー・ファミレス・猫・ハト女」とかあだ名を付けられ、アメリカンジョークのネタにされたらどうしよう・・・
タリバンの新指導者のアクンザーダ師、タカ派の人らしい。私はハト派
5月某日
朝4時に寝て昼の12時に起きた。理想的な早寝早起きだ。
(終わり)
おまけ。公園に行く途中にあるおうちの窓辺の美猫さん