私は去年の2月後半からヨルダンの首都アンマンに住んでいる。
ヨルダン人(そしてヨルダンのパレスチナ人)には、ある程度英会話ができる人が多い。
また彼らは他のアラブ人と同様、外国人に対する好奇心隠そうとしない。
道を歩いていて通りすがりの人に、「WELCOME TO JORDAN!」と唐突に歓迎されたり、「WHERE ARE YOU FROM?!」と、出身国を尋ねられたりするのは、ここでは日常茶飯事だ。
そして「日本人だ」と答えると、「VERY GOOOOOOD!!」と、力強く褒められるのがお決まりである。
しかし、なかには型通りの挨拶・社交辞令ではなく、変化球を投げてくる人もいる。
先日の夕方、私はダウンタウンのスーク付近で、シャワルマ・サンドイッチを一心不乱に齧りながら、ナメクジペースで歩いていた。
私は食べるのが非常に下手なので、歩きながらものを食べるときは、こぼさないように全身の神経を集中させなければいけないのだ。
すると、後ろから私を追い越した黒い革ジャンパー姿の痩せた若者がこちらを振り返り、私の目を覗き込んで、
「I LOVE YOU TOO!」と真顔で宣言したのだ。
I LOVE YOU TOO?
I LOVE YOUまではまあいいとして(いいのか?)、TOOってどういうことやねん?
私がいつこの若者に愛の告白をしたというのか?
一瞬気を取られたスキに、サンドイッチのソースが服にこぼれそうになったので、慌てて集中力をそちらに戻す。
若者はそんな私を少しの間観察してから、諦めたのか、踵を返して足早に立ち去った。
また、しばらく前のことだが、例によってダウンタウンを徘徊していたら、陽気な子供たちの一群に遭遇したことがある。
彼らは私をちらちらみて、「話しかけろよ」「いや、お前が話しかけろよ」とお互いに小突きあっていたが、やがてそのうちの一人が私に近づいて、
「WHAT TIME IS IT?」と質問した。
「4時だよ」とアラビア語で教えてあげると、その子は少し間を置いて、
「それは今日の4時?それとも昨日の4時?」と聞き返したのだ。
昨日の4時?
男の子の顔は笑っていたので、冗談だったのだろう。
アラブ人の冗談にしては、けっこうレベルが高い気がする。
私は当然、「昨日の4時よ~」と返答し、手を振って彼らと別れた。
以前別のブログに書いたことがあるが、うちのアパート前でのエピソードも記しておきたい。
ある晩、うちのアパートの塀の上に見知らぬ青年が立ち、夜空を見上げていた。
彼の足元には大家さんの孫の一人がいて、こちらも夜空を眺めている。
私が近づいて、塀の上の青年を指差し、「あの人何してるの?」と聞いたら、彼は笑顔になった。
「あれは僕の友達で、あそこでああやって星の運行を調整しているんだよ。」
ほほう、星の運行を調整中か。
星の運行を調整ねえ・・・
不意を突かれて、とっさにどう答えればいいかわからず、
「ふうんそうなの、エライねえ」などと、とりあえず褒め、お茶を濁して終わったのだが、
振り返って考えるに、あれもかなりハイレベルな冗談だったと思う。
そんなこんなで、ここで暮らしていると、あんまり退屈しないのだ。
うちの猫は新聞にのっかるのが好き
こちらは台湾人の友達の猫ファーリス
飼い主ともどもヨルダンから台湾へはるばる飛行機で旅し、現在は台湾在住