ハレノヒ

日々の生活の、あわのようないろいろ。

東山温泉 向瀧

2007-06-25 21:05:57 | にちじょう
父の還暦と伯母の古希のお祝いで、東山温泉で一泊してきました。

父から見て父方の伯母が、この東山温泉で旅館を経営していた時代が
あって、その伯母が昨年末に亡くなったのです。
そのお墓参りを皆でしようというもの兼ねての旅行です。
宿は「向瀧」。
創業は明治時代という、なかなか趣深いちょっと高級な宿です。

正直わたしは、こういう古くて味わいのある旅館というもののよさが
まだわからなかったのです。
どちらかというと、館内にお土産屋さんとか飲食店までもが入って
いるような、大箱のホテルが楽しくて好きなのです。(いい年して
感覚が子供なのです…)
古いということは、よく転べば素敵なのだろうけど、悪く転ぶことが
多いんじゃないかなぁ…と思っていたのです。
ですが。



 
素敵だったんですよ、凄く。(今回宿泊したのは、多分ちょっと良い部屋で
「菊の間」というお部屋でした。)
建物は大変によく手入れされていて、そりゃあ歩けばギシギシ音はします
けど、そういうのもすべて味になってしまうような。

 
トイレなんかはちゃんと新しいものに変えてあるので、ウォシュレット付き
だったりしてきれいなのですが、洗面所の蛇口とか、洗い場(流しのような
場所)とかいちいちクラシカルでかわいいのです。
写真右は会議室の窓を外側から撮ったのですが、こういうペンキで塗られた
木枠の窓ってたまらなく愛しい。





温泉は、源泉かけ流し。
昔ながらの熱めのお湯のお風呂(シャワーとかがついてない)と、普通のお湯の
お風呂(シャワーなど有)があって、貸切風呂も3つありました。
内鍵がついてるので、あいていれば好きな時に入っていいということでした。
(実際ほとんどの時間帯あいてたようです。)
写真は2枚とも貸切の方。
タイルとか、脱衣所の細かい部分とか、これもまた素敵なのです。





中庭に面している廊下は、一部(多分昔ながらのつくりなんでしょうね)戸が
戸袋の中に収納されるようになっていて、風がよく通るのです。
緑が本当に鮮やかで、前日まで雨が降っていたからか、空気に色を感じる
ほどでした。

ここ、多分冬に行ったらまた素晴らしいんだと思います。
冷たくぴんと張った空気の中を、音もたてずに落ちてくる雪。
昔の建物だから、廊下とかは寒いと思うんですよ。だけどそれがね。いいと
思うのです。
現実的なことを言えば、温泉街までちょっと坂道になってるので、凍結した
道を運転するのはちょっといやですけど。(何軒かの旅館の駐車場が坂の下に
あるので、もしかしたら冬は送迎してもらえるのかもしれないけど。今回は
玄関前まで乗り付けて、宿の人が駐車場まで運転して運んでくれました。帰りも
持ってきてくれましたよ。)

宿の人も、感じがいいのです。
出迎えや見送りは手のあいている人総出で出てきてくれてる感じだったし、
廊下ですれ違えば必ず挨拶をしてくれるし。
またそれが「やらされてる」感じではなくて、自然と、まるで知り合いとか
近所の人に挨拶するようにしてるのです。(それでいて、決してなれなれしい
わけではない)
何も大げさなことがして欲しいわけではなくて、ああいう基本的なことって
実は大事だと思うのです。
わたしもサービス業に従事してますから、省みる部分は多いのです。
ただちょっと、ホテルなんかの(良い意味で)「ほっとかれる感じ」が好きな
人には煩わしいかもしれませんけど。

あと、階段が結構大変でした。
いや、予約のときにそういう項目あったんですけどね。(階段が平気かどうか)
そこに「大丈夫」と答えたからそういう部屋になったんですけどね。
いや、健康な若い人だったら問題ないのかも知れません。
わたしは、若いけど健康というには憚られる人だったのです。
ちょっと侮ってしまいました。

あと、食事が本当に質素です。
質素というのは失礼かな。郷土料理という方向性でやっているようなので、
物足りない感じが大いにありました。
でもこれも宿の特性として予約前からわかってることなので、食欲旺盛で
もし行かれる方がありましたら、何がしかの準備が必要です。
部屋には、静かな環境を保つため(モーター音の出る)冷蔵庫もありません。
温かいお茶と冷たいお水(それぞれのポットに入っていた)はありますが、それで
物足りない人も何がしかの準備を。

そういう細かな気になる部分はありましたが、結果的にとても素敵な宿でしたよ。
食事だって、人間本来はああいう感じで十分なのだろうなぁとも思ったし。
そして良いお湯に浸かって、適度な運動(階段…)をして、静かにすごす。

わたしはまだ大箱ホテルへの未練も捨てきれないけど、こういうもの好きです。
いつか冬(1~2月の一番寒い頃)にもまた、行ってみたいです。

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