米国から多額の支援を受けたカルザイ政権は、国内を安定させるどころか腐敗の温床になっていた。
カルザイは自国の民を最後まで守ることもせず、金をトランクに詰め込んで他国(UAE)に真っ先に逃亡した。
首都カブールをほぼ無血に近い形で掌握したタリバンが今後どんな統治をおこなうか注意深く見守る必要がある。
(今後アフガンがどうなるかだが、腐敗したカルザイ政権よりはマシな気がする)
結局、自国や自国民を守る意思のない政権をアメリカがいくら支えようが、最終的にはその国の人たちが決めるべき問題だ。
バイデン大統領の決断を批判する意見が多いようだが、私はバイデンの決断を支持したい。
軍部は勝利に向けて戦い続ける方向に進みがちだが、泥沼の戦いに終止符を打つには政治家が決断するしかない。
バイデン大統領は語る、
「私の決断が批判を受けることは分かっている。でも5人目の大統領にこの決断を引き渡すくらいなら、その批判を受け入れる」
歴史的に見て、後退する際の最後尾の部隊である殿(しんがり)軍は、敵の追撃を阻止して本隊を守ることから最も危険な任務と言われている。
武芸や人格に優れた武将が務める大役だった。
ある意味で損な役目だが、誠実な人間性を持っていないと務まらない。
不利になればすぐ逃げる人間は論外だ。
振り返って我が国を見れば、国民を守る能力も勇気もない宰相が2代にわたってこの国を率いている。
事実をまともに見ることもせず、コロナ対策においては、根拠なき楽観論に立って戦力の逐次投入(口だけの緊急事態宣言)を繰り返す。
さらには、我が国の防衛についてほとんどアメリカ軍に丸投げ状態だ。
安倍政権以降、ますます米国への従属化が進んでいる。
民主主義とは国民が主役の制度だ。国民に主権者としての自覚や責任感がなければ、国の先行きは必ず漂流する。
丹羽宇一郎 「戦争の大問題」