世襲政治家とか恵まれた頭脳で官僚になった人たちには、謙虚な心持が必要だ。
ところが全部自分の力で今の地位があるような顔をしている輩(やから)が多すぎる。
「上に立つことを約束されている者は、だからこそ、その立場にふさわしい精神を身に付けることを求められる。誰に対しても公平に接すること。金や権威に媚びるのは恥ずべき行為だということ」
武士道精神が残っていたのは、日清・日露の戦争くらいまでであろう。
しかし戦争に勝ったがために傲慢になった。
戦後も高度成長を経てバブルと言われる時代に突入する頃には、拝金主義が世を蓋いバブル破裂と言う憂き目を見たのだ。
官僚も「国家国民のために生きる」と言う気概はどんどん薄れ金や権威に媚びるようになった。
戦後日本が世界がうらやむような高度成長を遂げたのは、政界・官界・業界のたぐいまれな連携があったからだ。
昭和の時代、政治3流で経済1流といわれたが、官僚は概して優秀な人が多かった。(頭脳だけでなく気概も1流だった)
今回、総務省の行政文書が官僚の告発という形で出てきたことを、日本の民主主義はまだ大丈夫だと歓迎したい。
告発した官僚の弁を借りれば、
「国民を裏切る違法行為を見て見ぬふりをすることができず、国民の手に放送法を取り戻して欲しい」という義憤から出たものと思うからだ。
日本国民は、もっとはっきり政治に対する意見をいうべきだとかんがえる。
法律的に政治が天皇のものであった時代はいざ知らず、現在は国民全部がもっと政治に関心を持って、勇敢に発言するにあらずんば民主主義は発展しないし政治もよくならない。 白洲次郎 1956年
白洲次郎ーー吉田茂元首相の懐刀、GHQをして「唯一従順ならざる日本人」と言わしめた男。