世界保健機関(WHO)のテドロス事務総長を信頼する人はほとんどいないだろう。
明らかに油断していた。あるいは中国に忖度していたのかもしれない。
新型コロナウイルスの対策を講じるうえで重要なのは、科学的で合理的なことだ。
政治が先に来るとろくなことはない。
しかし科学的・合理的であるべき我が国の専門家会議は信頼に足る組織なのであろうか?
専門家会議が一躍脚光を浴び始めたのは、2月24日の声明である。
「感染の拡大のスピードを抑制することは可能だと考えられます。そのためには、これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります。仮に感染の拡大が急速に進むと、患者数の爆発的な増加、医療従事者への感染リスクの増大、医療提供体制の破綻が起こりかねず、社会・経済活動の混乱なども深刻化する恐れがあります。これから取るべき対策の最大の目標は、感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことです」
この提言自体間違ってはいない。
しかし決定的に不足しているのが、最悪の事態を想定して必要な対策をとるべき提言が無いことだ。
安倍首相はこの提言の中のこれから1~2週間に異常に反応して小中学校の休校宣言を、一部の取り巻き(補佐官)とだけ相談して決めてしまった。
ここからボタンの掛け違いが始まった。
専門家会議の提言は明らかに行動抑制に重点があり検査を拡大するという考えは鼻からない。
だから厚労省とその傘下の各地域の保健所は、きわめて厳重なPCR検査基準を決めて対応した。
そしていまや「検査難民」が出現し、街中に無症状や軽症の感染者が「本人の意図せずに」出現しているのではないか?
今のような瀬戸際が突破されている状況を見て、専門家会議が恐れているのは、検査をしなかったがために感染者が街中に蔓延しているということだ。
この専門家会議の中心になっているのは、厚労省と国立感染症研究所を中心とした(パンデミックムラ)とも言うべき利権構造だ。
ところがこのパンデミックムラの専門家の中で感染症に詳しく臨床的立場で発言できる人がいない。
今の専門家会議の提言でこのまま進んだら、本当に感染爆発が発生する。
当面感染者数が増えても、ここはじっとこらえて、検査を拡大して軽症者を隔離することが第一。
そして医療崩壊を招かないよう医療施設に、ヒト・モノ・カネを投入することだ。