中国は自国の安全が脅かされると必ず日本に近づいてくる。
清の末期、西欧諸国から侵略されつつあった時、日本から学ぼうという声が沸き上がったという。
大隈重信 「日支民族性論」(1915年)
冷静に観察してみると、彼らが日本に学ぼうとした時期は、つねに打撃を受けたときである。ところが、この苦痛が去ると、一転して日本排斥の声となる。
中国は今やアメリカのトランプ大統領によって猛攻を受けているが、何とか凌げると考えているだろう。
それはトランプのやり方が拙劣だからだ。
EUや日本などの同盟国と良い関係を築いていない。
各国のアメリカへの好感度は軒並み激減している。
アメリカにCSIS(戦略国際問題研究所)というシンクタンクがある。
防衛・国家安全保障で世界第1位、外交政策・国際関係論で第5位とレベルが高い。
ここが7月下旬、注目すべきレポートを出した。「日本における中国の影響力」
自民党の今井尚哉首相補佐官が二階幹事長と連携し、「二階・今井派」として安倍首相に中国への姿勢を融和的にするよう説得してきたと指摘した。
おそらくこのレポートを読んで、安倍晋三と今井尚哉は震え上がったのではなかろうか?
1か月後には安倍内閣退陣、今井尚哉は失脚した。
中国も大きな失敗を犯した。
それは「香港問題」だ。世界の民主主義への思い入れを甘く見すぎたようだ。
今やアメリカも中国も世界の中で友達を失いつつある。
そこで日本の立ち位置だが、
日米基軸を中心にしながらも中国ともうまく付き合っていくということに尽きる。
アメリカに従属して「永続敗戦レジーム」を続けることは避けなければならない。
そして中国14億人の巨大なマーケットを放棄して日本の存立も維持できまい。
中国共産党は問題だが、中国の民を敵に回す愚は避けるべきだろう。
菅政権は極めてむづかしいかじ取りを求められるが、果たしてどこまでできるだろうか?